カンサイタンポポ

Taraxacum japonicum Koidz.

 関西でもっともふつうに見られる二倍体種のタンポポである。頭花は小型で、総苞外片は総苞の1/2以下の長さであり、角状突起はあってもごくわずかである。
 今回の調査範囲であった19府県は従来の図鑑等でカンサイタンポポの分布域といわれる地域をほぼカバーしている。19府県すべてで見つかっているが、分布量の差は大きい。東瀬戸内を中心とした地域に集中的に分布しており、山陰、山陽西部、四国西部、九州北部ではかなりまれであることがわかる。また紀伊半島南部でもまれである。
 中国山地、紀伊山地、四国山地がカンサイタンポポの分布にとって重要な境界になりそうである。山地がカンサイタンポポの分布拡大には障壁となっており、琵琶湖北部、丹波から丹後にかけてはそれなりの分布量があるのは若狭湾に向けて低地帯のあることに関係しているのかもしれない。三重県北部・中部でのカンサイタンポポの分布も鈴鹿山地の標高が低いことに関係するのであろう。しかしながら、紀伊半島では田辺市以南、中国地方では岡山・広島県境以西、四国では香川・愛媛県境以西でカンサイタンポポが少ないことの理由はよくわからない。
 広島市・福岡市にまとまってカンサイタンポポが見られる。ともに城址に多産しており、憶測の域であるが、古く江戸時代に城国替えとともに植木などとともに持ち込まれたという説明も可能だろう。

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