クシバタンポポTaraxacum pectinatum Kitam.
岡山県新見市哲西町大野部を基準産地として北村(1933)が記載したタンポポ。前述のヤマザトタンポポ、ケンサキタンポポがレモン色であるのに対して、カンサイタンポポに近いあるいはより濃い黄色である。総苞外片は総苞の1/2程度の長さで、幅は広く、辺縁が赤くなることはない。角状突起はないが、中央部がもりあがり、先端部はこぶ状に盛り上がる。典型的な葉は羽状に深く裂けて、櫛の葉状になることに和名は由来するが必ずしもなるわけではない。筆者の印象では、道ばたなどのセイヨウタンポポが生えそうな環境に見つかることが多い。シナノタンポポの倍数体エゾタンポポに属する型のひとつではないかと思っている。
日本海側では福井県から山口県まで連続的に分布する。三重県・奈良県の紀伊山地でも見つかった。Morita(1995)は和歌山県にも分布するとしているが、今回の調査では見つかっていない。四国山地ではかなりの範囲でクシバタンポポが見つかった。特に四国山地中央部の徳島県・高知県境周辺に多かった。九州ではクシバタンポポは確認できていない。
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