は じ め に

 

昭和32年 9 月26日

博物館建設期成同盟会結成

  32年10月10日

期成同盟会による寄付募集開始(寄付金総額57.906.209円)

  33年12月31日

建設工事着手

  34年 9 月25日

建設工事完工

  34年12月10日

開館式挙行,翌日より一般に公開

 この沿革史を顧みるとき,物にもお金にも恵まれなかった時代に,先人たちがどんなに博物館を求めていたかがわかる。過去に例を見ない程に早く進められた公共工事というだけで,当時の関係者の熱意が温かく伝わってくるのである。
 開館から30年,平成2年度からは文化の森総合公園内に完成した新しい県立博物館での業務開始という節目の年に当たって,館の歴史と現状,関係者の思い出などを残しておきたいとの願いから,三十年史発刊を企画したものである。
 内容は第1章沿革,第2章館の運営(活動),第3章回顧文集,資料編とした。沿革では建設の経緯に紙数を割いたので,この館の特異性を描き出すことになった。もちろん,文化の森に建設中の新館についても,本県の文化行政にかける熱意の表れとして,十分な説明を加え,将来への展望を明らかにしようとした。
 第2章は本誌のメインとなる部分であり,展示活動・普及活動・資料収集と調査研究に分けて記述した。館にある諸記録の上に職員の記憶を重ね合わせてまとめたものであるが,一部には記録の不備もあり,担当者の専門分野からくる記述内容の精粗もあろうが御寛恕下されば幸いである。
 第3章回顧文集は,執筆者の記述をそのまま生かした。人と仕事を通しての館の生きた歴史が語られているといえよう。資料編に,数字的な資料以外にも館の歩みを辿り得るようなものを入れたのも,30年という「かけがえのない年月」を残すことに意味があると思ったからである。

 



徳島県博物館30年史もくじ