17年度実績と自己点検・評価 1.資料の収集・保存と活用 〈1-1〉 〈1-2〉 〈1-3〉 〈1-4〉 〈1-5〉 〈1-6〉 〈1-7〉 2.調査研究 〈2-1〉 3.展示
〈3-1〉 4.普及教育 〈4-1〉 5.シンクタンクとしての社会貢献 〈5-1〉 6.情報の発信と公開 〈6-1〉 7.マネージメント 〈7-1〉
・H15年度を基準とした収蔵資料点数の年度増加目標値は2,910点下回った。昨年度も1,709点下回っていたので、2年連続して下回ったことになる。もともと年間の資料収集点数はバラツキが非常に大きいので、これをもって直ちに低下傾向にあるとはいえないが、昨年度は購入による収集が0点であったことが関係しているかもしれない。平成12〜16年度の購入資料点数の平均値および中央値はそれぞれ15,416点と1,596点であり、資料収集に少なからず貢献していたと考えられる。
・寄贈資料件数は、目標値より32件多かった。
・受入図書冊数は予算に依存しているため、予算が縮小している中では今後の目標達成は困難と思われる。
・新規寄託受入件数は、目標値より5件少なかった。
・昨年同様、収蔵資料点数に対するDB登録点数の割合として算出した。昨年度は40.0%であったので、わずかに向上している。ただし、この数値は大きなコレクションを1つでも受け入れると低下してしまうので、これによる評価には注意が必要である。
・資料特別利用件数は、目標値より5件下回った。
・なお、資料特別利用件数には貸出以外の件数も含まれている。
・収蔵庫等の点検回数は、実施要領がまだ定まっていないので、今回は評価できなかった。
・常設展示室は、収蔵庫のような密閉可能な空間でなく、展示室全体の燻蒸が不可能なため、害虫などの侵入による資料の劣化の可能性が大きい。実際、植物乾燥資料等で害虫が確認されている。
・常設展示室内の空調は温度設定のみ可能で、湿度のコントロールができない。そのため、時期によってはカビの発生が懸念される。
・常設展示室の構造的・設備的な問題であるので、現時点では抜本的な対策およびその検討はなされていない。
・昨年度は鳥居記念館博物館の資料を受入れる前提で収蔵スペースについて検討した。しかし、今年度になって鳥居記念博物館の処遇が不明確となったため、収蔵スペースの検討は、現在は棚上げの状態である。
・不定形で大型の資料の多い民俗分野では、すでに収蔵スペースがほとんどなく、考古収蔵庫の空きスペースを流用している状況である。
・民俗分野以外でも、収蔵スペースに余裕がなくなりつつあることから、収納方法を工夫するなどして対応している。
・課題別、分野別に調査研究を実施し、それぞれ成果をえた。
〈2-2〉
・成果の公表数では学芸員毎に偏りがみられた。
・研究報告や外部機関の紀要の掲載論文は、昨年度までは一般著述に含めていたが、今年度から学術論文に入れることにした。そのため、学術論文数が増え、一般著述が減っているように見えている。
・学会・研究会での発表は、目標25回に対して21件と、やや低調であった。
〈2-3〉
・増加傾向が見られる。しかし、科研費による共同研究は減少している。
〈2-4〉
・アマチュア研究者との共同研究を〈2-3〉からこの項目に移した。今後とも、新たな角度からの取り組みを検討する必要がある。
〈2-5〉
・今年度は、科研費、民間研究助成金ともに獲得することができた。今後、これらの申請には積極的にとりくむ必要がある。
・常設展観覧者数は目標を下回った(前年度比9,032人減)。企画展観覧者数の減少の影響が大きいと思われる。ただし、閑散期にあたる2,3月の観覧者は増加している(2月;前年比115人増、3月;同211人増)。この時期に開催した特別陳列の効果と思われる。
・今年度の利用状況調査は4〜5月に行ったほか、8〜10月に文化庁芸術拠点形成事業の一環で行ったものもある。前者と後者ではリピーター率に差があるが、回答数の差が大きいこともあり、一概に比較はできない。
・総合展示を中心とする展示の改善件数(部門展示[人文]の展示替えを除く)は実質ゼロで、取り組みが不足した。
〈3-2〉
・企画展観覧者数は目標を達成しているものの、前年比14,366人の減。
・企画展は、テーマとタイミングがうまくマッチすれば大量動員が可能になるが、その見極めは難しい。娯楽性、新規性、学術性等の諸要素を取り合わせた計画的運営が求められるところだが、予算の見通しが立たない状況のもと、将来的な開催計画についての検討はあまり進んでいない。
・観覧者の満足度を調査したのは「縄文の美」の1回だけだが、総合的に満足感を示した割合は69%であった。目標値に満たなかったが、質的に一定の評価が得られたものと考える。
〈3-3〉
・特別陳列等の開催回数は21回あり、目標の10回を大きく超えている。ただし、特別陳列のうち2回は近代美術館ギャラリーを会場とする文化の森人権啓発展であり、共催展も2回ある。これらを差し引いた博物館独自の取り組み回数は17回となる。常設展示室ロビーを利用した展示もあった。
・15年度から始めた部門展示(人文)の計画的な展示替え、トピック展示の開催は、17年度も継続した。これらの展示替えコーナーを目的にした観覧者もあることから、一定の成果を挙げていると考えられる。
〈3-4〉
・移動展、パッケージ展示の貸し出しを、継続して意識的に取り組みを進めた。パッケージの貸し出しについては、県内の博物館等に案内チラシを配布して、活用を呼びかけた。移動展・共催展5回、パッケージ展示2件となり、目標を達成できた。
・移動展については、簡単には来館できない遠隔地住民へのサービス強化や地域振興への協力の観点から、取り組みを強化する必要があると考え、組立式展示ケースを制作して態勢整備を進めた。
〈3-5〉
・常設展の内容に関する冊子として、徳島空襲コーナーと銅鐸コーナーに関連する『徳島の自然と歴史ガイド』が刊行できた。
・展示解説等については、昨年度までのものに加え、部門展示(人文)における解説を2本の展示において試行した。企画展ほどの情報が行き渡らないこともあり、参加者は少なかった。18年度には、普及行事の広報に組み込み、参加状況を見ることで今後の取り組みを考えていきたい。部門展示(人文)やトピック展示などの、常設展における期間限定の展示をクイズラリーの設問に組み込む試みも行った。また、クイズラリー自体もポイントカードの導入などの改善を進めた。
・常設展示室の活性化や新しい利用方法について、利用者の目線に立って考えていくため、公募ボランティアを募り、ボランティアと学芸員が共同でイベントを開催し、成果を得た。
〈3-6〉
・先進館調査は継続しているが、リニューアルに向けての実質的な検討はできなかった。開館20周年を目処にしたリニューアルの実現を目指して、再起動を図りたい。
・企画展・特別陳列の関連行事が増えたり、部門展示の展示解説を行ったりしたため、行事数・参加者数とも増えた。
・ボランティアが中心になって行ったVキングと文化の日フェスティバルでは、新しい行事もあり、参加者数を伸ばした。
・普及行事の参加者の満足度は、15行事で行ったアンケート結果から算出したが、おおむね好評であった。
〈4-2〉
・出前授業は前半は少なかったが、後半は広報の成果か依頼が増えた。資料貸出件数は少なかった。
・博物館が学校教育支援事業を行っていることを知らない教職員もまだ多い。今後は時期を考え,機会を捉えて広報する。
〈4-3〉
・ガイドブック2冊「徳島大空襲」「徳島の銅鐸」を出版した。
・普及記事は全般的に少なく、分野的には動物(魚類関係)及び人文系に集中し、それ以外の分野では特に少なかった。新聞記事の執筆など、機会あるごとにはたらきかけていきたい。
〈4-4〉
・友の会では、会員数・継続率ともに順調に推移している。また、会員が自主的に行事を立案・企画し、継続的に実施できているものもある。
・レファレンスが年々増えているのは、博物館の存在と役割が県民に浸透してきている結果として評価できる。この他にも、電話での問い合わせなど記録として残されていないものも相当数あると思われるので、きちんと記録することを心がけたい。
〈5-2〉
・講師派遣依頼が昨年に比べて少なかった。また、特定の分野の学芸員に集中した。
・受講者数をカウント・記録する方法を検討したい。
〈5-3〉
・各種検討委員会委員の受諾数は、ほぼ昨年と同じでである。17年度での新規委嘱は6件で、昨年度からの継続及び再委嘱がほとんどである。
〈5-4〉
・当館での博物館実習を希望する学生がやや減少したが、今後とも減少傾向になるかどうかはまだ判断できない。
〈5-5〉
・日本動物分類学会大会、日本昆虫学会四国支部大会の大きな学会が2つあった。
〈5-7〉
・藍住町立図書館、出羽島漁村センター、松茂町歴史民俗資料館等との共催による移動展など、館外での展示活動への積極的な取り組みが見られた。
・県博物館協議会連携事業「歴史の道」の開催準備を当館が主導して行った。その結果、平成18年4月から19年3月にかけ、全部で13の企画展等が順次開催されることになった。
・資料提供件数は目標の30件/年には達せず、前年よりやや減少している。博物館からのより効果的な情報発信として、マスコミに対する資料提供を今後とも積極的に続けていく必要がある。
・マスコミ取材・報道件数については、新聞のみの数であるが55件となっており、活発な取材や報道が行われていることが伺える。
〈6-2〉
・広報手段の新規開拓状況では、企業に対するちらし配布場所の新規開拓を行った。また、フェリー発着場でのチラシ配布枚数を増やし、特別陳列「吉野川の渡し」では吉野川流域にチラシを重点的に配布するなどの工夫を行った.今後ともこうした改善努力を続けていくことが望まれる。
・マスコミ出演等件数は前年より1件減少した。
・Eメールサービス登録件数は前年度より減っているが、エラーメール等が戻ってきていたアドレスを削除するなどしたためであり、それに従い目標数値の見直しが必要である。なお、平成17年度には13名の新規登録者があった。
〈6-3〉
・インターネットによる情報発信はすべて目標値に達しており、良い状態である.ただ、発信している情報に偏りがあり、より広い内容での発信が求められる。
・17年度は特段の取り組みは行われなかった。
〈7-2〉
・文化庁芸術拠点形成事業「元気な博物館づくりプロジュエクト」の一環として、アンケート調査を実施した。
・県外利用者の割合は、2つの企画展で調査した。
〈7-3〉
・初めての試みとして公募ボランティアを募り、ボランティアが主体になって企画するイベントを2回実施した。のべ19名が準備及び当日の運営に参加した。
・文化庁芸術拠点形成事業「元気な博物館づくりプロジュエクト」の実施に当たっては、館外の委員を含めた実行委員会を組織した。
〈7-4〉
・厳しい財政状況を反映し、館運営予算は16年度より約7,000千円減少した。昨年度に引き続く企画展開催経費の削減(3,753千円)が主なものである。
・これまで博物館資料の購入に充ててきた美術品等取得基金が16年度末で廃止された。それに伴い、17年度から博物館費(一般会計予算)に13,000千円の資料購入費が計上されたが、諸般の事情から1点の購入もできず、2月補正予算での全額減額を余儀なくされた。
〈7-5〉
・法令に定められた年2回の防災訓練は、3館合同で実施された。
・停電、盗難、けが人や病人の発生等に備えた防災マニュアルも整備していく必要がある。
〈7-6,7-7〉
・16年9月に策定した「徳島県立博物館の中期活動目標」に基づき、16年度事業の自己点検・評価を行い、その内容を年報やホームページに掲載した。また、8月の博物館協議会において討議いただいた(外部評価)。
・中期活動目標を単なる作文に終わらせないよう、活動目標に基づく実践、自己点検・評価をきちんと行い、博物館活動の改善・活性化に結びつけるために、全職員がいま一層の意識統一を図ることが大切である。