剣山の植物

剣山の植物


ツルギカンギク

Dendranthema indicum var. turugisanense

キク科 その名のとおり剣山で最初に見つかり,剣山では1700m付近の石灰岩地に生育している.西日本,朝鮮,中国,台湾に分布するシマカンギクの変種とされている.ツルギカンギクは葉の切れ込みが大きく,鋸歯がとがり,総苞片数などの点でシマカンギクと異なっている.徳島県にはツルギカンギクより標高の低い地域にシマカンギクが分布しているようであるが,形態変異が大きく,ツルギカンギクとの中間型もあり,分類学的な再検討が必要である.

キレンゲショウマ

 Kirengeshoma palmata

ユキノシタ科 九州,四国,紀伊半島,中国地方(広島県)の湿った林下に成育する.中国や朝鮮半島にも分布していて,襲速紀(そはやき)要素の植物として,植物地理学上注目されている種である.宮尾登美子さんの小説「天涯の花」に登場した植物として,話題をふりまいているが,成育するのは危険な崖ではない.

ハクロバイ(ギンロバイ)

Potentilla fruticosa var. leucantha

バラ科 南アルプス,大台ヶ原と徳島県の剣山,石立山に分布.
花が黄色のキンロバイ(var. rigida)は本州中部以北と北海道,樺太,千島,朝鮮北部,中国,ヒマラヤに分布する.観賞用にとられ,剣山では絶滅に近い状態である.

ツルギミツバツツジ

Rhododendron lagopus var. tsurugisanense

ツツジ科 剣山や愛媛の石鎚山など,四国の亜高山帯やブナ帯に分布.
ツルギミツバツツジは,本州に分布するダイセンミツバツツジに含められていたが,若枝から葉柄に軟毛が密生し,葉も厚いことなどから,変種として区別された.

ハクサンシャクナゲ

Rhododendron brachycarpum

ツツジ科 北海道,本州中北部,四国,朝鮮北部に分布.
この植物は日本海を取りまく地域に分布する日本海型の植物といわれている.

オオヤマレンゲ

Magnolia sieboldii subsp. japonica

モクレン科 本州(関東地方以西),四国,九州,中国(安微省や広西省)に分布.
朝鮮半島産にはオオバオオヤマレンゲ(subsp. sieboldii)が分布している.日本が朝鮮や中国大陸と陸続きだった頃,オオヤマレンゲの祖先型が分布を広げ,現在では2亜種に分化したものと考えられている.

コモノギク

Aster komonoensis

キク科 徳島県(剣山や落合峠など),愛媛県,紀伊半島に分布.

トゲアザミ

Cirsium japonicum var. horridum

キク科 四国の亜高山帯に分布.
低地や山地でよく目にするのはノアザミで,本州から四国・九州に分布するが,トゲアザミはノアザミの変種とされている.ノアザミに比べると,トゲアザミの方が全体に刺が多く,総苞片の刺針も長くなっている.

チョウセンナニワズ

Daphne koreana

ジンチョウゲ科 朝鮮半島,沿海州と本州中部,紀伊半島,四国,宮崎県に分布.
これに近縁なオニシバリ(D. pseudomezereum)は夏には落葉し,チョウセンナニワズは夏に葉が茂り,冬に葉が落ち,生活史に違いが見られる.

ミヤマアキノキリンソウ(コガネギク)

Solidago virgaurea ssp. leiocarpa

キク科 北海道,本州,四国,九州,中国東北部,カラフト,千島に分布.
平地でよく見かけるアキノキリンソウとは別亜種にされている.

 

 

イブキトラノオ

ツマトリソウ

コメツガ

コメツツジ

リンドウ

テンニンソウ

参考文献


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