文化の森の花だより

[過去の花だより]

2000年9月3日


カラスウリとキカラスウリ

ウリ科

この2種は土手や林のふちに生える,普通にみかける植物です.キカラスウリの花は昼間でもよくみかけますが,カラスウリの方は昼間に咲いているのをみた記憶がありません.これは花の咲き方に秘密があります.この2種は夜に花が咲きますが,夜さく花といえばシャコバサボテン類の月下美人が有名です.月下美人の花が咲いたとしばしばニュースになりますね.カラスウリとキカラスウリもそうした植物の一つですが,両方とも夕方に花が開くのは同じで,カラスウリの方は朝にはしぼんでしまいますが,キカラスウリの方は夜が明けても咲いています.普通,夜に咲く植物はスズメガの仲間に花粉を運んでもらうために,白や黄色の明るい色の花をつけ,良い香りを漂わせます.カラスウリに比べてキカラスウリの方が開花時間が長いということは,なにか花粉媒介の仕組みに違いがあるのかもしれません.また,カラスウリの花期は7月から8月にかけての1月くらいなのに,キカラスウリはかなり長い間咲いています.こうした違いを探るとカラスウリとキカラスウリの戦略の違いがわかるかもしれませんね.

 

■ カラスウリ

Trichosanthes cucumeroides (Ser.) Maxim.
秋に赤い実をつけるつる植物.

 

■ キカラスウリ

Trichosanthes kirilowii Maxim. var. japonica (Miq.) Kitam.
秋に黄色い実をつけるつる植物.キカラスウリの基本種であるチョウセンカラスウリはエイズに効く薬として注目を浴びている.

 

花
カラスウリ(左)とキカラスウリの花

葉の比較
カラスウリ(左)とキカラスウリの葉

カラスウリの葉は表面に毛が多く,さわるとふわふわでざらざらした感じがする.キカラスウリの葉は表面に毛が少なく,てかてかしていて,すこしざらざらする.

 

 根
カラスウリ(左)とキカラスウリの根

カラスウリの方が表面に細かいしわが多い.

澱粉
キカラスウリの根からとった澱粉(でんぷん)

キカラスウリの根からとった澱粉は天花粉(てんかふん,ベビーパウダー)として利用される.カラスウリはキカラスウリの代用品として使われる.

 

 

カラスウリの実
カラスウリの実

 


カラスウリの種子

一般には,カマキリの頭に似ていると言われる.私は,昆布で作ったこんな形の料理に似ていると思う.キカラスウリの方は,カボチャの種に似た楕円形をしている.

 

【参考になる図書】真船和夫・下田智美 1997. カラスウリのひみつ,偕成社,東京.

 


 

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