河口の植物

アナウンサー

今日の話題の河口の植物とはどんなものですか?


小川

川の河口に生える植物で,塩水と真水が混じった汽水の川辺に生える植物.


 
写真(勝浦川河口)

満潮になると水に浸かり,干潮では土がむき出しになる場所で,塩沼湿地とも呼ばれます.


アナウンサー

変わった植物が生えるのですか?


こうした場所は

  1. 時間と共に水に浸かったり,乾いたりする
  2. 塩分の混じった水に浸かる

の2つの点で他の場所とは変わっています.そこには他の場所には生えない植物が生えています.

アナウンサー

先に出てきた勝浦川河口ではどんな植物がはえているのですか?


これはフクドです.もこもことした植物で,河口でしかみられません.


フクド全景

フクドの葉をさわってみてください.

アナウンサー

(フクドの葉をさわって)なんか,プニャプニャしますね.


まるでサボテンのようですね.塩沼湿地に生える植物はこのように葉が厚く,水分をたくさん含んでいる物が多い.ところで,フクドの葉は良いかおりがします.

アナウンサー

(フクドの葉の臭いをかいで)ほんと.


メロンのような匂いという人もあります.では,フクドは何のなかまでしょうか?

アナウンサー

さー?


フクドはヨモギのなかまです.これは花の写真ですがヨモギの花に似ています.


フクド花

アナウンサー

ヨモギのなかまですか.他にもヨモギのなかまで水際にはえるものはあるのですか?


ありません.フクドはまったく変わった習性をもったヨモギのなかまです.フクドは県内では勝浦川の河口と,橘湾に注ぎ込む川の河口にしかない珍しい植物です.

アナウンサー

ほかの河口にはどんな植物がはえているのですか?


これは吉野川の河口に生えるイセウキヤガラという植物です.やはり,川の河口にのみ生えます.


イセウキヤガラ

アナウンサー

他には?


これは県内の河口には広く生育している,ウラギクという植物です.特に那賀川の河口の大京原付近には大きな群落があり,秋に花が咲くと一面ピンクとなりきれいです.県内にはまだ比較的残っていますが,環境省のレッドデータブックでは100年後の絶滅確率は約80%であるとして絶滅の危険が増大している種として指定されています.


吉野川河口付近に生えるウラギク

 

ウラギクの花

アナウンサー

絶滅の危険が高い植物も生えているのですね.


このように川の河口は特殊な環境なので,絶滅に瀕している植物やかわった植物がたくさんあります.生育環境が限られており,影響を受けやすく少なくなっている物が多いので,工事などでは配慮が必要です.

アナウンサー

今日はありがとうございました.

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