ツルギミツバツツジ
Rhododendron tsurugisanense (T.Yamaz.) T.Yamaz. (ツツジ科)

ツルギミツバツツジの花
徳島県にはヤマツツジやハクサンシャクナゲなど17種のツツジ属が自生しているといわれている。
中でもツルギミツバツツジは剣山で最初に見つかって、「剣山に生えている三つ葉つつじ」という意味でその名が付けられた。 「三つ葉つつじ」というのは葉が枝先に3枚ひと組となって付くツツジの仲間で、トサノミツバツツジ、アワノミツバツツジ、コバノミツバツツジなどが県内には自生している。

ツルギミツバツツジの葉
ツルギミツバツツジは剣山や愛媛県の石鎚山など、四国の亜高山帯やブナ帯に分布するツツジ科の低木である。高さは2メートル以上にもなり、初夏に紫色の花をたくさん枝先に付ける。三好市東祖谷山村の落合峠には大きな群落があり、ミヤマクマザザの緑の草原の中にこの紫色の花が咲き乱れ、大変美しい景観になる。
元々は、本州に分布するダイセンミツバツツジと同じものとされていたが、剣山に生えているものは全体が大きく、枝も太く、若枝から葉柄に軟らかい毛が密生し、葉も厚いことなどから、ツルギミツバツツジに分けられ、変種として区別された。そして、最近では独立種とされるようになり、四国の高い山にしなかい珍しい種となったのである。
徳島県のツツジ属では高越山の大きな群落が有名なオンツツジがあり、一面に咲き乱れる花をみようと花期にはたくさんの人が訪れる。また、阿波の名前が付いたアワノミツバツツジというものもある。さらに、徳島県より西に分布するキシツツジ、高知県より東に分布するモチツツジが自生しており、この両種が見られるのは国内でも徳島県や岡山県などわずかな県に限られている。キシツツジもモチツツジも県内にはたくさんあるありふれたものではあるが、野外で両種を手にとって比べることのできる地域は国内でも限られているのである。
ツツジの仲間は花が綺麗で大きく目立つのでよく見かける植物である。ツツジ属一つをとっても徳島県には面白いものがたくさんあるので、見慣れた植物が咲いていてもよくよく調べてみると面白いことがわかるかもしれない。
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