シンクタンクとしての社会貢献

 博物館は、博物館活動を通じて様々な資源(資料・情報・学芸員の知識)を蓄積している一種のシンクタンクであるということができる。これらの資源を活用して地域社会等に貢献する活動を行うことは、博物館の重要な役割であると考え、博物館の他の事業に差し支えない範囲で積極的に取り組んで行くことにしている。

1.各種委員会委員等の受諾

 平成16年度に博物館職員が委嘱を受けた各種委員会委員、学会役員等は次のとおり。

両角芳郎
 日本博物館協会評議員(平成16.6.21〜18.3.31)
 徳島県博物館協議会会長(平成16.6.8〜17.3.31)
 第28回全国高等学校総合文化祭徳島県実行委員会委員(平成14.6.10〜17.3.31)
 徳島県教育委員会スーパーサイエンスハイスクール運営指導委員会委員(平成15.7.3〜18.3.31)
 第22回全国国民文化祭徳島県実行委員会委員(平成16.8.6〜20.3.31)
大原賢二
 徳島県希少野生動植物保全対策検討委員会委員(平成16年度)
 東環状大橋建設にかかる環境モニタリング調査アドバイザー(平成16.8.16〜   )
 徳島大学汽水域生態系モニタリング手法研究会委員(平成17.3.15〜18.3.31)
佐藤陽一
 とくしま川づくり委員会委員(平成13.12.15〜17.12.14)
 徳島県田園環境検討委員会委員(平成15.11.26〜17.11.25)
 国土交通省四国地方整備局河川・渓流環境アドバイザー(平成16.5月〜17.3.31)
 徳島県ビオトープアドバイザー(平成16.4.1〜17.3.31)
 環境省希少野生動植物種保存推進員(平成15.7.1〜18.6.30)
 日本魚類学会標準和名検討委員会委員(平成15.4.1〜   )
 徳島県希少野生動植物保全対策検討委員会委員(平成16年度)
 東環状大橋建設にかかる環境モニタリング調査アドバイザー(平成16.8.16〜   )
 徳島県土木工事環境配慮アドバイザー(平成16.12.28〜17.3.31)
 徳島大学汽水域生態系モニタリング手法研究会委員(平成17.3.15〜18.3.31)
小川 誠
 日本植物分類学会絶滅危惧植物専門第一委員会委員(平成13.7.1〜16.12.31)
 徳島県田園環境検討委員会委員(平成15.11.26〜17.11.25)
 徳島県ビオトープアドバイザー(平成16.4.1〜17.3.31)
 環境省希少野生動植物種保存推進員(平成15.7.1〜18.6.30)
 徳島県希少野生動植物保全対策検討委員会委員(平成16年度)
 徳島県土木工事環境配慮アドバイザー(平成16.12.28〜17.3.31)
 徳島大学汽水域生態系モニタリング手法研究会委員(平成17.3.15〜18.3.31)
 科学系博物館情報ネットワーク推進委員会作業部会委員(平成16年度)
田辺 力
 沖縄県版レッドデータブック改訂作業ヤスデ・ムカデ類分科会委員(平成14.12.1〜    )
 環境省希少野生動植物種保存推進員(平成15.7.1〜18.6.30)
 徳島県希少野生動植物保全対策検討委員会委員(平成16年度)
 日本昆虫学会編集委員(平成14.4.1〜18.3.31)
 日本土壌動物学会編集委員(平成14.5.26〜16.5.29)
茨木 靖
 東環状大橋建設にかかる環境モニタリング調査アドバイザー(平成16.8.16〜   )
 徳島大学汽水域生態系モニタリング手法研究会委員(平成17.3.15〜18.3.31)
山川浩實
 徳島市立考古資料館協議会委員(平成15.7.1〜17.6.30)
高島芳弘
 徳島市立考古資料館資料展示検討委員会委員(平成16.7.1〜18.6.30)
長谷川賢二
 徳島県人権資料収集検討委員会委員(平成14.6.28〜   )
 徳島県人権問題啓発をすすめる会専門委員(平成16.4.1〜17.3.31)
 本宮町史編纂委員会執筆委員(平成14.6.12〜16.8月)
 日本山岳修験学会理事(平成15.11月〜17.11月)
 徳島地方史研究会評議員(平成16.4月〜17.3月)
庄武憲子
 松茂町歴史民俗資料館・人形浄瑠璃芝居資料館資料館協議会委員(平成15.4.1〜17.3.31)
川田純子
 徳島県道州制等研究会公募研究員(平成16.8.24〜     )

2.講師の派遣

 館外からの依頼を受けて行った講師派遣等を、月日・担当者・内容(依頼者)の順に記す(内容に依頼者が表現されている場合は依頼者を省略)。
 
4月7日 長谷川賢二 平成16年度新規採用職員研修で講演「同和問題1(歴史) 部落史を考える」(徳島県自治研修センター)
4月19日 大橋俊雄 第23回シルバー大学上板校講演「弘法大師のもたらした仏像」
5月28日 茨木 靖 福祉文化教養シリーズ「植物の野外観察」講師(社会福祉法人カリヨン)
6月17日 田邊 力 吉野川河口干潟の甲殻類等観察・研修会講師(徳島市小教研生活科部会)
6月25日 魚島純一 全農徳島総会で講演「銅鐸の謎にせまる」
7月1・2日 長谷川賢二 第51回四国地区人権教育研究大会大学教育分科会で助言
7月10日 大原賢二 福祉文化教養シリーズ「昆虫のはなし」講師(社会福祉法人カリヨン)
7月18日 田邊 力 徳島新聞カルチャーセンター夏休み親子体験講座「エビとカニのふしぎ」講師
7月22日 魚島純一 県立文書館平成16年度古文書保存講座「文書資料の保存科学」講師
7月30日 山川浩實 第28回全国高等学校文化祭開会式講演「徳島県立博物館の展示について」
8月25日 長谷川賢二 坂出市奨学生友の会(解放学習)視察研修で講演「徳島県立博物館における人権問題に関わる取り組み」
9月9日 長谷川賢二 鳴門教育大学人権教育実習で講演「博物館と人権」
10月2日、10月30日 高島芳弘 福祉文化教養シリーズ「縄文土器作り・野焼き」講師(社会福祉法人カリヨン)
10月13日 大橋俊雄 第24回シルバー大学穴吹校講演「仏像入門−古代から弘法大師のころまで」
10月25日 大橋俊雄 第24回シルバー大学小松島校講演「仏像入門−古代から弘法大師のころまで」
10月26日 大橋俊雄 第24回シルバー大学三加茂校で講演「仏像入門−古代から弘法大師のころまで」
10月27日 魚島純一 徳島県高圧ガス保安大会で講演「博物館とガスの意外な関係」
11月1日 長谷川賢二 丈六寺秋の特別公開記念講演「天正の法華騒動と三好長治」(丈六寺顕彰会)
12月2日 長谷川賢二 シルバー大学校大学院歴史・文化講座で講演「中世の熊野信仰」(1・2)
12月8日 長谷川賢二 美馬郡社会人権・同和教育研究大会で講演「部落史への一視点」
12月9日 長谷川賢二 シルバー大学校大学院歴史・文化講座で講演「阿波の板碑」、「唱導の文芸」
12月9日 小川 誠 日本博物館協会 情報部門研修で講演「手作り情報システムの勧め」
12月11日 長谷川賢二 とくしま県民カレッジとくしま人物講座で講演「小杉榲邨の生涯と『徴古雑抄』」(徳島県立総合教育センター)
12月18日 長谷川賢二 とくしま県民カレッジとくしま人物講座で講演「小杉榲邨と忌部神社論争」(徳島県立総合教育センター)
1月9日 小川 誠 兵庫県植物誌研究会総会で講演「染色体からみた日本産のヨモギ属について」
1月14日 大橋俊雄 第24回シルバー大学徳島校講演「仏像入門−古代から弘法大師のころまで」
1月22日 長谷川賢二 徳島大学大学開放実践センター公開講座で講演「遍路の歴史学」
1月22日 小川 誠 とくしま県民カレッジとくしまで講演 「ふるさと再発見講座 オンリーワンとくしま学 希少植物からみたとくしまの自然」(徳島県立総合教育センター)
1月27日 長谷川賢二 東祖谷山村人権教育推進協議会視察研修で講演「徳島県立博物館における人権問題に関わる取り組み」
1月31日 大橋俊雄 第24回シルバー大学上板校講演「仏像入門−古代から弘法大師のころまで」
2月3日 大橋俊雄 第24回シルバー大学鳴門校講演「仏像入門−古代から弘法大師のころまで」
2月15日 佐藤陽一 那賀郡小学校環境・情操教育部会研修会で講演「那賀川の生物の生息状況から環境・情操教育を考える」
2月24日 大橋俊雄 第24回シルバー大学鴨島校講演「仏像入門−古代から弘法大師のころまで」


3.大学教育への寄与

(1)大学非常勤講師の受諾
 平成16年度に博物館職員が委嘱を受けた大学非常勤講師は次のとおり。
両角芳郎
 愛媛大学農学部非常勤講師(博物館学II−博物館資料論)(平成16.4.12〜17.3.31)
高島芳弘
 徳島大学総合科学部非常勤講師(博物館概論)(平成16.4.6〜17.3.24)
長谷川賢二
 鳴門教育大学非常勤講師(博物館特論)(平成16.4.12〜17.3.31)
磯本宏紀
 四国大学非常勤講師(博物館実習?)(平成16.4.1〜16.9.30)

(2)博物館実習生の受け入れ
 博物館実習は、博物館法施行規則第1条において学芸員となる資格を取得するために「大学において修得すべき博物館に関する科目」と規定されているもののひとつで、登録博物館または博物館相当施設における実習で修得することになっている。
 当館では、大学からの依頼により、原則として県出身の学生を受け入れることにし、夏休み期間中に実習を行っている。4月1日〜5月15日が受付期間で、希望者が多い場合は調整を行い、20数名をめどに受け入れることにしている。
 平成16年度は、8月23〜27日に実習生の受け入れを行った。実習生は27人(男12人、女15人)で、大学別の内訳は次のとおりである。
 四国大学 9人  鳴門教育大学 6人
 徳島大学 4人  高知女子大学 1人
 奈良女子大学 1人  佐賀大学 1人
 近畿大学 1人  愛知教育大学 1人
 北里大学 1人  都留文科大学 1人
 京都造形芸術大学 1人
 カリキュラムは別表のとおりである。学芸員と普及係職員が指導にあたり、資料の整理や調査などについての実習を行った。(※別表省略)


4.学会・研究会等の運営への寄与

(1)学会・研究会等の開催
 16年度に当館学芸員がお世話し、当館および文化の森の施設を会場として開催された学会・研究会等は次のとおり。
●徳島博物館研究会第1回例会
 開催日:7月10日(土)
 会 場:博物館講座室
 参加者:15名
 
(2)当館が事務局等を引き受けている学会・研究会等
●植物談話会
 植物に関心のある県内同好者が、毎月1回(土曜日の18:30から)、博物館実習室で植物分類の勉強会や採集情報等に関する意見交換を行っている。
 会員は約25名で、毎回10〜15名の参加者がある。
●四国貝類談話会
 四国地域および近隣地域在住の日本貝類学会会員を中心に構成されており、観察会・談話会(年1回)、機関誌『まいご』(年1冊)を行っている。観察会・談話会には20〜30名程度の参加者がある。
●四国中世史研究会
 四国地域をフィールドとしている中世史研究者によって構成されており、研究会・史料見学(年2回)、機関誌『四国中世史研究』の刊行(隔年1冊)を行っている。
●徳島地域文化研究会
 徳島における地域文化研究(民俗学的・文化人類学的視点を中心とする)の発展と普及に寄与するとともに、徳島の地域文化研究に携わる者相互の情報交換と連絡を図ることを目的とする研究会である。


5.博物館ネットワーク

(1)四国地区博物館協議会及び日本博物館協会四国支部
 四国地区博物館協議会及び日本博物館協会四国支部は、四国地区の博物館及び相当施設の連絡・協議組織で、現在95館(園)が加盟している。4県が持ち回りで2年ずつ事務局をつとめることになっており、平成16・17年度は愛媛県立美術館が事務局館をつとめる。当館は徳島県幹事館になっている。
 平成16年度の役員会及び総会は次のとおり松山市で開催された。
●16年度役員会・総会
 日時:8月5日(木) 10:30〜15:00
 会場:愛媛県美術館
 議事:平成15年度事業報告及び決算報告について
    新規加盟施設の紹介
    平成16年度事業計画案及び予算案について
 講演:小林 真三氏(株式会社コバ代表取締役)「私を育てよう!好奇心を旺盛にしよう!」
●研修視察
 日時:8月6日(金)9:00〜12:00
 場所:愛媛県美術館
 内容:日本博物館協会専務理事の報告及び企画展「国際アンデルセン賞の受賞者たち展」の視察

(2)徳島県博物館協議会
 徳島県内の博物館施設が相互協力して博物館活動の振興をはかるため、平成8年2月27日に設立された。加盟館は、設立時は31館であったが、その後、年々加盟館が増え、平成17年3月末現在では52館になっている。なお、事務局は当館に置かれている。
●16年度事業
[1]役員会の開催
 6月8日(火)、2月22日(火)の2回、徳島県立博物館応接室にて開催した。
[2]総会の開催
 日時:6月8日(火)14:30〜16:30
 場所:徳島県立博物館講座室
 議事:15年度事業報告並びに決算報告
    監査報告
    16年度役員選出
    16年度事業計画並びに予算案
    会則の改正
    その他
 講演:市橋芳則氏(師勝町歴史民俗資料館学芸員)「『昭和日常博物館』の試み」  
[3]加盟館園の職員状況と入館者数一覧を作成して配布した。
[4]徳島県博物館協議会ニュースの発行
 No. 16,17,18を発行・配布した。
[5]研修会の開催  参加者45名
 日時:2月2日(水)13:00〜16:30
 場所:Jパワー&よんでんWaンダーランド
 内容:施設概要と事業運営についての説明
    サイエンスショー
    施設見学
[6]とくしまミュージアムスタンプラリーの実施
  15〜16年度にまたがる事業として、12月31日まで実施した。加盟館園のうち本ラリーに参加する46館の全館あるいは4つのエリアに分けた各エリア全館のスタンプを集めた人の中から、抽選で10人に完走賞を、40人に地域賞を贈呈するものである。
  抽選は平成16年12月末の締切で行われ、7人の完走賞と11人の地域賞応募者があり、全員に賞品(図書券)を贈った。
?先進地の博物館施設の調査  参加者19名
 日時:11月24日(水)8:30〜18:00
 訪問先:金陵の郷・金比羅宮博物館

(3)人権資料・展示全国ネットワーク
 人権資料・展示全国ネットワーク(略称「人権ネット」)は、人権確立のための研究、教育、啓発に寄与することを目的に、人権に関する資料の収集保管、調査研究、展示等を行う博物館、資料館、人権センター、研究所等により、平成8年に結成された。現在、33機関・団体が加入しており、事務局は和泉市立人権文化センター、柳原銀行記念資料館、水平社博物館、福岡県人権啓発情報センター、たかみや人権会館で組織されている。
 当館は発足時から加入しており、年1回の総会に職員を派遣するほか、加入機関との個別的な協力も行っている。
 第9回目にあたる16年度総会は、9月26〜27日、滋賀県大津市のアヤハレークサイドホテル及び栗東市立ひだまりの家で開催された。26機関・団体から47名の参加があった。

(4)西日本自然史系博物館ネットワーク
 平成12・13年度に文部科学省の委嘱を受けて行われた環瀬戸内地域自然史系博物館ネットワーク推進事業の継承と発展をはかるため、大阪市立自然史博物館および兵庫県立人と自然の博物館の主導により、個人参加によるゆるやかな連携組織としてNPO法人西日本自然史系博物館ネットワークが平成16年4月27日付けで設立された。
 平成16年度(事業年度は1月〜12月)は、総会および設立記念シンポジウム(2月29日・奈良県立橿原文化会館)のほか、大阪自然史フェスティバルへの出展、奈良ワーキンググループの活動、学芸員向け研修会等の事業が行われた。
 本ネットワークには12月27日時点で25館園の学芸員等62名(当館からは3名)が参加している。


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