阿南市の盆棚

2010年現在、阿南市長生町、上中町などで門脇や屋敷内に棚をつくって盆のおまつりをしている所がある（写真1、2、3）。

写真１　長生町松道での「ミズダナ」（2010年8月13日撮影）

右が毎年設置する先祖のための棚、左が新仏のために設置した棚。

写真1の長生町のある家（檀那寺は隆禅寺（真言宗））では、八月一三日に「ミズダナ（水棚）」という棚を屋敷内につくる。一つ目の木製の棚は御先祖をまつるためのもので毎年設置する。以前は毎年新しい竹でつくるものであった。二つめは新仏がある場合の棚で、片方に新仏、もう片方に弘法大師をまつる。弘法大師に新仏をお願いしますという意味だと考えている。水棚の上に蓮の葉を敷き、その上に「ミズノモト」という白米と賽の目に切ったナスを混ぜたものを供える。一三日の夕方に家族、親族が集まり、水棚のもとで迎え火を焚く。水を供え、線香をつけて立て皆で拝む。その後墓地へお迎えに行く。この時ミズノモトをお墓にお供えする。家の中には盆のために床の間に祭壇を拵える。向かって右に弘法大師、中央に十三仏、左に不動明王の掛軸をかけ、祭壇に敷物をして、一三日夕方にお霊供二揃えを一つは弘法大師に一つは御先祖様にとお供えする。一四日は祭壇にお霊供をお供えし、お茶に鳳仙花の花びらを浮かべたものを二揃え二一回お供えする。一五日は人間の休みとし、仏さんへのおまつりはせず、神様をまつるという。神棚にお米と御神酒をお供えする。一六日は親のある者は休みにはならないという。親のない者は、昼から仕事を休んで墓地に仏さんを送る。その後水棚を片付ける。夕方地域の講組が集まって当番で念仏をあげて回る。

写真２　長生町長谷での「ミズダナ」（2010年8月13日撮影）

毎盆設置している。

写真３　上中町中原での「ミズダナ」（2010年8月13日撮影）

毎盆設置している。

棚の部分に笊を使用し簡略化して行うとしている。