四国霊場開創1200年記念4県連携事業「空海の足跡 四国へんろ展 [徳島編]」

(へんろ367号(2014.10)に掲載されたもの。一部改変)

 

徳島編では、国宝4件、重要文化財18件を含む、約130件の文化財を通じて、四国遍路の歴史と文化を総合的に紹介します。写真家三好和義氏による写真コーナーを設け、ビジュアルなアプローチもしています。 

 第1幕「空海と弘法大師信仰」では、空海の生涯や大師信仰の興隆を紹介します。3体の弘法大師坐像(重要文化財:奈良・元興寺蔵、徳島県指定文化財:8番熊谷寺蔵、12番焼山寺蔵)が出品されます。また、国宝では空海筆『金剛般若経開題残巻』(奈良国立博物館蔵)、『紺紙金銀字一切経(中尊寺経)』(和歌山・金剛峯寺蔵)があります。重要文化財では、『性霊集』(京都・醍醐寺蔵)や、高野山から阿波に移された『弥勒菩薩坐像』(徳島・東林院蔵)などがあります。

 第2幕「道行く聖と四国遍路の形成」では、四国遍路の基層である四国辺地・辺路の修行、これと関係の深い熊野信仰、四国を行き交った宗教者などを紹介します。国宝では『唐花唐草蒔絵手箱及び内容品』(和歌山・熊野速玉大社蔵)、『続宝簡集』巻五(和歌山・金剛峯寺蔵)、重要文化財では『重源上人坐像』(兵庫・浄土寺蔵)、『朱漆塗三脚盤』(24番最御崎寺蔵)などがあります。 

 第3幕「四国遍路の定着と展開」では、札所巡礼としての四国遍路の成立と定着、近世から近代にかけての展開を紹介します。札所の動向や遍路の実態を物語る、5番札所地蔵寺や20番札所鶴林寺の古文書・聖教、各種の絵図をはじめ、多彩な歴史資料があります。 

 第4幕「四国遍路の周縁」では、四国遍路を巡礼の「選択肢」の一つととらえ、六十六部廻国巡礼や、西国巡礼、伊勢参詣、金毘羅参詣などに注目します。藍商人が用いた『笈』(徳島県立博物館蔵)や職業的な巡礼者が用いた『笈』(徳島・東福寺美術館蔵)などがあります。

 第5幕「信仰と美―札所の文化財」は、徳島県内の札所に伝わる様々な文化財を紹介します。また、高野山如意輪寺からも特別出品いただいています。中世に遡る信仰の遺品である『不動明王立像』(3番金泉寺蔵)、『不動明王坐像』(21番太龍寺蔵)、『星曼荼羅』(23番薬王寺蔵)といった初出品作品が多数あります。

 第6幕「四国遍路のいま―三好和義が撮る「遍路の旅」」では、徳島県出身の写真家三好和義氏が撮影した本尊や札所の写真を通じて、今を生きる四国遍路の世界を感じていただけると思います。

 以上のように多彩な内容で、初めて展示される作品が多数あります。また、徳島県教育委員会や鳴門教育大学、四国大学などによる最新の調査研究の成果も反映しています。ご期待ください。

 

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