普 及 教 育 事 業

 普及教育事業、とくに普及行事は、「開かれた博物館」をめざし、館員が県民と直接交流できるよい機会であり、力点をおいて取り組んでいる。
 平成14年度は、年間75回の普及行事を実施した。普及行事は県民のあいだに定着してきてはいるが、参加者は徳島市内とその近郊在住者に片寄っている。そのため、歴史散歩、野外自然かんさつ、移動講座において、郡部での開催を増やすなどの工夫をしているが、徳島市以外での行事に対しても参加者は徳島市、鳴門市、小松島市、及び名西郡石井町等からの参加者が多い。今後、広報の方法などにもさらに工夫が必要であると考えている。

 

1.普及行事

 ■歴史体験
 昔の人々の生活に関係のある体験を通じて、ものの性質や当時の人々の生活の知恵を学ぶシリーズ。
4月27日(土) 石オノをつくろう 参加者 28 人
6月2日(日) 江戸時代の農民の主食/麦ごはんを食べてみよう 24人
7月21日(日) 火おこし[1] 31人
8月24日(土) 火おこし[2] 25人
9月28日(土) 土器づくり[1](成形) 33人
10月26日(土) 土器づくり[2](焼成) 34人
11月24日(土) 石のナイフで切ってみよう 13人
12月7日(土) ベーゴマをまわしてみよう 26人
12月15日(日) 古代の乳製品をつくろう 19人
3月1日(土) 勾玉をつくろう 42人

■歴史散歩
 県内の主な遺跡、町並み、建造物などを見学してまわるシリーズ。
5月19日(日) 古墳見学[1] 36人
6月16日(日) 蜂須賀家の墓をしらべよう 33人
9月8日(日) 脇町を歩こう 17人
11月10日(日) 辻町を歩こう 4人
2月15日(日) 古墳見学[2] 29人
3月23日(日) 国府町歴史ウォーク 22人     

 

■野外自然かんさつ
 野外にでかけて行う季節に応じた動植物の観察や地質の見学会。14年度は文化の森周辺のほか、徳島市、鳴門市、引田町、勝浦川河口、那賀川町、羽ノ浦町、由岐町、などで実施した。
5月12日(日) 磯のいきもの[1] 76人
5月26日(日) 磯のいきもの[2] 63人
6月9日(日) 引田町城山の地質見学 8人
7月28日(日) 川魚かんさつ 42人
8月3日(土) 水生昆虫のかんさつ 69人
8月4日(日) 漂着物探し 32人
9月14日(土) 鳴く虫のかんさつ 34人
9月22日(日) 河口のいきもの 29人
10月6日(日) 地層の観察 18人
10月13日(日) アサギマダラをさがそう 17人
11月17日(日) 徳島市内の地質見学 10人
3月16日(日) 立川谷の地質見学 雨天中止

■ミュージアムトーク
 土曜日の午後1時30分から1時間ほど、学芸員が各自の研究テーマや身近な話題について話をするシリーズ。申し込み不要・定員先着50名で実施している。
5月11日(土) ちょっとマニアックな貝化石の話 11人
7月13日(土) 関ヶ原合戦と蜂須賀家 28人
9月14日(土) 古代のわざ 8人
12月14日(土) 渡辺広輝の画業 5人
1月25日(土) 八丈島のなりわいと移り変わり 7人
2月8日(土) 種と実のはなし 3人

 ■室内実習
 主に実習室で行う各種の観察会、講習会。内容に応じて実体顕微鏡、電子顕微鏡、蛍光X線分析装置、赤外線テレビカメラ等の機器も併用して観察を行っている。
 「標本の名前を調べる会」は、毎年8月下旬に行う恒例の行事で、学芸員のほか8名の外部講師の応援を得て実施した。単に名前を教えるだけにならないで、いっしょに調べる姿勢で取り組むよう留意している。
4月28日(日) 春の野草かんさつ 16人
8月3日(土) こどもレプリカ教室 49人
8月10日(土) 植物標本の作り方・名前の調べ方 19人
8月18日(日) かんたんな貝の標本の作り方 49人
8月23日(金) 標本の名前を調べる会 200人
10月20日(日) 秋の草と実 16人
1月19日(日) 落ち葉のいきものたち[1] 22人
2月9日(日) 貝化石標本の作り方 13人
3月2日(日) 落ち葉のいきもの[2] 14人
3月9日(日) 美術品の取りあつかいと鑑賞 8人

■移動講座
 移動博物館の試みとして、学芸員が講師をつとめて館外の社会教育施設と共催で行う講座。14年度は5〜6月に阿波海南文化村で、1〜2月に井川町ふるさと交流センターで実施した。

5月26日(日) 阿波忌部の世界[1] 47人
6月23日(日) 阿波忌部の世界[2] 50人
1月26日(日) 阿波忌部の世界[1] 33人
2月23日(日) 阿波忌部の世界[2] 27人

■みどりの探検隊
4月21日(日) 春の那賀川に咲く植物を探そう 雨天中止
8月17日(土) 夏の那賀川に咲く植物を探そう 9人
9月29日(日) 秋の那賀川に咲く植物を探そう 増水中止
10月27日(日)那賀川の河口に咲く花を探そう 6人

■みどりの工作隊
 自然の材料を使い、遊びの要素を取り入れた実習。
8月25日(日) 葉脈標本できれいなしおりを作ろう 36人
11月2日(土) ドングリゴマをまわそう 25人
12月1日(日) 雑草で年賀状をつくろう 13人
2月2日(日) ウツギの笛づくり 22人
2月16日(日) 竹であそぼう 12人

■企画展関連行事
 企画展開催中に、次の記念講演会及び展示解説を行った。
●企画展「貝化石が語る海の記憶」展示解説
 第1回:4月14日(日) 参加者60人 
 第2回:4月28日(日) 参加者20人
●企画展「海道をゆく−黒潮のはこんだもの−」黒潮トーク
 7月28日(日) 隆起を続けるサンゴ礁の島−喜界島 17人
 8月4日(日) 植物の目から見た黒潮の道 6人
 8月11日(日) コメの渡来ルート 25人
 8月18日(日) イモの祭り(根菜農耕文化と黒潮の道) 10人
 8月24日(土) 本土と南西諸島のヤスデ・貝・カニ 9人
 8月25日(日) 南島の熊野信仰 16人
 9月1日(日) 昆虫と黒潮の道 18人
●企画展「古代のわざ」記念講演会
 11月3日(日)
 会 場:文化の森イベントホール
 講 師:木村法光氏(京都市立芸術大学教授、前宮内庁正倉院事務所保存課長)
 演 題:正倉院宝物に見るいにしえのわざ
 参加者:67人
●企画展「古代のわざ」銅鐸の復元製作実演
 10月20日(日)
 会 場:文化の森野外劇場
 実演者:小泉武寛氏・小泉裕司氏(金属工芸家)
 参加者:136人
●企画展「古代のわざ」展示解説
 第1回:10月13日(日) 参加者29人
 第2回:11月4日(月) 参加者23人

■特別陳列関連行事
●特別陳列「丹波マンガン鉱山の記録−在日コリアンの労働史−」展示解説
 7月6 日(土)  参加者48人

■巡礼研究講演会「四国遍路と六十六部」
 3月22日(土) 参加者173人
 会 場:文化の森イベントホール

■クイズラリー
 毎月第2・第4土曜日(祝日を除く)に、小・中・高校生を対象にクイズラリーを実施している。この行事は、常設展の活用と入館者の獲得を目的に始めたもので、参加者が展示資料に関する簡単な問題を解きながら観覧することで、新しい発見につながることを期待している。参加者全員に簡単な記念品を贈呈している。
4月13日(土) 200人(小 194・中 5・高 3)
4月27日(土) 138人(小 128・中 9・高 1)
5月11日(土) 107人(小 103・中 4・高 0)
5月25日(土) 110人(小 105・中 5・高 0)
6月8日(土) 196人(小 185・中 11・高 0)
6月22日(土) 116人(小 105・中 9・高 2)
7月13日(土) 123人(小 119・中 4・高 0)
7月27日(土) 85人(小 81・中 3・高 1)
8月10日(土) 121人(小 112・中 9・高 0)
8月24日(土) 86人(小 76・中 8・高 2)
9月14日(土) 167人(小 158・中 9・高 0)
9月28日(土) 67人(小 63・中 4・高 0)
10月12日(土) 123人(小 116・中 5・高 2)
10月26日(土) 114人(小 110・中 2・高 2)
11月9日(土) 88人(小 84・中 2・高 2)
12月14日(土) 115人(小 115・中 0・高 0)
1月11日(土) 76人(小 70・中 2・高 3)
1月25日(土) 75人(小 74・中 1・高 0)
2月8日(土) 102人(小 106・中 2・高 2)
2月22日(土) 71人(小 68・中 3・高 0)
3月8日(土) 104人(小 101・中 3・高 0 )
3月22日(土) 65人(小 62・中 2・高 1)
 参加者合計 2,449人(小2,329・中101・高19)

■その他の普及行事
●博物館こどもの日フェスティバル
 5月5日(日)
 博物館と友の会の共催でウォークラリーを実施した。文化の森に10のチェックポイントを設置し、それぞれの問題を解きながら各施設をめぐる。小学生以下の子どもたちには記念品を贈呈した。
 参加者:1,195人

 

2.講師派遣、テレビ・ラジオへの出演等

 館外からの依頼を受けて行った講師派遣、テレビ・ラジオへの出演等を、月日・担当者・内容(依頼者)の順に記す(内容に依頼者が表現されている場合は依頼者を省略)。これらも広義の普及教育活動につながるとの観点から、業務に支障のない限り依頼を受け入れることにしている。

4月11日 茨木 靖 NHKテレビ「情報交差点−ネイチャー徳島」出演(モダマ)
4月20日 長谷川賢二 三好郡郷土史研究会総会で講演「三好郡の中世」(池田町保健センター)
6月6日 田辺 力 NHKテレビ「情報交差点−ネイチャー徳島」出演(ゲジのはなし)
7月21日 中尾賢一 日本野鳥の会徳島支部「沖洲海岸観察会」講師
8月9日 長谷川賢二 城北高等学校職員人権教育研修会で講演「博物館における展示と人権」
9月26〜27日 佐藤陽一 (社)農村環境整備センター 「農村環境技術研修」講師(海部町)
9月28日 長谷川賢二 ヒストリーチャンネル(CS)「ものの怪のすむ国(後編)」出演
10月18日 佐藤陽一 阿南市中野島総合センター「岡 川の生物観察」講師
10月18日 魚島純一 NHKテレビ「情報交差点−OURギャラリー」出演(企画展「古代のわざ」 紹介)
10月24日 大原賢二 NHKテレビ「情報交差点−ネイチャー徳島」出演(アサギマダラ−3)
11月14日 茨木 靖 NHKテレビ「情報交差点−ネイチャー徳島」出演(オニグルミ)
11月15日 佐藤陽一 土木学会四国支部「技術講習会」講師(徳島大学工学部)
11月16日 佐藤陽一 国土交通省四国地方整備局「世界子ども水フォーラムin四国」講師(吉野川ハイウェイオアシス)
12月4日 魚島純一 四国放送ラジオ「えんやこらワイド NTT DOCOMO街角レポート」出演(歴史 体験「ベーゴマをまわしてみよう」紹介)
12月5日 中尾賢一 NHKテレビ「情報交差点−ネイチャー徳島」出演(鳴門海峡の貝化石)
1月17日 佐藤陽一 牟岐川の魚道視察講師(牟岐町産業課) 
1月23日 両角芳郎 NHKテレビ「情報交差点−ネイチャー徳島」出演(阿讃山地の化石)
2月4日 大橋俊雄 NHKテレビ「情報交差点−OURギャラリー」出演(特別陳列「楠コレクションの美術・歴史資料」の紹介)
2月6日 中尾賢一 NHKテレビ「情報交差点−ネイチャー徳島」出演(ハイガイとその化石)
2月8日 魚島純一 四国放送ラジオ「土曜ワイドとくしま」出演(ベーゴマについて)
2月12日 長谷川賢二 同和問題に取り組む徳島県宗教者連帯会議代表者研修会で講演「部落差別と迷信・ケガレ観念のあいだ」(ホテル千秋閣)

 

3.博物館実習生の受け入れ

 博物館実習は、博物館法施行規則第1条で、学芸員となる資格を取得するために「大学において修得すべ き博物館に関する科目」と規定されているもののひとつで、登録博物館または博物館相当施設における実習で修得することになっている。
 当館では、大学からの依頼により原則として県出身の学生を受け入れることにし、夏休み期間中に実習を行っている。4月1日〜5月15日が受付期間で、希望者が多い場合は調整を行い、20数名をめどに承諾書を発行することにしている。
 平成14年度は、8月19〜23日に実習生の受け入れを行った。実習生は25人(男2人、女23人)で、大学別の内訳は次のとおりである。
 四国大学 10人、徳島文理大学 4人、徳島大学 4人、愛媛大学 1人、高知女子大学 1人、 滋賀県立大学 1人、神戸学院大学 1人、神戸女子大学 1人
 カリキュラムは別表のとおりで、指導の都合上、少人数のグループに分割した時間帯もある。学芸員と普及係職員が指導にあたり、資料の整理や調査などについての実習を行った。

4.学校教育との連携

 博物館ではこれまでにも、学校行事(遠足等)での団体見学の受け入れや児童・生徒向けの各種普及行事などを行ってきた。しかし、最近の教育改革に伴う学校完全週5日制や「総合学習」の導入、社会人講師の受入れ等々と関連し、博物館等の社会教育機関に対してもっと積極的な学校教育への支援が要請されるようになってきた。
 博物館は本来、実物資料に基づく体験的な学習ができる場であり、学校教育にとって役立つところであるはずである。当館としても博物館のもつ資源(もの・情報・人)とその活用法を普及するとともに、意識的・系統的に学校教育を支援する活動を行っていくことにしている。
 平成12・13年度には「博物館と学校との連携に関する研究会」(略称「博学連携研究会」)を組織し、博物館と学校との連携のあり方等についての協議を行ってきた。それを踏まえて、14年度は各支援を発展させ、年度末にはその成果を教育利用説明会で発表した。

(1)学校の授業での博物館利用への支援
 理科や社会科の授業、「総合学習」での活動と関連して、クラスやグループ単位で博物館を利用する例が増えてきた。受け入れに当たっては、展示資料だけでなく必要に応じて収蔵資料を見てもらったり、学芸員が助言するなどの支援を行った。

[1]横瀬小学校(勝浦町)6年生・25人
 7月2日(火)
 総合学習で、勝浦町の歴史を調べるために館の展示を利用した。資料について学芸員から説明を行った。(担当者:山川)
[2]城北高校(徳島市)2年生・8人
8月7日(水)
日本史野外講義として来館。(担当者:長谷川)
[3]八万南小学校(徳島市)3年生・111人
 9月11日(水)
 社会科「昔の道具調べ」で来館。所蔵資料を臨時に実習室へ陳列し、学芸員が説明しながら体験学習を行った。(担当者:庄武・磯本)
[4]八万小学校(徳島市)3年生・128人
10月18日(金)
 社会科「昔の道具調べ」で来館。所蔵資料を臨時に実習室へ陳列し、学芸員が説明しながら体験学習を行った。(担当者:庄武・磯本)
[5]八万南小学校(徳島市)6年生
10月29日(火)127名・11月19日(火)45名
総合学習(調べ学習)で来館。1日目に博物館の展示や文化の森各施設を見学し、各々が課題を設定した。その中で博物館について課題をもっている児童が2日目再来館。それぞれの課題について学芸員が説明後、博物館の裏側見学も行った。(担当者:両角・中尾・庄武・佐藤・茨木・大原)
[6]久勝小学校(阿波町)6年生・46名
10月31日(木)
 理科教育の一環として講座室で地層と化石について説明。その後常設展を見学した。(担当者:中尾)
[7]上八万小学校(徳島市)4年生85人
11月8日(金)
総合学習のテーマとして取り上げている「太鼓づくり」について調べるために来館。(担当者:長谷川)
[8]早稲田実業学校(東京都)高等部2年生・5人
12月20日(金)
校外教室(地域調査)「徳島藩についての調査」で来館。(担当者:山川)

[9]加茂名中学校(徳島市)2年生・13人
 11月22日(金)
 アイヌについての聞き取り調査のために来館。(担当者:庄武)

 

(2)学校の授業への講師派遣(出前授業)
 学校からの依頼に応じて、学校での授業に学芸員を派遣した。授業では教員と協同し、持参した博物館資料を活用するなどして、児童・生徒の理解を助けるよう工夫した。

[1]八万南小学校(徳島市) 5月1日(水)・2日(木)
 6年生3クラスで社会科の学習「火おこし」の授業を、博物館から持参した火おこしの道具を使って教員と協同して行った。(講師:魚島)
[2]大松小学校(徳島市) 5月10日(金)
 6年生2クラスで社会科「大昔の人々のくらし(古墳について)」の授業を行った。(講師:高島)
[3]国府小学校(徳島市) 6月24日(月)
 4年生140名で用水路における魚類の生息調査を行った。(講師:佐藤)
[4]池田小学校(池田町) 7月2日(火)
 5年生70名にメダカの観察の仕方を講義しその後 ビオトープ予定地において実地指導を行った。(講師:佐藤)
[5]神山東中学校(神山町) 7月15日(月)
 全校生徒を対象にして、総合学習で水生昆虫の生息調査をもとにした水質の判定を行った。(講師:大原)
[6]川内北小学校(徳島市) 11月1日(金)
 4年生90名に総合学習「土の中のいきものを調べよう」の授業として土壌生物についての説明を行った。(講師:田辺)
[7]木頭小学校(木頭村) 11月27日(水)
 1・2年生18名を対象に落ち葉を利用したカルタづくりを実施。また、6年生17名を対象に地層の授業を実施。(講師:小川・中尾)
[8]宝田小学校(阿南市) 12月4日(水)
 6年生37名を対象に理科「大地のつくり」についての授業を実施。所蔵資料を示しながら化石などについて話した。(講師:中尾)
[9]板野東小学校(板野町) 2月14日(金)
 5年生33名にメダカをとおして環境問題について考える授業を行った。(講師:佐藤)
[10]伊島小学校(阿南市) 2月25日(火)
 全校9名を対象に伊島近海の魚について授業を実施。(講師:佐藤)
[11]八万南小学校(徳島市)
1年生109名に国語「たぬきの糸車」で、実物の糸車を提示し、その使用方法などについて話した。(講師:庄武)

 

(3)博物館資料の学校への貸出し
 学校の授業等で活用してもらうため、平成10年度から博物館資料の学校への貸出しを行っている。学校貸出用資料リストを学校に配布して利用を呼びかけているが、まだ利用は少ない。
 貸出用資料の一層の利用促進を図るため、作年度末に学校貸出用資料解説シートを印刷し、今年度小中学校および高校に配付した。また、来館した教職員には必要に応じて解説シートを配布し利用を勧めた。

[1]北小松島小学校(小松島市) 4月27日
 貸出資料:復元青銅器(銅鐸、銅剣、銅矛、銅戈)
 利用目的:社会科の授業で利用
[2]日和佐小学校(日和佐町) 5月4日〜5月11日
 貸出資料:火おこし道具一式
 利用目的:社会科の授業で利用
[3]上勝中学校(上勝町) 6月8日〜6月19日
 貸出資料:石鏃・トロトロ石器・須恵器・復元青銅器・火おこし道具
 利用目的:社会科の授業で利用
[4]川内北小学校(徳島市) 6月12日〜7月19日
 貸出資料:メダカ・カダヤシ拡大模型
 利用目的:理科の授業で利用。また、飼育水槽横に展示した。
[5]小松島中学校(小松島市) 6月18日〜7月5日
 貸出資料:徳島大空襲解説パネル・同写真パネル・同遺物
 利用目的:総合学習で平和学習・人権学習に利用
[6]城西中学校(徳島市) 6月23日〜7月12日
 貸出資料:雑草で紙づくり実習キット
 利用目的:選択理科の授業で利用。
[7]津乃峰小学校(阿南市) 6月27日
 貸出資料:火おこし道具
 利用目的:教育キャンプで使用
[8]千松小学校(徳島市) 7月3日〜7月5日
 貸出資料:徳島大空襲解説パネル・写真パネル・防空頭巾等
 利用目的:総合学習「徳島大空襲を考えよう」で利用
[9]川内中学校(徳島市) 9月10日〜9月28日
 貸出資料:徳島大空襲資料
 利用目的:文化祭ならびに総合学習の時間に利用。
[11]川内北小学校(徳島市) 10月23日〜11月8日
 貸出資料:ツルグレン装置
 利用目的:総合的な学習の時間に利用。
[12]太田小学校(貞光町) 12月11日〜12月21日
 貸出資料:火おこし道具
 利用目的:5・6年生の体験学習に利用。
[13]太田小学校(貞光町) 2月22日〜3月1日
 貸出資料:火おこし道具
 利用目的:5・6年生の体験学習に利用。

 

(4)職場体験の受け入れ
 中学校・高校での職場体験事業の受け入れを行い、生徒に博物館業務を体験してもらうことによって、博物館に対する認識を高めることができた。

[1]八万中学校(徳島市) 9月10日〜9月14日
 3名 総合学習の一環として実施。
[2]加茂名中学校(徳島市) 10月1日〜10月3日
 4名 文部科学省:豊かな体験活動推進事業の一環として実施。
[3]城南高校(徳島市) 12月13日
 2名 県インターンシップ推進事業
[4]城ノ内高校(徳島市) 12月16日〜12月17日
 3名 県インターンシップ推進事業 

 

(5)教員のための研修
 徳島県教育委員会等からの依頼により、教員対象の研修会を当館で実施し、当館職員が指導に当たった。

[1]海部郡小学校理科教育研究会
 6月1日(土)博物館バックヤード 参加者11名
 見学:収蔵庫等の博物館の裏側見学(案内:大原・坂本) 

[2]平成14年度初任者研修講座  
 8月23日(金)21世紀館会議室 参加者29人
 講義:博物館の概要及び学校教育との連携(講師:両角)
 博物館の普及活動について(講師:坂本)
 見学:博物館の裏側見学(案内:大原・魚島・上野)
[3]徳島県中学校社会科研修会夏期巡検
 8月27日(火)博物館講座室 参加者20人
 見学:収蔵庫等の博物館の裏側見学
    企画展の展示解説(案内:魚島・上野)
[4]徳島市小学校総合学習部会研修会
 10月17日(木)博物館実習室 参加者35名
 講義:博物館と学校教育との連携について(講師:坂本)
 実習:秋の草と実(講師:茨木)
[5]名西郡中学校理科部会研修会
 10月25日(金)博物館バックヤード 参加者10名
 見学:収蔵庫等の博物館の裏側見学(案内:大原・坂本)

 

(6)博物館の教育利用説明会の実施
 「博物館と学校との連携に関する研究会」を過去2年間開催し、議論を重ねてきた。今年度は授業に役立つ博物館の利用方法を紹介するとともに、今までに博物館が実施した学校教育支援事業の成果を発表するための教育利用説明会を実施した。
●日時 2月1日(土)13:00〜16:30
●内容
 <授業に役立つ博物館利用法>
 ・県立博物館の学校教育支援事業について(講師:坂本)
 ・インターネットを利用した博物館情報の活用について(講師:小川)
 <貸し出し資料の展示と説明>(各学芸員)
 <博物館利用実践例の発表>
 ・博物館を利用した授業を通して(八万南小学校 河野 俊恵)
 ・出前授業「地層の学習」を通して(木頭小学校 片岡 弘治)
 ・貸出資料「徳島大空襲」を利用して(川内中学校 小原 伸二)
 <博物館裏側見学>(案内:魚島・大原)
●参加者 44名

 

(7)その他
 博物館での授業、講師派遣、資料の貸出しに限らず、学校の授業やクラブ活動等で自然観察、生活体験、歴史学習等をしようとする場合、どんなことをしたらおもしろいか、どんな資料が活用できるかなどについて、学芸員が博物館での普及行事等の経験を踏まえて教員の相談に応じることにしている。

 

5.博物館の広報活動

 博物館ニュースをはじめ、企画展ポスター、年間催し物案内リーフレット、月間催し物案内等を定期的に幅広く配布することにより、博物館活動のPRにつとめている。これらは県庁記者クラブを通じて広報するほか、報道機関やタウン紙編集室などへも直送している。また、必要に応じて報道機関への資料提供を行っている。さらに、電子メールを利用した催し物案内サービスも行った。

●博物館ニュース、ポスター等の主な県内定期発送先
 小学校 236ケ所
 中学校 96
 高等学校・その他学校 61
 学会・研究所・同好会等 100
 県および県教育委員会各課・機関  59
 市町村教育委員会 50
 公民館・隣保館 237
 市町村および大学図書館 33
 博物館施設 441
 宿泊施設 43
 報道関係機関等 69

●電子メールサービス
 登録者 393人(平成15年3月31日現在)

●報道機関への資料提供
 毎月の催し物案内・県庁だよりや美術品等取得基金によって8月末、11月末、3月末に購入した資料の内容についても資料提供を行った。
4月20日 「博物館こどもの日フェスティバル」の開催について
6月4日 特別陳列「丹波マンガン鉱山の記録ー在日コリアンの労働史ー」の開催について
6月4日 部門展示「前山古墳群の発掘調査」の開催について
7月16日 企画展「海道をゆく−黒潮のはこんだもの −」の開催について
9月10日 部門展示「知らせる道具・広告」の開催について
10月2日 企画展「古代のわざ」の開催について
10月25日 移動展「昆虫の世界」の開催について
11月29日 部門展示「石垣島の民具」の開催について
1月15日 特別陳列「楠コレクションの美術・歴史資料」の開催について
3月11日 巡礼研究講演会「四国遍路と六十六部」の開催について

 

6. 博物館友の会

●会員(平成14年度末)
 個人会員(年会費 2,000円)     112 人
 家族会員(年会費 3,000円)  81組・312人
 賛助会員(年会費 10,000円)      1 人

●役員(平成14年度)
 会 長:寺戸恒夫
 副会長:両角芳郎(博物館長)・和田賢次・関眞由子
 幹 事:石原 侑・徳山 豊・多田精介・樫原剛一・南部洋子・木下 覚・澤祥二朗・大杉洋子
 監 査:森本康滋・川下浩子

●事業
[1]博物館出版物の増刷・頒布
 博物館発行の企画展図録および解説書の増刷・頒布を行った。
[2]広報活動
 13年度会員に対し、博物館ニュース、企画展チラ シ、月間行事案内、年間催し物案内などを送付した。 また、友の会会報「アワーミュージアム」No.16〜18 を発行し、会員に送付した。
[3]企画展・特別陳列説明会
 企画展「貝化石が語る海の記憶」、「古代のわざ」、及び特別陳列「丹波マンガン鉱山の記憶−在日コリアンの労働史」の開催期間中に、会員を対象とした説明会を行った。
[4]野外活動等
 会員を対象とした行事を10回実施した。
 ○こどもの日フェスティバル(博物館と共催)
 文化の森全体を使ってウォークラリーを実施した。近代美術館や文書館の協力も得て10のチェッ  クポイントをめぐった。参加した小学生以下の子どもたちには記念品を進呈した。
 日 時:5月5日(日)9:30〜16:00
 場 所:文化の森総合公園及び各施設
 参加者:1195人
 ○気になる木を探そう
 日 時:5月15日(日)13:00〜16:00
 場 所:博物館 実習室
 参加者:4人
 ○第7回 園瀬川探検
 日 時:6月16日(日)9:00〜15:00
 場 所:佐那河内村根郷から嵯峨まで
 参加者:17人
 ○秋の研修会 「小豆島」
 日 時:9月8日(日)7:00〜19:00
 場 所:香川県小豆島
 参加者:42人
 ○第8回 園瀬川探検
 日 時:10月27日(日)9:00〜15:00
 場所:佐那河内村根郷から宮前まで
 参加者:9人
 ○冬の研修会 「吉備路」
 日 時:11月30日(土)〜12月1日(日)
 場 所:岡山県高梁市他
 参加者:28人
 ○古美術品の調べ方
 日 時:2月23日(日)13:00〜15:00
 場 所:博物館講座室
 参加者:11人
 ○七輪で鍛冶屋さん
 日 時:3月16日(日)13:00〜15:00
 場 所:博物館 実習室・屋外
 雨天のため中止
 ○第9回 園瀬川探検
 日 時:3月30日(日)9:00〜15:00
 場 所:佐那河内村宮前から府能まで
 参加者:15人  

 

7. 普及教育関係出版物

■博物館見学ノート
 2001年11月3日第3版発行、B5判56ページ
 小・中学校の児童・生徒が博物館の展示を利用するにあたり、その教育効果を高めるのに役立つように作成されたワークシート形式のテキスト。1992年3月31日に初版発行して、今回第3版を1,000部印刷した。
 利用方法は多様であるが、主に遠足等で来館しワークシートでの学習を行う学校に配布している。

■博物館ニュース
 館の広報誌で、内容は、学芸員の研究の一端を紹介する"Culture Club"、館蔵品紹介、野外博物館、企画展案内、情報ボックス、レファレンスQ&A、普及行事の案内と記録などから構成されている。A4判・8ページ(全ページカラー)で6,000部を印刷している。
 平成14年度には次の4号を発行した。また、当館ホームページでも公開している。
●No.47(2002年6月15日発行)
 Culture Club  春を知らせる年中行事 −徳島県の太々神楽−
 新旧館長あいさつ
 企画展 海道をゆく−黒潮のはこんだもの−
 館蔵品紹介  鶏蒔絵印籠
 友の会活動紹介 園瀬川探検
●No.48(2002年9月13日発行)
 Culture Club  徳島藩の蒸気船−セントロイス号など購入の顛末−
 情報ボックス 「徳島県地学ガイド」
 企画展 古代のわざ
 野外博物館 海岸でクルミを拾う
 レファレンスQ&A 多樋式・深樋式銅剣は細形銅剣とどこがちがうのですか
●No.49(2003年12月1日発行) 
 Culture Club  絶滅から植物を救うために
 速報  今山の農村舞台(続報)
 特別陳列  楠コレクション
 野外博物館 以西用水の魚類
 レファレンスQ&A 「六十六部」とは何ですか?
●No.50(2003年3月25日発行)
 Culture Club  生きものへの二つの接し方 
 速報  太布織り技術の伝承と創造への試み 
 企画展  歴史を決めた戦い −信長の台頭から家康の覇権まで−
 館蔵品紹介  パラプゾシア −世界最大のアンモナイト−
 レファレンスQ&A ハチは危険な昆虫ですか? 

■その他
●博物館催し物案内
 1年間の普及行事予定を掲載したB4判4つ折のリーフレット。14万部印刷し、県内の小・中・高校生及び教職員全員に配布した。また、博物館ニュースとともに発送するほか、展示室入り口に置いて来館者に自由にとってもらったり、普及行事の参加者に配布したりしている。
●月間催し物案内
 各月の普及行事の実施要領、申し込み方法等の案内を印刷したB4のビラ。報道関係機関等に配布するほか、来館者にも提供している。
●博物館引率の手引き
 学校の遠足などの利用に役立つよう、博物館の入館案内、見学に当たっての留意点、観覧料減免申請手続きなどについて説明した印刷物。年度初めに県内各学校に送付している。


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