資 料 の収 集 ・保 存と活用

 資料の収集と保存は、博物館にとって最も基本的な機能である。当館では開館以来次の4つを基本方針として資料を収集している。
 1)徳島の自然と人文に関する資料のすべてを収集の対象とする。
 2)地域に根ざしたテーマを設定し,計画的かつ集中的な収集をする。
 3)徳島の概要あるいは特性を把握するため,世界を対象とした比較資料の収集をめざす。
 4)一次資料のみならず、すべての二次資料をも収集する。
 資料の収集手段としては、採集・購入・寄贈・交換など様々な方法で行っている。学芸員自らが積極的に収集しているほか、最近では、県民や官公庁からの資料の寄贈も増えてきている。
 収集した資料は、調査研究に役立てているだけでなく、展示や教育活動、他の博物館や研究者への貸し出しなどを通じて有効に活用している。
 平成17年度も6名(人文3、自然3)の文化推進員・臨時補助員の補助を得て、資料の整理作業を進めた。

1.採集資料

●動物
園瀬川産魚類 7点
エゾシカ頭骨 1点 辻野泰之
ヒラズゲンセイ・セミほか昆虫  多数
●植物
 県内各地の標本     多数
 海浜生植物標本   多数
●地学
 モササウルス歯 1点
 大分県産岩石 2点
 県内および北海道産白亜紀動物化石 多数
 高知県・長崎県産第三紀〜第四紀貝化石 多数
 栗坂層座二枚貝化石 1点

2.購入資料

 なし
             購入資料合計 0点
3.寄贈資料

●動物(脊椎動物)
イノシシ頭骨 1点 阿部保夫氏
オオアカゲラ 1点 松本久市氏
ニホンカモシカ 1点 徳島県文化財課
コルリ 1点 東條秀徳氏
四国産イシドジョウ標本 6点 洲澤譲
ヤツメウナギの一種写真 3点 徳島新聞社阿南支局
アナグマ写真 2点 徳島新聞社牟岐支局
岡山県産アユモドキ画像 7点 岡山淡水魚研究会
マムシ黒色個体 1点 徳島新聞社小松島支局
スズメ 1点 尾方めぐみ氏
コウモリの一種 1点 佐藤南海氏
牟岐川産アユカケ画像 2点 徳島新聞社牟岐支局
徳島南環状道路調査魚類標本 多数 国土交通省徳島河川国道事務所
ヤマカガシ写真 2点 福永里子氏
オオタカ 1点 吉田和人氏
ヤマドリ 1点 桜谷小学校
アオバト 1点 吉田和人氏
タシギほか鳥類 4点 曽良寛武氏
江湖川南地区ほか魚類標本 多数 徳島県農山村整備課
野村ダム湖産ミドリガメ 2点 高橋弘明氏
スッポン 1点 岸渕隆一氏
佐那河内村産シコクトガリネズミ 1点 井口光二氏
那須産ヒメヒミズ 1点 佐藤亮氏
オオウナギ 1点 葛木憲二氏
キジバト 1点 文化の森保安センター
アカネズミほか 2点 田渕武樹氏
西祖谷山村産ヨシゴイ画像 1点 徳島新聞池田支局
竹須賀地区(川内町)産ほか魚類標本 多数 徳島県農山村整備課
ニホンジカ剥製 1点 榊実氏
ゴクラクチョウほか 多数 天羽一夫氏
福井川産ナガレホトケドジョウ標本ほか 多数 大川健次氏
タシギ 1点 宮本勇氏
鳴門市カワバタモロコ調査ほか魚類標本 徳島県農山村整備課
キジ 1点 手塚喜久雄氏
ヤマドリ 1点 森芳雄氏
ハイタカ 1点 牟岐少年自然の家
岡川産魚類標本 徳島県河川課
ハイタカ 1点 長尾碩修氏
フクロウ 1点 石川茂夫氏
動物による樹皮剥ぎ跡写真 2点 岡崎秀一氏
徳島南環状道路調査魚類標本 多数 国土交通省徳島河川国道事務所
那賀川西部地区ほか調査魚類標本 多数 徳島県農山村整備課
キジバト 1点 文化の森保安センター
コミミズク 1点 神野忠氏
ハイタカ 1点 吉田和人氏
ツクシガモ剥製 1点 渡辺誠氏
奥の池(脇町)産魚類標本 徳島県農山村整備課
ヤマネ 1点 森本利幸氏
ヒミズ 1点 徳島県立農業大学校
蜂須賀正氏氏蔵書 7点 蜂須賀正子氏
徳島県農山村整備課「田んぼの生きもの調査」魚類標本 多数 徳島大学大学院エコシステム研究科
新居浜市東川産魚類標本 多数 高橋弘明・渋谷雅紀氏
暮越池(小松島市)産魚類標本 多数 徳島県農山村整備課
イシドジョウ標本 多数 洲澤譲
マミチャジナイ 1点 石川茂夫氏
オキナワオオコウモリ 1点 佐々木健志氏
徳島県産ツキノワグマほか哺乳類剥製 25点 徳島県立県民の森資料館(徳島県林業振興課)
水田魚道調査魚類標本 多数 徳島大学大学院工学研究科エコシステム専攻
●動物(無脊椎動物)
吉野川河口産無脊椎動物標本 多数 徳島県都市道路整備局
徳島市川内町産甲殻類標本 多数 徳島県農山村整備課
吉野川河口産無脊椎動物標本 366点 徳島県都市道路整備局
ナガミミズ亜目の一種 4点 高橋忠雄
徳島南環状道路調査底生動物標本 多数 国土交通省徳島河川国道事務所
那賀川西部地区ほか調査底生動物標本 多数 徳島県農山村整備課
●昆虫
 エゾゼミ         1点 吉田正隆氏
 フユシャク        2点 永井洋三氏
●植物
 徳島県産標本 多数  木下 覚氏
 徳島県産標本 多数 田渕武樹氏
 徳島県産標本 18点 佐治まゆみ・成田愛治氏
 インドネシア産種子 9点  西山保典氏
 フィリピン及びタイ産種子果実 5点  船越英伸氏
 ススキ標本 1点 木場英久氏
 沖縄県石垣島産植物 2点 村上構三氏
 トキワススキ 美馬町産 1点 真鍋邦男氏
 オオニワゼキショウ 1点 斉藤 正氏
 ミャンマー産イネ科標本 51点 高知県立牧野植物園
 県民の森調査証拠標本 多数 剣山県民の森資料館
 土地改良関連調査証拠標本  多数 徳島県土地改良事業団体連合会
●地学
 徳島県内産化石標本ほか 19点 徳島大学地学教室
 蝦夷層群産二枚貝化石 28点 辻野泰之氏
 愛媛県産束沸石 1点 田邊一郎氏
 イノセラムスおよびヒメバラモミ 2点 竹田秀雄氏
 硫黄および石膏 2点 佐藤陽一氏
 高知県産オウムガイ化石 1点 岩田博英氏
 黒曜岩 7点 魚島純一氏
 珪化木および鉄砲石 34点 中根昭氏
 唐ノ浜層群産貝化石 15点 三本健二氏
 三葉虫、アンモナイトほか 8点 天羽一夫氏
 植物化石 4点 加藤正明氏
 鳴門海峡海底産貝化石 1点 小野守、澤靖彦氏
 植物化石 1点 小川誠氏
 栗坂層産アンモナイトほか 14点 水野吉昭・蜂矢喜一郎氏
 小松島市産完新世貝化石 4点 石田啓祐氏
 栗坂層産アンモナイトおよび二枚貝 2点 水野吉昭氏
 羽ノ浦層産ウミシダ化石 1点 鎌田誠一氏
 羽ノ浦層産ウミシダ化石 4点 大路樹生氏
 岡山県産マクガイ類化石 1点 西川忠行氏
 中生代化石および岩石 6点 糸魚川幸次氏
●考古
 徳島県指定有形文化財考古資料 樋殿谷出土蔵骨器関係資料 18点 竹内 進氏
●歴史
 棟札            5点  北原国雄氏
●民俗
 カメラ            1点  佐藤正年氏
 昭和33年の徳島市街のプリント写真
                4点  高田豊輝氏
 婚礼衣装打掛・長襦袢     2点  葛佐ふみ子氏
 笠・目籠・蓑        7点  北原国雄氏
 竹籠            2点  渡部武雄氏
 唐竿            1点  阿芸克子氏
 人寄せ用具         10点  増谷重之氏
 海女用具          4点  ハン・チュンセン氏
 肥桶            1点  小林哲夫氏
 盥             1点  坂崎初雄氏
●美術工芸
 須木一胤資料       877点  須木成芳氏
 蒔絵提重          1点  近藤 豊氏

4.寄託資料(新規分のみ)

●美術工芸
 薄蒔絵煙草盆ほか    2点  鬼田洋一氏
 亀画賛 閑々子筆    1点  今川一夫氏
 木造十一面観音立像ほか 2点  青蓮院
 梅竹蒔絵重箱ほか  3点  三谷昌敬氏
 仮面ほか      25点 藤野安信氏

5.資料の貸し出し

 学校への資料の貸し出しは「学校教育支援事業」の項に記載した。

●動物
 昆虫標本 10箱 池田町教育委員会
 マダラギンポ標本 1点 東京海洋大学海洋科学部
 イタチ骨格標本・仮剥製 18点 京都大学理学研究科
 ウミタナゴ標本 10点 京都大学総合博物館
 タモロコ標本 5点 高橋弘明
●地学
 メタセコイアの球果および産状写真  23点と11枚 夕張市石炭博物館
 唐ノ浜産二枚貝化石 3種 筒井牧子氏(国立科学博物館)
 自然金(山金および砂金) 2点 特別展Go!Go!ゴールド実行委員会
 和泉層群スッポン化石および新生代貝化石 10点 きしわだ自然資料館
 勝浦町産イグアノドンの歯化石(写真) 1点 小学館出版局
 ジュラ系栗坂層産アンモナイト 6点 深田地質研究所
 羽ノ浦層産ウミシダ化石 7点 大路樹生氏(東京大学大学院理学研究科)
 チラノサウルス骨格(写真) 1点 小学館
●考古
 田村谷銅鐸〔複製〕ほか 27点 海南町立博物館
 古屋岩陰出土遺物ほか 30点 愛媛県歴史文化博物館
 鮎川西ノ宮遺跡出土臼玉ほか 19点 徳島市立考古資料館
 若杉山遺跡出土石臼ほか 19点  徳島市立考古資料館
 忌部山古墳群出土資料 23点 ガレの森美術館
●歴史
 近代部落史関係資料  12点  松茂町歴史民俗資料館
 徳島大空襲関係資料   37点  川内中学校
 灯火管制用電球笠ほか   6点  鳴門教育大学附属図書館
 阿波忌部関係資料    7点  ガレの森美術館
●民俗
 鬼神面       1点  高知県立歴史民俗資料館
 琺瑯看板ほか   37点  徳島市立徳島城博物館
●美術工芸
 森崎春旦筆 松に鷹図下絵ほか 3点 徳島市立徳島城博物館
 村瀬魚親筆 みとものつら絵巻 1点 徳島市立徳島城博物館
 須木一胤筆 徳島城図 1点 名古屋市秀吉清正記念館
 渡辺広輝筆 祖谷山絵巻 1点 徳島市立徳島城博物館

6.資料の交換

●植物(受入数)
 オレゴン州立大学(OSC) 140点
 東北大学(TUS)    225点

7.資料の提供

●動物
 スズメ 2点 北海道大学大学院地球環境科学研究科
 ツキノワグマほか体毛 5点 名古屋大学環境学研究科
 高知県産レッドデータ魚類データ 34点 高知大学理学部自然環境科学科

8.館蔵資料数

 平成18年3月末日現在の分野別収蔵資料数は次表のとおり。
 収蔵資料については、整理、標本作製等がすんだものから順次コンピュータ入力し、資料データベースを作成している。

 

9.資料収集委員会

 館長の諮問に応じて博物館における購入資料について審査する機関として、博物館資料収集委員会が設置されている。本委員会は、「美術品等取得基金による美術品等の取得要領」の規定に従って、1件200万円以上の購入資料について審査する。
 委員は常任委員(5名以内、任期2年)と特別委員(3名以内)から構成されており、特別委員は、購入資料に応じて特に必要がある場合にその都度委嘱される。
 17年度は、委員会に諮るべき資料について教育委員会内での事前了解を得るに至らず、委員会は開催できなかった。

 

10.文献資料の収集

 文献資料から得られる情報は、調査研究にはもちろんのこと、展示や普及教育などの博物館活動全般にわたるレベルアップをはかる上で不可欠である。当館では、人文・自然史分野の専門書や学会誌のほか、徳島県を中心とした地方史誌類や普及教育用図書も収集している。また、内外の博物館等の研究報告・年報・展示解説書等も交換により収集している。

●購入図書冊数(デ−タベ−ス登録数)
  12,048冊(平成17年度分 108冊)
●購入雑誌
 自然史系(26タイトル):生物科学、科学、日経サイエンス、海洋と生物、月刊海洋、遺伝、プランタ、月刊むし、昆虫と自然、地学雑誌、月刊地球, American Journal of Botany, Cladistics, Episodes, Evolution, Geology, Journal of Evolutionary Biology, Journal of Paleontology, Nature, Paleobiology, Science, Systematic Botany, The American Naturalist, Trends in Ecology and Evol., Lethaia, Palaeontology
 人文系(32タイトル):美術研究、美術史、佛教芸術、地方史研究、地理、芸術新潮、芸能史研究、月刊考古学ジャーナル、月刊文化財、月刊文化財発掘出土情報、季刊考古学、考古学と自然科学、古文化財の科学、古代文化、古代学研究、国華、古文書研究、考古学研究、考古学雑誌、九州考古学、文化人類学、日本の美術、日本民俗学、日本歴史、日本史研究、歴史学研究、歴史評論、歴史と地理、歴史地理学、史林、史学雑誌、信濃

●当館刊行物の定期発送先(平成18年3月末現在)
 博物館ニュース  1,408ヶ所
 博物館年報      471ヶ所
 研究報告  国内   555ヶ所
       国外   152ヶ所
 展示解説       235ヶ所
 企画展図録 自然  132ヶ所
       人文   242ヶ所

11.資料の燻蒸

 収集した資料、貸し出し後返却された資料は、原則としてすべて収蔵庫への搬入、展示に先だって燻蒸を行う。
 当館では資料の形態や量などによって、次の3種類の燻蒸を行っている。

●減圧燻蒸装置による燻蒸
 小型資料の燻蒸は、資料の受け入れのつど、担当学芸員が減圧燻蒸装置を使って行う。減圧燻蒸装置の有効内寸は、たて130cm×よこ120cm×奥行140cm(約2.3?)である。
 2005年1月からはこれまでの燻蒸剤に代わって酸化エチレン製剤を使用する予定である。
 17年度は減圧燻蒸装置による燻蒸は実施していない。

●常圧燻蒸庫での燻蒸
 減圧燻蒸装置に入れることができない大型の資料は、一時保管庫(24時間空調)に仮収蔵し、資料が適当な量になった時点で常圧燻蒸庫で燻蒸する。
 常圧燻蒸庫は床面積20?×高さ3m(約60?)であり、燻蒸は文化財専門の燻蒸業者に委託している。
 2005年1月からはこれまでの燻蒸剤に代わって酸化エチレン製剤を使用している。
 17年度は2回の常圧燻蒸庫での燻蒸を行った。

●収蔵庫の全室密閉燻蒸
 収蔵庫への出入りなどにともなって、害虫やカビなど資料の保存に悪影響を与えるものが侵入することがある。そのために、原則として3年に1回、専門業者に委託して収蔵庫の全室密閉燻蒸を行っている。
 17年度は、生物収蔵庫、歴史民俗収蔵庫(特別収蔵庫1・2、馴化室を含む)において、酸化エチレン製剤の燻蒸剤を使用した全室密閉燻蒸を行った。燻蒸後、使用したガスは大型の活性炭吸着装置で回収した。また、燻蒸剤の使用量をできるだけ少なくするために、考古収蔵庫と地学収蔵庫ではエムペントリン製剤による簡易燻蒸を実施した。

  


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