調 査 研 究

 調査研究は、博物館における諸活動の根底をなすものである。それは、質の高い調査研究に裏付けられてこそ、最新の情報を盛り込んだ展示や質の高いコレクションの収集、内容豊かな普及活動が可能となるからである。
 当館の調査研究事業には、複数の学芸員グループで、必要に応じては館外の研究者も含めて、特定のテーマを定めて年度単位で集中的に取り組む課題調査、各学芸員がそれぞれの分野や専門とするテーマに基づいて日常的に取り組んでいる個別調査研究、翌々年以降に予定されている企画展のための事前資料調査などがある。
 現在、館長を含む15名の学芸スタッフがこの業務に携わっている。

 

1.課題調査

 平成16年度は、次の3つの課題調査を行った。

(1)潜水漁業の現在とその環境利用

 本課題調査は、平成15・16年度の2カ年計画で実施した。
 潜水漁は、徳島県においては県南地域で行われる採貝・採藻漁法のひとつである。これに関連する歴史学的、民俗学的研究の蓄積は多い。徳島県域を中心にしてみた場合、旧阿部村の海女についての瀬川清子の昭和初期の記述、『阿波のいただきさん』として世に出された岡田一郎氏の研究があげられる。また、1980年代に行われた歳森茂氏による一連の漁具研究などがある。
 しかし、それ以降、最近の事例報告はあまりみない。民俗事象全般に変化が予想されるし、他地域では近年しばしば論じられる環境論からの報告はいまだ十分でない。加えて、近代における出稼ぎや移住など漁民相互の動きの中で、徳島県域は十分に位置づけられていない。
 したがって、漁具、漁法や漁村における民俗に顕れた潜水漁従事者の漁場空間への認識方法、資源管理方法、空間認識について、民俗学的アプローチにより調査を行った。この調査により、潜水漁に関する労働と離島の環境利用の実態を明らかにすることを目的とした。

●調査メンバー
 博物館学芸員:磯本宏紀(民俗)
 館外調査員:小島孝夫(成城大学文芸学部)、木村哲也(周防大島文化交流センター)、高橋健一(日本民俗学会会員)

●調査日程と調査地
 6月4日〜6日:出羽島
 8月2日〜4日:伊島
 10月22日〜24日:出羽島
 2月23日〜25日:伊島

●調査概要および結果
 調査地を阿南市伊島、牟岐町出羽島として、次のような調査分担で調査を行い、調査地における環境利用の概要が明らかになった。
 小島孝夫:離島における農の役割
 木村哲也:山・畑の利用、イモ栽培、イモ食文化
 高橋健一:交通・交易と生業、出稼ぎ
 磯本宏紀:潜水漁における漁場利用

 

(2)木屋平村における空間利用の変遷に関する歴史学的・古生態学的調査

 今日、過疎化と高齢化が否応なく進み、山地は荒廃しつつあるが、かつては豊かな生活空間であった。その歴史的実態を歴史学及び古生態学の方法により学際的に明らかにすることが本調査の目的である。
 とくに、剣山周辺山間部の木屋平村(現在は美馬市域)には古文書が豊富であることから、その周辺地域における調査・検討を試みようとした。

●調査メンバー
 博物館学芸員:長谷川賢二(歴史)
 館外調査員:三宅 尚(高知大学理学部助教授)

●調査日程
 6月5・6日 丸笹山周辺における現地調査、第1回打ち合わせ(長谷川、三宅)
 7月31日 三木家文書の調査(長谷川)
 7〜10月 丸笹山周辺における堆積物試料採取(三宅)
 1月8・9日 第2回打ち合わせ(長谷川、三宅)、高知県梼原村の旧焼畑村落の調査(長谷川)
 3月15・16日 成果検討(長谷川、三宅、調査協力者)

●調査の概要
 美馬市の旧木屋平村三ツ木に伝来する三木家文書を中心とする文献史料から得られる山地利用の情報と、湿地において採取する堆積物試料の花粉分析、植物珪酸体分析及び炭化片分析等の結果により明らかになる植生景観の変遷とを相互に参照し、山地利用の歴史的変遷を明らかにしようとした。
 当初は、木屋平村域において文献史料による情報の得やすい場所を選んで湿地堆積物採取を行い、歴史学・古生態学両面からの分析の整合を図る予定であったが、相次ぐ台風の襲来の影響を受け、十分な調整ができなかった。結果的には、堆積物の採取はつるぎ町域に属する夫婦池で行われた。そのため、堆積物の分析結果に対して、文献史料に基づく解釈を行うという形となった。

●調査の成果
[1]夫婦池(女池)で得られた堆積物試料の花粉化石と炭化片の分析結果から、次のことが明らかとなった。約800年前にはすでに、夫婦池周辺では火災撹乱が頻繁に生じていたと推察され、ブナ、ツガを主体としつつも、コナラ亜属、クマシデ属、カバノキ属なども混生したやや二次林的な性格をもつ針広混交林が成立していた。約700年前以降には、先駆性の強いハンノキ亜属の増加が顕著であり、また、イタドリ属、タケニグサ属、ヒカゲノカズラ属などの混生する二次草地も分布拡大した。約600年前頃のソバ属花粉の連続出現はやや低標高域でのソバ栽培を示唆しており、当地域の山地利用の展開を知る上で重要である。

[2]上記の成果に基づけば、夫婦池周辺では鎌倉〜南北朝時代、とくに13〜14世紀において、植生に対する人為的干渉が進んだと考えられる。その「人為」がもたらされた要因については、現在のところ3点考えられる。
・14世紀には木屋平村最奥地(剣山直下)の山林利用、領有が進行していた(三木家文書)。その動向の延長があり得る。
・南北朝時代は内乱期であるから、政治的・軍事的動向の影響も想定される。とくに徳島県では南朝系文書が剣山周辺山間部に集中していることが手がかりになり得る。
・山地利用に特徴をもつ存在として、木地師の活動が考えられる。ただ、14世紀における動向を示す確かな史料はなく、検討の余地が大きい。

 

(3)ミドリババヤスデの種分化

 ミドリババヤスデは徳島県の森林土壌中に普通に見られるヤスデ類であるが、その生態や分布等については未だ謎が多い。数年来、本種の調査を行ってきたが、その中で本種が県内山間部において急速に複数種に種分化している可能性があることが見出された。このような狭い地域での多発的な種分化は陸生無脊椎動物ではほとんど報告例がなく、学術的に重要であることから、本種の種分化に関する詳細な調査を計画した。

●調査メンバー
 博物館学芸員:田辺 力(動物)

●調査の概要及び成果
 佐那河内村で採集したミドリババヤスデについて室内にて交尾行動の詳細を観察した。また比較材料として岐阜県郡上市で採集したミドリババヤスデ及びヒダババヤスデについても同様に交尾行動を観察し、さらに両種の類縁関係をDNA分析により推定した。その結果、ミドリババヤスデでは、雄が交尾相手の雌が同種かどうかを判断する際に交尾器形態の整合性に基づいてしていることが判明した。
 節足動物の種認識方法では臭いや行動の違いに基づくものが一般的で、今回見出されたような形の違いに基づくものとしはトンボの例が知られているだけであり、今回の発見の学術的意義は大きいと思われる。
 一方、県内のミドリババヤスデの標本を詳細に観察した結果、交尾器形態が急速に多様化していることがわかった。
 これらを総合すると、徳島県で見られる本種の多発的な種分化は、交尾器の形態整合性に基づく種認識システムを背景として、交尾器形態の急速な多様化によってもたらされているもの考えられる。これは新たな種分化機構の発見として注目されるものである。
 この成果については三度の学会発表を行った。

 

2.分野別(個別)調査研究

大原賢二(動物・昆虫)
[1]日本産ハナアブ科の分類学的研究  
[2]徳島県のヒラズゲンセイの分布調査
  徳島県のヒラズゲンセイの分布調査を行った。16年度は徳島市内での発生も新たに2カ所確認できたが、発生地や個体数などの公表は行わなかった。理由は前年度にインターネットでの県産標本の販売などが行われているとの苦情が寄せられたためである。
[3]アサギマダラの移動調査
 アサギマダラの移動について、16年度もマーキング等の調査を行った。16年度の秋の移動記録も多数得られ、特に徳島県から鹿児島県の薩摩半島南西端、南西諸島の喜界島、与論島、および沖縄県沖縄本島ヤンバルの森への長距離移動が確認された。

佐藤陽一(動物・脊椎動物)
[1]メダカとカダヤシの種間関係に関する研究
 徳島大学大学院工学研究科エコシステム専攻との共同研究。
[2]小規模水田魚道に関する研究
 徳島大学大学院工学研究科エコシステム専攻との共同研究。
[3]那賀川における回遊型カジカの保全に関する研究
 徳島大学工学部建設工学科との共同研究。
[4]カワバタモロコ緊急調査
 2005年8月に県下で58年ぶりに生息が確認されたカワバタモロコの分布・生息環境調査を行った。徳島大学大学院工学研究科エコシステム専攻との共同調査。

田辺 力(動物・無脊椎動物)
[1]県産無脊椎動物相の調査
 鳴門市及び徳島市にて海産及び汽水産無脊椎動物相の調査を行った。
[2]ババヤスデ属の種分化及び形態進化についての研究を進めた(曽田貞滋氏らと共同)。
[3]ヒラタヤスデ属の分類学的研究を進めた(R. M. Shelley氏らと共同)。
[4]オオタニワタリ根部に生息するヤスデ類の生態学研究を進めた(唐沢重考氏と共同)

小川 誠(植物)
[1]木沢村の植物相調査
 平成16年度阿波学会の調査の一環として、木沢村の植物相調査を行った(木下 覚、木村晴夫氏らと共同)。
[2]ヨモギ属の分布調査
 日本産ヨモギ属の分化と分布の現状を探るため、沖縄県での分布調査を行った。
[3]インターネットでの情報公開に関する研究
 インターネットで高精度画像を公開する方法について検討した.
[4]県内産絶滅危惧種の分布調査
 徳島県内の絶滅危惧植物の分布調査を行い、県内最大のアゼオトギリ群落を発見した.

茨木 靖(植物)
[1]県産植物相の調査
 神山町を中心に、徳島県の植物相の調査を行った。また、平成16年度阿波学会の調査の一環として、木沢村の植物相調査を行った(木下覚氏らと共同)。
[2]ススキ属他イネ科植物の比較研究
 国内外各地のススキ属、ネズミガヤ属の標本について、その異同、分布などに関しての調査を行い成果を報告した。
[3]県内における海流散布種子の漂着状況を調査し、報告を行った(池渕正明氏と共同)。 

両角芳郎(地学)
[1]日本の上部白亜系の化石層序に関する研究
 阿讃山地の和泉層群から産出するノストセラス科アンモナイトの分類学的検討を行った。

[2]園瀬川の古流路に関する調査
 地形・地質、古絵図、揚水井戸の分布、現地での聞き取り調査等に基づき、江戸時代初期の改修工事以前の上八万盆地内における園瀬川の古流路の復元を試みた。

中尾賢一(地学)
[1]浅海成鮮新統〜更新統の堆積環境と貝化石相の調査
 高知県と長崎県で堆積構造の観察と貝化石の採集 を行った。高知県では、貝化石の分類学的検討を行った(一部を三本健二氏と共同)。
[2]国会議事堂に使われた内装用石灰岩の調査
 国会議事堂の石材調査(東京都永田町)および露頭調査(阿南市および木沢村)、聞き取り調査(阿南市)を行った(石田啓祐氏らと共同)。

辻野泰之(地学)
[1]上部白亜系の軟体動物化石に関する研究
 異常巻きアンモナイト:バキュリテス類の分類の 検討を行った。特に北海道蝦夷層群、米国カルフォルニアおよびアラスカから産出する個体について比較調査を行った。
[2]下部白亜系の軟体動物化石に関する研究
 勝浦、上勝町に分布する下部白亜系物部川層群藤川層から産出するアンモナイトの分類的検討を行った。

高島芳弘(考古)
[1]石井町前山古墳群の報告書作成に向けた調査
 発掘調査時に作成した図面類の整理と20m前後の小さな前方後円墳の類例を調査した。
[2]企画展『縄文の美』資料調査
 青森、岩手、宮城を中心に亀ヶ岡文化関連の資料の所在調査を行った。

魚島純一(保存科学・考古)
[1]臭化メチル燻蒸に替わる燻蒸法の研究
 昨年までの実験を引き継ぎ、小型の窒素発生装置を使った中型資料までの殺虫処理を行った。装置を館外へ持ち出しての処理も実験し、その有効性を確認した。さらに大型資料への応用についての検討を重ねた。
[2]展示室内等における害虫の生息調査
 昨年に引き続き、燻蒸ガスの全廃を控えて、展示室内等での害虫の生息調査を実施し、どの時期にどの場所でどのような害虫が捕獲できるかを調査した。今後も継続して行い、害虫被害の防除に役立てる予定である。
[3]鳥居記念博物館の資料保存環境の調査
 鳴門市にある徳島県立鳥居記念博物館において、適切な保存環境づくりのための基礎資料とするために、収蔵庫や展示室などの温湿度環境の調査を行った。
[4]外部依頼による調査、燻蒸処理等
・県教育委員会文化財課などの依頼を受け、県指定文化財の保存環境の調査、適切な保存環境の助言および燻蒸処理等を行った。
・県立文書館等の依頼を受け、水害を受けて被災した文書資料等の真空凍結乾燥処理を行った。
・香川県埋蔵文化財調査センター、高知県埋蔵文化財センター、高松市教育委員会などの依頼を受け、出土文化財の蛍光X線分析による材質調査を行った。
・徳島市教育委員会、阿波学会などの依頼を受け、文化財等の赤外線TVカメラでの調査を行った。
・県内市町村教育委員会、博物館施設などの文化財保管施設からの依頼を受け、古文書、民具などの燻蒸処理、脱酸素法による殺虫処理を実施した。

山川浩實(歴史)
[1]徳島城の石垣の築造年代に関する調査
 徳島城の石垣について、野面積み・打ち込み接ぎ・切り込み接ぎの3種類の石積み技法に分けて調査を行い、山城と平城との石垣について、3期にわたるおおまかな築造年代を確認した。
[2]徳島城の石垣の刻印に関する調査
 徳島城の正門にあたる大手門を中心に存在する文字や図形の刻印について、積み石の位置確認や刻印の分類を行った。さらに徳島城の刻印と、名古屋城・大坂城の刻印との比較検討を行った。
[3]名古屋城の石垣工事に関する調査 
 徳川幕府から名古屋城の石垣工事を命じられた蜂須賀家の工事箇所について、本丸・西の丸・御深井丸の3箇所を確認した。併せて、石垣工事に伴う蜂須賀家の刻紋調査を行った。

長谷川賢二(歴史)
[1]熊野信仰の伝播に関する調査
 旧木沢村の熊野権現縁起の成立について検討を進めた。
[2]修験道当山派成立前史の再検討
 神山町勧善寺所蔵大般若経巻二〇八奥書の記載を手がかりに、熊野信仰の地方への浸透の様相や修験道当山派の成立前史の検討を試み、日本山岳修験学会大会で報告した。
[3]四国山地における歴史意識の展開に関する研究
 阿波山間部の忌部伝承、剣山周辺の南朝系文書や、祖谷山における平家伝説を手がかりに、山間地域の歴史意識の様相を検討した。
[4]博物館評価の現状と課題についての検討
 日本博物館協会の自己点検ワークショップ方式による博物館評価の意義と課題、利用者の視点を取り入れた評価のあり方について検討した。

庄武憲子(民俗)
[1]木工道具に関する調査
 寄贈を受けた木工道具の展示に向けて、道具の分類方法、使用方法、歴史的変遷、地域的特徴に関する情報の調査、収集を行った。
[2]徳島県内の数ケ寺詣に関する調査
 四国八十八ケ所の巡拝の形態のひとつとされる数ケ寺詣について、県内の事例収集、整理を行った。

磯本宏紀(民俗)
[1]潜水漁及び漁村構造に関する研究
 県南部の漁村を中心に展開される潜水漁について、その環境利用、労働慣行、生業の複合性に関する調査を継続中である。漁村における生業選択の論理探り、近代における移住や出稼ぎから生じた労働慣行について検討した。
[2]民俗誌の記述に関する研究
 主に昭和初期の民俗学確立期に書かれた民俗誌、民俗調査報告等を調査し、民俗の変化、民俗記述の変化を検討するための材料として整理した。また、時代性と記述法の変遷についても考察を進めている。
[3]唐竿の地域差に関する調査
 旧木沢村域の教育委員会所蔵資料を中心として、唐竿の形態、材質、使用形態などの特質について調査した。また、これらのデータをもとに地域差についての検討も行った。なおこれらのデータは、県内を含む四国唐竿調査の一部をなすものである。

大橋俊雄(美術工芸)
[1]県下所在の美術品の調査
[2]徳島の画家守住貫魚について、近年発見された資料に基づいて調査を行った。
[3]飯塚桃葉・谷田忠兵衛の研究
 主に新出作品を中心に調査を行った。とくに桃葉については、銘の書体に注目した。

 

3. 科学研究費補助金による研究

●基盤研究(A)一般(1):北米太平洋に分布する海成白亜系の年代層序と生物相の精密解析(平成14〜16年度)
 研究代表者:棚部一成(東京大学大学院理学研究科教授)
 当館の研究分担者:辻野泰之

●基盤研究(C)一般(2):北西太平洋白亜系古地磁気層序の確率−根室層群・下部蝦夷層群を例として(平成14〜16年度)
 研究代表者:小玉一人(高知大学海洋コア総合研究センター教授)
 当館の研究協力者:辻野泰之

●基盤研究(B)一般(1):二次草地の保全に向けた施策立案のための学際的・保全生態学的研究(平成14〜16年度)
 研究代表者:鎌田磨人(徳島大学工学部助教授)
 当館の研究協力者:長谷川賢二、庄武憲子、磯本宏紀

 

4. 他機関との共同研究

●徳島大学地域貢献特別支援事業「学術標本・貴重資料データベース化事業」(平成15〜16年度)
 国会議事堂の徳島県産石材に関する調査(当館の協力者:中尾賢一)

●日本博物館協会・常盤大学大学院「博物館の業務改善・経営改革に資する自己点検の支援方法に関する調査研究」プロジェクト(平成16〜17年度) 
 研究代表者:水嶋英治(常盤大学教授)
 当館の研究分担者:長谷川賢二

 

5. 研究成果の公表

(1)徳島県立博物館研究報告第14号

 2004年3月31日発行、B5判140ページ、1,200部
 (*は館外研究者)

小串重治*・鎌田磨人*・長谷川賢二:徳島県東祖谷山村落合峠における利用・管理形態の変化とそれに伴う植生の変化.p.1−20
三本健二*・中尾堅一:高知県の鮮新統唐ノ浜層群穴内層から新たに確認された貝類化石(1).p.21-35.
中島拓*・湯浅喜久一*・梶本泰司*・岡崎真也*・志水克人*・大原賢二:トダセスジゲンゴロウCopelatus nakamuraiの徳島県からの記録.p.37−41.
高橋健一*:海に潜る技術をもつ人びとの出稼ぎ−徳島県伊島の貝捕りさん−.p.43-60.
大原賢二:アサギマダラの移動に関する徳島県の記録(2004年).p.61-82.
茨木靖・木下覺*:徳島県におけるナンカイヌカボ(イネ科)の記録.p.83-84.
茨木靖・成田愛治*・佐治まゆみ*:ユノミネシダ(コバノイシカグマ科)の四国における産地.p.85-86.

 

(2)博物館ニュース "Culture Club" 欄記事

大橋俊雄:「新町川渡初図」の下図.No. 55, p. 2-3.
両角芳郎:上八万盆地の園瀬川の古流路.No.56, p. 2-3.
茨木靖:ムスタン−風の谷の花々を求めて−.No. 57, p. 2-3.
磯本宏紀:写された島のくらし−出羽島の写真− .No.58, p. 2-3.

 

(3)当館刊行物以外への掲載(*印:館外研究者)

●査読付学術雑誌掲載論文

<植物>
Ibaragi, Y. (2004.10) Muhlenbergia longistolon Ohwi (Gramineae), a New record from Nepal. Journal of Japanese Botany. 79(5): 340-341.
Ibaragi, Y. (2005.3) Miscanthidium junceum subsp. teretifolium (Poaceae); a new combination for an African grass. Journal of Phytogeography and Taxonomy52(2): 175-178.

●一般著述(単行本・図書)

<動物>
大原賢二(2004.12)Insecta,Diptera,Syrphidae.Fresh-water Invertebrates of the Malasian Region.p.826-831.

<歴史>
長谷川賢二(2004.6)天正の法華騒動と軍記の視線−三好長治の「物語」をめぐって−.高橋啓先生退官記念論集編集委員会編「高橋啓先生退官記念論集 地域社会史への試み」 ,原田印刷出版:83-108.
長谷川賢二(2005.2)中世の伊吹山と山伏―『大原観音寺文書』が語ること―.市立長浜城歴史博物館編「近江湖北の山岳信仰」 ,市立長浜城歴史博物館・サンライズ出版:72-76.
長谷川賢二(2005.3)第2編第2章のうち ,第1節4宗教と文化;第10節中世の寺院と神社;第12節勧善寺所蔵大般若経.神山町史編集委員会編「神山町史 上巻」 ,神山町:203-210 ,306-315 ,323-348.

<民俗>
庄武憲子(2005.3)神山のくらし(第1節6 ,第4節2をのぞく);年中行事;人の一生.神山町史編集委員会編「神山町史 上巻」 ,神山町:615-624 ,633-672 ,678-701 ,931-995.

●一般著述(逐次刊行物 ,その他)

<動物>
大原賢二(2005.3)赤坂御用地および常磐松御用邸のハナアブ科(双翅目).国立科博専報 ,(39):325-331.
大久保美知子・上月康則・田代優秋・佐藤陽一・村上仁士(2004.09)徳島県の農業水路を対象とした魚類生息環境の評価について. 第59回土木学会年次学術講演会要旨集 ,(59):567-568.
佐藤陽一(2004.05) 魚博士の吉野川魚図鑑 連載第10回:アカエイ.四国三郎吉野川, 16:5.
佐藤陽一(2004.07) 魚博士の吉野川魚図鑑 連載第12回:スナヤツメ.17:10.
田代優秋*・上月康則*・佐藤陽一・大久保美智子*(2004.09)カダヤシとの混成によるメダカ個体の健全性の変化について.2004年度日本魚類学会年会講演要旨:51.
佐藤陽一・清水孝昭*・岡部健士*・渋谷雅紀*(2004.09)那賀川下流域におけるカジカ・アユカケの分布と生息環境.2004年度日本魚類学会年会講演要旨:81.
田代優秋*・上月康則*・平井直彦*・太田充宏*・佐藤陽一・村上仁士*(2004.11)徳島県における小規模水田魚道の現地実験について.2004年度ゴリ研究会講演要旨集:3.
佐藤陽一・清水孝昭*・岡部健士・*渋谷雅紀*(2004.11)那賀川下流域におけるカジカ・アユカケの生息場評価―偏りのあるデータの解析をどうするか?―.2004年度ゴリ研究会講演要旨集:4.
佐藤陽一(2004.12)魚博士の吉野川魚図鑑 連載第12回:ヌマチチブ.四国三郎吉野川, 18:5.
佐藤陽一(2005.01[2004.03])淡水魚.徳島県県民環境部環境局環境企画課編 ,徳島県環境基本計画(資料編):117-127.
佐藤陽一・古川学*・田代優秋*・大久保美知子*・平井直彦*・東知里*・小笠原直紀*・上月康則*・村上仁士*(2005.03)徳島県におけるカワバタモロコの分布と生息環境.第52回日本生態学会大会講演要旨集:220.
田代優秋*・上月康則*・佐藤陽一・村上仁士*(2005.03)外来魚カダヤシによるメダカへの影響と保全策に関する一考察.第52回日本生態学会大会講演要旨集:322.
田辺 力(2004. 7)書評: The millipedes (Diplopoda) of the Asian part of Russia, by E. V. Mikhaljova. Acta Arachnologica, 53: 66.

<植物>
Yukawa T*., J.Yokoyama *&M.Ogawa (2004) A taxonomic revision of Cremastra (Orchidaceae).Finding of a new species and phylogenic implications. Journal of Plant Reserch, 117:38
真鍋邦男*・木下覺*・植北ちず子*・小川誠・片山泰雄*・木内和美*・木村晴夫*・小松研一*(2004.3)美郷村の植物.阿波学会紀要 第50号 美郷村総合学術調査 ,阿波学会:23-34.
池渕正明*・茨木靖(2004.12)徳島県の漂着種子と果実2. 漂着物学会会報 12: 6.

<地学>
両角芳郎(2004.12)学芸員資格と学芸員の専門性.博物館研究 ,39 (12):2-4(巻頭言).
石田啓祐*・吉岡美穂*・岡本治香*・難波亜里子*・中尾堅一・香西武*(2004.11)徳島県産国会議事堂大理石の研究−その1.産地と地質概要.徳島大学総合科学部自然科学研究 ,18:15-23.
辻野泰之・前田晴良*・重田康成* (2005. 3) 米国カリフォルニア州Sacramento Valley 北西部の上部白亜系Chico Formationについての調査報告. 平成14-16年度科学研究補助金基盤研究(A)(1)研究成果報告書: 北米太平洋に分布する海成白亜系の年代層序と生物相の精密解析.
重田康成*・棚部一成*・伊庭靖弘*・前田晴良*・辻野泰之 (2005.3) アラスカ南部 ,Talkeetna山地Alfred Creekに分布する上部白亜系層序. 平成14-16年度科学研究補助金基盤研究(A)(1)研究成果報告書: 北米太平洋に分布する海成白亜系の年代層序と生物相の精密解析.

<考古>
魚島純一(2005.3)善通寺市野田院古墳から出土した遺物に付着した赤色顔料の蛍光X線分析について.「史跡有岡古墳群(野田院古墳)保存整備事業報告書」 ,善通寺市教育委員会:90-91.

<歴史>
松下師一*・森 千枝*・日野善雄*・根津寿夫*・阿部聡美*・長谷川賢二(2004.3)美郷村における古文書調査.阿波学会紀要 ,(50):139-155.
長谷川賢二(2004.3)書評と紹介 鈴木昭英著『修験道歴史民俗論集一 修験教団の形成と展開』.山岳修験 ,(33):67-71.
長谷川賢二(2004.4)「差別をなくす」とはどういうことだろうか.(財)徳島県同和対策推進会編「展望2004年度」 ,(財)徳島県同和対策推進会:18-21.
長谷川賢二(2005.2)部落史の視点―近代社会再考―.第32回美馬郡社会人権・同和教育研究大会分科会報告書・講演録 ,美馬郡人権教育推進協議会:19-32.
長谷川賢二(2005.3)小杉榲邨と『徴古雑抄』.史窓 ,(35):60-73.

<民俗>
庄武憲子(2004.7)徳島の河童伝承について.四国民俗 ,(36・37合併号) ,四国民俗学会:55-82.
庄武憲子(2005.3)五か所参り・十七か所参りについて(名西郡神山町での聞き書き);猿幟について(続報);新刊紹介 高田豊輝著『栽培から染色まで―藍染めは誰でもできる』.徳島地域文化研究 ,(3) ,徳島地域文化研究会:36-47 ,189 ,198-199.

磯本宏紀(2004.12)鉄条打撃部をもつカラサオの受容―徳島県木沢村の事例―;民具集積 ,(10) ,四国民具研究会:60-69.
磯本宏紀(2005.3)伊島を訪れたヘンドと呼ばれた人々;徳島地域文化研究 ,(3) ,徳島地域文化研究会:28-35.

<美術工芸>
大橋俊雄(2004.10)塗師藤重に関する文献史料−藤重・藤重藤元をめぐって−.漆工史27号 ,漆工史学会 ,46-64.

 

(4)学会・研究会等での発表(*印:館外研究者)

大久保美知子*・上月康則*・田代優秋*・佐藤陽一・村上仁士*(2004.09)徳島県の農業水路を対象とした魚類生息環境の評価について.第59回土木学会年次学術講演会(愛知).
田代優秋*・上月康則*・佐藤陽一・大久保美智子*(2004.09)カダヤシとの混成によるメダカ個体の健全性の変化について.2004年度日本魚類学会年会(沖縄).
佐藤陽一・清水孝昭*・岡部健士*・渋谷雅紀*(2004.09)那賀川下流域におけるカジカ・アユカケの分布と生息環境.2004年度日本魚類学会年会(沖縄).
田代優秋*・上月康則*・平井直彦*・太田充宏*・佐藤陽一・村上仁士*(2004.11)徳島県における小規模水田魚道の現地実験について.2004年度ゴリ研究会(島根).
佐藤陽一・清水孝昭*・岡部健士*・渋谷雅紀*(2004.11)那賀川下流域におけるカジカ・アユカケの生息場評価―偏りのあるデータの解析をどうするか?―.2004年度ゴリ研究会(島根).
佐藤陽一・古川学*・田代優秋*・大久保美知子*・平井直彦*・東知里*・小笠原直紀*・上月康則*・村上仁士*(2005.03)徳島県におけるカワバタモロコの分布と生息環境.第52回日本生態学会大会(大阪).
田代優秋*・上月康則*・佐藤陽一・村上仁士*(2005.03)外来魚カダヤシによるメダカへの影響と保全策に関する一考察.第52回日本生態学会大会(大阪).
田辺 力・曽田貞滋*(2004.9)雄の交尾器仮挿入による種認識:ミドリババヤスデ種複合体の例.日本昆虫学会第64回大会(札幌).
田辺 力・曽田貞滋*(2004.9)性的コンフリクトによる交尾器のサイズ多様化と多発的種分化:ババヤスデ属の例.日本昆虫学会第64回大会シンポジウム「交尾器の進化と多様性:分類学、形態学、行動学、進化学の接点」(札幌).
田辺 力・曽田貞滋*(2004.12)雄の交尾器仮挿入による種認識:ミドリババヤスデ種複合体の例.日本動物行動学会第23回大会(福岡).
田辺 力・曽田貞滋*(2005.3)性選択による交尾器多様化で生じる種分化:ミドリババヤスデ種複合体.日本生態学会第52回大会(大阪).
遊川 知久*・横山 潤*・小川 誠(2004.9)サイハイラン属は何種か? 日本産未記載種の発見と進化の実態.日本植物学会(藤沢).
國府方吾郎*・齋藤由紀子*・近藤勝彦*・小川誠・小西達夫*(2004,11)日本産広義シオン属(キク科)10種における核型と染色体上ribosomal DNA部位の比較.日本染色体学会(岡山)
小川 誠(2004.10)徳島県産植物に関する2〜3の新知見 その2.四国植物研究会(愛媛)
小川 誠(2005.3)ホームページの高度情報化 高精度画像の発信について.博物館ホームページ推進研究フォーラム研究集会(静岡).
両角芳郎(2003.12)徳島県立博物館の自己評価方式.文化庁平成16年度美術館等運営研究協議会(東京).
中尾賢一(2004. 6)口之津層群北有馬層の堆積環境と貝化石群.日本古生物学会2004年年会(北九州).
石田啓祐*・吉岡美穂*・岡本治香*・難波亜里子*・中尾堅一・香西武*(2004.9)徳島県産国会議事堂大理石の地質学的位置づけ.日本地質学会第111年総会・年会(千葉)
辻野泰之・重田康成*(2004. 6) 現生オウムガイの連室細管の切断実験とその修復様式. 日本古生物学会2004年年会 (北九州).
魚島純一(2004.6)小型の窒素発生装置を用いた博物館資料の殺虫処理実例.第26回文化財保存修復学会大会(奈良)
長谷川賢二(2004.6)博物館と地域のあいだ.徳島博物館研究会例会(徳島).
長谷川賢二(2004.11)14世紀における三宝院流熊野長床衆の痕跡.第25回日本山岳修験学会大会(新宮).
長谷川賢二(2005.3)学芸員の考える博物館の使命.第1回四国ミュージアム研究会(高知).
磯本宏紀(2004.7)徳島県の山間地で使用されるカラサオ.四国民具研究会例会(高松).
磯本宏紀(2004.9)徳島県伊島の生業複合と漁場選択.岡山民俗学会(岡山).
磯本宏紀(2004.10)潜水漁における水平漁場と垂直漁場―伊島の漁場選択の論理―.日本民俗学会年会(尼ヶ崎).


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