発刊にあたって
今年は,徳島県博物館が開館して30年という記念すべき年であります。館の屋上には,「徳島県博物館建設の概要」と題して,竣工に至る経緯と事業内容を書いた横長の大きな記念プレートが掲げられていますが,当時の本県は財政再建団体であり,建設費の全額は寄付金でまかなわれたとあります。今,ぎっしりと氏名を記した9枚の銘板を拝見するとき,県当局の熱意と卓見に敬意を表するとともに,それを支えた県民・県出身者各位の郷土愛に頭が下がる思いがいたします。
開館から今日まで,本館は眉山下の博物館として,県民から親しまれてまいりました。この間,県及び県教育委員会をはじめ,県内外の多くの方々から,本館運営のために,温かい御指導と御支援を賜り,また,歴代館長をはじめ,先輩職員各位の真摯な御尽力により発展を続けてこられたことに対し,心よりの感謝と敬意を表する次第であります。
現在,徳島市八万町に建設中の徳島県文化の森総合公園には,新しい構想に基づく県立博物館の工事が,平成2年秋開館をめざして進められています。この機会を得て,本館30年の歩みを取りまとめようと,「徳島県博物館三十年史」刊行を計画しました。新館の開館へ向けて多忙な日々をぬっての編集であり,不備な点も多々あろうかと思われますが,御寛恕下されば幸いと存じます。
終わりに,公私ともに御多忙な中を,貴重な原稿をお寄せ下さいました関係者の皆様にお礼を申し上げます。この三十年史を私ども職員の道標や自省の書とするとともに,本書が博物館の今後のあり方を考える上で,何らかのご参考になることを願って,発刊のごあいさつといたします。
- 平成 2 年 3 月
徳島県博物館長 東 明 省 三
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