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夜の植物観察

 カラスウリとキカラスウリは,秋に赤や黄色い実を付けるつる植物で,土手や林縁に生え,ごく普通に見られます.
 この2種は夏に花を咲かせますが,キカラスウリの花はよく見かけるのに対して,カラスウリの方は花を見た記憶がありません.これは花の咲き方の違いに原因があります.この2種は夕方に花を咲かせ,夜のあいだ花を開き続け,カラスウリの方は朝になるとしぼんでしまいます.ところが,キカラスウリの方は昼間でも花が開き続けたままになっています.一般に夜に咲く花は,スズメガのような夜に活動する虫に花粉を運んでもらっています.そのために,白や黄色の明るい色の花をつけ,よい香りを漂わせ虫を引きつけています.カラスウリにくらべてキカラスウリの方が開花時間が長いということは,なにか花粉を運ばせる仕組みに違いがあるのかもしれません.また,カラスウリの花期は7月から8月にかけての1ヶ月くらいなのに,キカラスウリは夏の間のかなり長い期間花をつけています.こうした違いを探ると,カラスウリとキカラスウリの実をつけるための工夫がわかるかもしれません.
 私たちのまわりには,夜に咲いている花が案外あります.また,逆に夜にしぼんでいる花もあります.夜にはあまり植物観察ができないと思うかもしれませんが,新しい発見のある絶好の時間なのです.