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2月から3月にかけて,明るい林床でたくさんの薄紫色の花を着ける植物があります.それは,ユキワリイチゲで,キンポウゲ科の多年草で,学名はAnemone keiskeana T.Ito ex Maxim. です.学名を見てピンとこられた方もあるでしょうが,花を楽しむために花壇に植えられ園芸用に栽培されるアネモネのなかま(イチリンソウ属)です.アネモネと一般に呼ばれているのは,ボタンイチゲ(A. coronaria L.)という地中海沿岸原産の植物です. |
花びらのように見えるのは萼 |
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群落のように生えるユキワリイチゲ.ミツバのような葉をしている. |
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この植物はしばしばかたまっって生えて群落のようになっていますが,実は地下茎が横に這い,それが広がってこのように見えています. おもしろいことに花が終わっても,種子はほとんどできません.根茎で広がって増えているので,群落のように見えるものは同じ個体なので,受粉しても種子ができないのでしょう.ほかの場所にある個体から昆虫によって花粉が運ばれれば種子ができるようで,たまに長さが5〜6mmにもなる種子を着けます.自生地で観察したところ,1個体だけ種子から発芽した個体を見つけました. いろいろと調べてみると意外なことがわかるかもしれません. |
ユキワリイチゲの地下茎.紫色を帯びる. |
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