シロバナタンポポ

Taraxacum albidum Hand.-Mazz..

 本州(関東以西)・四国・九州に分布する。総苞外片はやや開いて、先端に明瞭な角状突起があるのが典型的な頭花であるが、春先にはあまり開かず、角状突起もはっきりしないものがあり、キビシロタンポポとの区別が困難な場合もある。今回調査した西日本の全域に広く分布しているが、中国地方西部や四国西部では頻度が高い。また、隠岐諸島では見つかっていない。今回の調査ではキバナシロタンポポとケイリンシロタンポポ※※を含めて集計した。

※キバナシロタンポポ Taraxacum albidum forma sulfureum (H.Koidz.) Kitam.

 シロバナタンポポの集団の中に、総苞外片の開き方、角状突起の形などシロバナタンポポそっくりだが、花の色が黄色のタンポポが見つかる。小泉(1936)はシロバナタンポポの硫黄色花として、キバナシロタンポポと命名した。つやを消したような滑らかな黄色を「硫黄色」としたのは当を得た表現である。
 今回の調査では、鳥取県・島根県・愛媛県・高知県・福岡県・佐賀県で頭花が得られている。白花と黄花が同じ個体に生じたり、同じ株が毎年黄花を咲かせることもあると聞く。シロバナタンポポと区別すべきか今後の検討課題である。

愛媛県のキバナシロタンポポ(同じ花を角度を変えて見たところ)

※※ケイリンシロタンポポ(ツクシシロタンポポ)Taraxacum coreanum Nakai

 朝鮮半島から中国東北部にかけて分布する白花のタンポポ。ソウル市景福宮が基準産地。森田(私信)によれば、シロバナタンポポは五倍体であるが、ケイリンシロタンポポは四倍体である。形態的には、ケイリンシロタンポポの総苞外片の長さは総苞全体の2/3以上と長く、角状突起もより大きいことが特徴と聞く。
 著者(鈴木)が観察する限りでは、兵庫県ではシロバナタンポポと判断されれる集団内でも、個体や時期によって、総苞外片の長さや角状突起の大きさに変異があり、形態のみでの識別は困難かもしれない。
 森田(私信)によれば、九州北部、岡山県に分布するという。九州北部のものに対してツクシシロタンポポという仮称があるが、ここでは、ケイリンタンポポの一連の変異であるという森田の見解に従っている。いずれにしても今後のより深い検討を必要とする種類である。

シロバナタンポポ(徳島県)

シロバナタンポポ(福岡県) 外総苞が長く、角状突起も大きいので、ケイリンシロタンポポか?

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