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TEL. 088-668-3636
開館時間 AM9:30 ~ PM17:00

企画展会期延長のお知らせ
開催中の企画展「蔵出し!とくしま“宝もの”展」は、会期を延長し、6月14日(日)までとします。

ごあいさつ

 徳島県文化の森総合公園は、令和2年(2020)に開園30周年の節目を迎えます。
 この企画展では、これを記念し、博物館の53万点をこえる収蔵資料の中から指定文化財や動植物のタイプ標本、学芸員の“イチオシ”資料など、よりすぐりの“宝もの”を一挙公開します。また、博物館における資料収集保存活動の事例も紹介し、徳島の貴重な自然や文化財を未来へ引き継ぐための取り組みについてもお伝えします。
 このページでは、展示の見どころや最新情報などを、随時ご紹介します。

令和2年4月24日 徳島県立博物館長

宝もの展 紹介ビデオ

 「蔵出し!とくしま “宝もの展”」の展示物を動画でご紹介します。

展示を3D画像で

Post from RICOH THETA. #theta360 - Spherical Image - RICOH THETA

展示の様子を3D画像でご覧いただけます。指(スマホ)やマウス(PC)で見たい方向に動かすことができます。
こちらからご覧ください。

学芸員の“イチオシ”資料

 この企画展では、博物館の9分野、14人の学芸員がそれぞれの“イチオシ”資料を展示しています。ここでは、その一部を紹介します。
 ※パソコンの場合、資料写真クリックで拡大します。(拡大写真外クリックで閉じる。)

歴史・文化に関する資料

考古

斜縁二神二獣鏡(天河別神社4号墳出土) /古墳時代前期

植地

 2~3世紀に後漢で作られた青銅鏡である。直径約16.7cm。現在は補修されているが、出土時点で破砕されており、内区の大部分が欠損する。縁の形状が斜めで、神仙思想をあらわす神仙と霊獣の文様がそれぞれ2つある。銘は「吾作明鏡・・・見人大吉・・・子孫」と記されている。天河別神社4号墳の時期決定に、大きく影響した鏡である。

毎日新聞新聞掲載 蔵出し!とくしま〝宝もの〟展 博物館学芸員イチオシ/6 斜縁二神二獣鏡 古墳時代伝える青銅鏡

徳島県観音寺・敷地遺跡出土品(徳島県立埋蔵文化財総合センター蔵・写真提供)

岡本

 徳島市国府町に所在する観音寺・敷地遺跡は、古代の阿波国の役所である阿波国府推定地に隣接しており、その出土資料は、近年、「重要文化財」に指定された。徳島外環状道路の建設に伴い、平成8年(1996)度から発掘調査が実施され、大量の土器・木製品などが出土した。このうち重要文化財に指定されたのは、木簡213点、木器・木製品292点、土器・土製品353点、金属製品43点、骨角製品4点。特に注目されるのは木簡群で、国司(国の役人)の政務と中央官庁とのやりとりを具体的に表す8世紀の「勘籍木簡」、棒状の四面のうち一面に『論語』学而篇一の一節を記す7世紀の「論語木簡」などが有名。また、墨書土器・?帯・硯など地方の役所における政務の実態を示す遺物に加え、木製の祭祀具・農具・工具・紡織具が出土しており、役人たちの生活等を復元する上で学術的価値が高く評価されている。

毎日新聞新聞掲載 蔵出し!とくしま〝宝もの〟展 博物館学芸員イチオシ/14 重要文化財 観音寺・敷地遺跡出土品

歴史

【徳島県指定有形文化財(書跡・典籍・古文書)】 細川成之書跡 / 室町時代 

 ①成身院宛書状、②短冊「忍通恋」、③短冊「水郷月」、④詠授記品和歌二首の4点からなる。細川成之(1434-1511)は室町時代の武将で、和歌や書をたしなむ文化人であった。細川持常の養子として阿波国守護に就き、応仁文明の乱に際しては、東軍の細川勝元を支え、その没後には細川一門を統率した。また、丈六寺を再興したといわれている。①の書状は成身院に宛て、高野山妙音院に宿坊を手配してもらったことに対する礼を述べており、15世紀の守護と信仰について知られる古文書である。

毎日新聞新聞掲載 蔵出し!とくしま〝宝もの〟展 博物館学芸員イチオシ/13 細川成之書状 娘の死悼む、中世の武将

阿波国大絵図 /享保元年(1716)10月

 本図は、寛文期(1661~73)に江戸幕府の求めに応じて作成された「阿波国絵図」(国文学研究資料館蔵)の写図で あると考えられる。阿波国10郡を淡彩で色分けし(郡堺は黒線)、陸路と海路(朱線)、郡村名と石高、一里松(双黒点)、 徳島城下及び周辺の橋、祖谷の蔓橋(7ヵ所)、讃岐・伊予・土佐の国境や川口に設置された番所などが描かれている。 また寺院も描かれており、鶴林寺・天龍寺(太龍寺ヵ)・ 雲辺寺・高越寺については、文字による注記も見られる。絵図余白には、阿波国の総石高18万6753石5斗8升3合と10郡の石高が記されている。寸法は縦275.0㎝、横280.0㎝。阿波国全体の状況を伝える貴重な資料である。

毎日新聞新聞掲載 蔵出し!とくしま〝宝もの〟展 博物館学芸員イチオシ/4 島原・天草一揆に関する徳島藩主の書状

美術工芸

筝 銘九江飯塚桃葉作 /天明2年(1782)

 蒔絵師の飯塚桃葉(?-1790)が、90年前の古い箏に装飾をほどこす。瀟湘八景という中国の名所を意匠し、「天明二壬寅九月日/観松斎桃葉〈花押〉」と「観松斎/知足〈花押〉」の銘を入れる。部分写真は八景のうち洞庭秋月で、岳陽楼のある洞庭湖のほとりに高士が立ち、名月をながめる。
 桃葉は、明和元年(1764)に徳島藩主に抱えられた。代表作に宇治川蛍蒔絵料紙硯箱(宮内庁三の丸尚蔵館蔵)、塩山葦手蒔絵細太刀拵(東京国立博物館蔵)、百草蒔絵薬箪笥(根津美術館蔵)がある。この箏はそれらにせまる出来ばえをしめす。

毎日新聞新聞掲載 蔵出し!とくしま〝宝もの〟展 博物館学芸員イチオシ/10 全国名勝絵巻 諸国の風景、忠実に写す

民俗

阿波人形浄瑠璃舞台図  作者不明 /江戸時代後期(1800年頃)

 江戸時代の人形浄瑠璃上演の様子が描かれた希少な資料である。徳島歴代藩主蜂須賀氏は、たびたび人形座を招いて上演させていた。三人遣いの人形操りの様子が明確に確認できるとともに、描かれた舞台上部の一文字幕の定紋(木瓜に井桁)によって、淡路人形座の元祖とされ、徳島藩から手厚い保護を受けた上村源之丞座が上演していることが確認できる。

毎日新聞新聞掲載 蔵出し!とくしま〝宝もの〟展 博物館学芸員イチオシ/8 阿波人形浄瑠璃舞台図 江戸時代の上演、細やかに描く

桶(コガ)(晩茶製造用) /令和元年(2019)まで那賀町鮎川で使用

 夏季の茶葉をゆで、茶摺をしてから漬け込み用桶に入れ、漬け込んで発酵させる。この桶に茶葉を入れ、空気が入らないよう裸足で中に入って踏み固めていき、最後に茶葉の上にビニールシートをかぶせ、重石をのせる。重石の重さは、中に入っている茶葉と同じ重さにする。10日程を目安に漬け込む。
 中敷きの種類、重石の種類、漬け込み期間などは家や地域によって異なる。口径139.0㎝、底径121.8㎝、高さ136.0㎝。

毎日新聞新聞掲載 蔵出し!とくしま〝宝もの〟展 博物館学芸員イチオシ/2 阿波晩茶製造用具 生産者の苦労、刻む道具

自然に関する資料

植物

ナカガワノギク Chrysanthemum yoshinaganthum Makino ex Kitam.
 /分布:徳島県(那賀川とその支流、日和佐川)

 鷲敷ラインのような岩場は、増水時には数日間濁流にのみこまれ、普通の植物では生きられない。そのような場所には、強い流れに耐えるこのとできる流線型の葉をもった渓流沿い植物が多く生育している。中でもこのナカガワノギクはこの地域にしか生育しない固有種で、秋には岩場で白い花を咲かせる。キクの仲間(キク属)では、渓流沿いで生えるのは本種のみ。ナカガワノギクは那賀川の厳しい自然が生み出したといえる貴重な植物である。

毎日新聞新聞掲載 蔵出し!とくしま〝宝もの〟展 博物館学芸員イチオシ/12 ナカガワノギク 那賀川の急流に適応

マルバオモダカ Caldesia parnassiifolia (Bassi. ex L.) Parl.
 /採集地:徳島県三好市池田町古池

 水中に生える一年草。長い柄のある葉を株状に出し、水面から突き出すが、若い株では葉は水面に浮かぶ。柄 の長さは、水深によって変わり、長いものでは70㎝にもなる。葉は卵形をしていて、直径5-10㎝ほど、付け根はハート型になる。夏に高さ50-100㎝の花茎を出し、白い花を咲かせる。北海道南部~奄美地方にかけて分布するが、ほとんどの県で絶滅もしくは絶滅危惧種になっている。県内では、ただ一カ所、池田町だけに生育していたが、生育地の池が埋め立てられて絶滅した。現在では、1940 年代に採集された標本を残すのみである。

毎日新聞新聞掲載 蔵出し!とくしま〝宝もの〟展 博物館学芸員イチオシ/7 オオボケガヤ 大歩危峡の環境に適応

動物

【ホロタイプ】 クヌギズイムシハナカメムシ
 Lyctocoris ichikawai Yamada & Yasunaga, 2012 /採集地:香川県高松市

 平成14年(2002)に香川大学教授(当時)の市川俊英博士によって発見された体長約4.5ミリメートルのカメムシ。これまで香川県と熊本県の樹液が滲み出すクヌギでしか見つかっていない珍しい種で、樹液を専門に餌とする。クヌギの樹液といえば、多くの昆虫が集まる誰もがよく知る場所だが、そこから新種のカメムシが発見されたことはたいへん衝撃的だった。ホロタイプを含む複数のタイプ標本が徳島県立博物館にて、パラタイプの一部が アメリカ自然史博物館にてそれぞれ保管されている。

毎日新聞新聞掲載 蔵出し!とくしま〝宝もの〟展 博物館学芸員イチオシ/1 徳島では絶滅、幻のチョウ オオウラギンヒョウモン標本

アオギス Sillago parvisquamis Gill, 1861
 /採集地:沖洲海岸地先

 かつては東京湾(東京都)や、伊勢湾(三重県)、和歌浦(和歌山県)、吉野川河口(徳島県)、別府湾・豊前海(大分県)、厚東川河口(山口県)、北九州沿岸(福岡県)、吹上浜(鹿児島県)など、広く分布していたが、各地で姿を消し、現在、比較的まとまった個体群が残存するのは豊前海のみとなっている。四国でアオギスの記録があるのは徳島県の吉野川河口のみである。昭和30~40年(1955~1965)頃までは普通に生息していたようであるが、平成元年(1989)に吉野川 河口南側の沖洲海岸地先で3個体が採集されたのを最後に記録がない。現在、徳島県最後のアオギスが採取された場所は埋め立てられている。本図録に掲載したのは、徳島県で最後に採集された標本である。

毎日新聞新聞掲載 蔵出し!とくしま〝宝もの〟展 博物館学芸員イチオシ/3 ニホンカワウソ剥製 身近な動物、乱獲で絶滅

オヤニラミ(桑野川) 徳島県版レッドリスト:絶滅危惧種IA類 徳島県指定希少野生生物

とくしまのオヤニラミを守る
 オヤニラミはスズキの仲間(ケツギョ科)で、河川上流域?中流域の水際に植生のある流れの緩やかな場所に生息し、オス親が卵を保護する習性がある。
 西日本に広く分布している、四国では香川県と徳島県の一部にだけ分布している(徳島県内は桑野川、福井川、椿川の3水系)。徳島のオヤニラミは固有の遺伝的特徴もっており、その意味では唯一と言ってよい。
 残念ながら徳島のオヤニラミを取り巻く状況は年々きびしくなっており、河川改修や水質汚濁、堰による移動経路の分断に加え、近年では外来オヤニラミの放流による交雑(遺伝的汚染とも言います)や集団の縮小に伴う遺伝的多様性の極端な低下が脅威となっている。
 現在、外来オヤニラミの生息状況を把握と駆除する活動、オヤニラミ回復事業の一環として一部で在来オヤニラミの保護育成活動などが試みられている。

毎日新聞新聞掲載 蔵出し!とくしま〝宝もの〟展 博物館学芸員イチオシ/11 オヤニラミ 生息場所減る希少魚

地学

アワジチヒロ  Volachlamys hirasei /北有馬層:長崎県南島原市北有馬町

二枚貝アワジチヒロとその化石
 アワジチヒロ(ヤミノニシキ)はイタヤガイ科の二枚貝で、有明海や瀬戸内海東部、東シナ海、黄海に分布している。環境省のレッドリストでは、絶滅危惧Ⅰ種に指定されている。
 長崎県南部の口之津層群加津佐層(約170万年前)と 口之津層群北有馬層(約70万年前)、神戸市の明美層(約 40万年前)から化石が多産する。
 現生する本種には高肋型と低肋型があるが、口之津層群および明美層から産出する化石はすべて高肋型で、低肋型は見られない。

毎日新聞新聞掲載 蔵出し!とくしま〝宝もの〟展 博物館学芸員イチオシ/8 鳴門海峡の化石 海底に眠る最終氷期の痕跡

【ホロタイプ】リビコセラス・アワジエンゼ(アンモナイト) Libycoceras awajiense
 /採集地:兵庫県南あわじ市長田 /白亜紀後期

 白亜紀後期(約8000万?約7000万年前)の地層である和泉層群から採集されたアンモナイト。1988年に新種として日本古生物学会誌で報告された。日本でのスフェノディスク科アンモナイトの産出は稀で、この標本が、新種の基準となる標本(ホロタイプ)となっている。

毎日新聞新聞掲載 蔵出し!とくしま〝宝もの〟展 博物館学芸員イチオシ/5 白亜紀後期のアンモナイト リビコセラス

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