平成17年度 文化庁芸術拠点形成事業

元気な博物館づくりプロジェクト

―親しまれる博物館を目指す評価手法の開発―

●このプロジェクトは、徳島県立博物館をモデルとして、地域住民の生涯学習プロセスや文化的関心・活動と博物館利用とのかかわりを調査し、その結果と博物館の自己点検・評価、外部評価とを組み合わせながら、より利用者に密着した博物館を目指した基盤づくりを図ろうとするものです。また、文化の森総合公園という複合文化施設のあり方を考慮した分析も進めたいと考えています。
 文化庁が公募した平成17年度芸術拠点形成事業に採択され、8月1日に始動しました(事業期間は平成18年3月15日まで)。

●事業内容は、アンケート調査とその分析を中心とし、その結果についての成果報告会(シンポジウム)の開催、報告書の刊行も行います。
 一連の事業を進めるのは、徳島県立博物館に事務局を置く実行委員会です。この委員会は、徳島県立近代美術館(仲田耕三専門学芸員)、徳島県立文書館(金原祐樹事務主任)、鳴門教育大学(大石雅章教授、山本 準教授)、徳島文理大学(中村昌宏教授)との連携によって設立されました。

  

アンケートの実施

●事業の中核にあたるアンケート調査が、8月20日(土)にスタートしました。少なくとも9月末までは、徳島県立博物館・近代美術館・図書館において、土・日曜日、祝日に調査を行います。
 また、徳島県立文書館でもアンケートの実施をお願いしているほか、文化の森外にある博物館(徳島市立徳島城博物館、松茂町歴史民俗資料館)や高校・大学においても行うことにしています。 
 とくに文化の森内でのアンケート配布・回収については、鳴門教育大学と四国大学の学生たちが活躍してくれています。

博物館・近代美術館での調査


図書館での調査

松茂町歴史民俗資料館で実施していただいたアンケートの回収箱

 

アンケートの整理・入力

●9月が終わり、アンケートの回収量もかなりのものになりました。いったん施設内での調査を休止して、これまでの回収分の整理やパソコンでの入力作業を進めることにしました。データベースソフトで作ったフォーマットに入力してもらいますが、項目が多いため、かなり大変です。今度の整理・入力作業も、大学生が頑張ってくれています。
 データを仮集計し、その結果によって、今後のプロジェクトの進め方を考えることにします。

 

アンケートの分析

●入力が概ね終わりかけた11月後半から分析を始めました。なかなか進まず、また、視点も定まらないまま試行錯誤を繰り返しました。12月に入り、利用回数を基軸に分析することで博物館利用の効果が見えてくるのではないかという方向性が話し合われ、それに沿って作業を進めていきました。
 1月、統計解析の結果をいったんまとめて、整理・検討にかけました。さらに、分析し直して…。果てしなく続きそうな作業でしたが、1月も終わろうとする頃、ようやく最終的なまとめの方向が見えてきました。

統計解析を進めているパソコンの画面
検討のために作成した仮まとめ資料
 

シンポジウムの準備

●平成17年度限りの事業ですから、18年に入ると終わりが近いということです。分析を進めながらも、3月5日(日)に開催するシンポジウム、最後に発刊する報告書のことが気にかかるようになってきました。
 シンポジウムは「博物館と地域のこれからを考える」と題して行うこととし、報告等の分担、広報の手配などを進めています。

 

シンポジウム 博物館と地域のこれからを考える

●3月5日(日)午後1時30分〜午後4時45分(予定より15分オーバー)、文化の森・21世紀館イベントホールでに開催しました。短時間のうちに報告4本、パネルディスカッションを連続し、忙しいスケジュールでしたが、地域住民との連携、博物館どうしの連携といったネットワークの問題が主要な論点となりました。参加者は約60名。
 なお、博物館を論じる公開のシンポジウムや講演会としては、徳島県で初の機会となりました。

 

報告書

●報告書の刊行をもって、このプロジェクトは終了となりました。
 アンケート調査の分析結果やシンポジウムの記録を収めています(A4判、150ページ)。「評価手法の開発」というには、道半ばの感がありますが、期限のある仕事ですから、仕方ありません。ただ、今回のプロジェクトは、「調査のための調査」ではありません。今後、館の活性化にどう結びつけていくかが課題であることはいうまでもありません。

 

文化庁月報452(平成18年5月号)で紹介

●「いきいきミュージアム 美術館・博物館事業レポート」の欄で、この事業について紹介させていただきました。詳しくは誌面をご覧ください。

 

●プロジェクトの実施にあたり、ほんとうに多くの方のご協力をいただきました。いちいちお名前を記すことはできませんが、心からお礼申し上げます。

●報告書をご要望の場合
報告書は残部がありますので、お入り用の方は、本事業の事務局担当者(長谷川)までご連絡ください(電話 088-668-3636、FAX 088-668-7197)。
 


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