木か草か?

 昔からよく言われていることですが木と草の違いはわかりにくいと思います.たとえば,「タケは木なの?」と聞かれると,「二次肥大成長しないから,木じゃなく草だよねー」と答えるもののすっきりしなかったりします.野菜と果物の違いのように使う人によって違う曖昧なものなのかもしれません.
 草と木の違いを少し調べてみました.
 植物図鑑のうち樹木図鑑をいくつかあたってみました.すると,平凡社の「日本の野生植物 木本 I」に編者の佐竹義輔氏が次のように書いていました.

もともと草本(草)と木本(木,樹木)の区別は植物学的に本質的なものではない.多年草で茎の維管束内にある形成層の活動によって2次肥大成長を行い,木部組織の発達をするものを木本という.厳密にいえば.....(略)

として,厳密に言うとタケやヤシは木ではないのだけれど常識的に見て木のような形状をもつものをこの図鑑に収めたとしています.

 また,清水建美氏はその著書「図説植物用語事典」(八坂書房)で次のように述べています.

木か草か,直立生かつる性かといった植物の修正は生活型の一つのとらえ方である,...中略...
木本植物(樹木・木本)は地上部が多年生存して来る返し開花・結実し,二次組織は肥大成長する植物と定義される.これに対し草本植物は地上部の生存期間は短く,ふつう一年内に開花・結実して枯死し,二次組織は木化せず,肥大成長しない植物とされる.しかし,実際には木本と草本を明確に区別することはむずかしいこともある.
,...中略...
タケ類やササ類は肥大成長しないが,茎は十分木化していてふつう木本とみなされる.このように木本か草本かは,定義のしかたによっていろいろと異なってくることがわかる.ここでは地上茎の木化の有無を重視して,少なくとも前年枝が木化するものは木本,地上茎が木化しないものは草本とする.

としています.竹や笹もそうですが,サボテンもどちらなのか,地上茎が木化するヨモギのなかま(カワラヨモギやイワヨモギなど)はどうするのかなど悩ましいところです.


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