ここ数年、博物館・美術館の閉鎖、新設の凍結や撤回など、暗い話題が続いています。徳島県でも例外ではなく、町村立博物館の閉鎖や民間委託ということばが飛び交っているありさまです。私の勤務先も、予算が減り続け、また、組織改編の噂が聞こえてきており、将来が不安視される状況にあります。
どうやら、私たちが自明のものと思っていた博物館の存在は、制度そのものが危機に瀕しているのかもしれません。とはいうものの、これまで対社会的に博物館の存在理由を説いてきたかといえば、必ずしもそうではなかったように思います。博物館にかかわる一人一人に何ができるのかということが、問われていると痛感するこの頃です。
こうした状況下で重要になるのは、「連携」だと思うのです。すでに学芸員のネットワーク組織は、各地で形成されていますが、今後は、学芸員だけの「閉じた」世界ではなく、より多くの、そして様々な人たちとの連携が不可欠になっていくはずです。とりわけ、市民とのつながりをどう作っていくかが重点課題になるのでしょう。いまさらいうまでもありませんが、博物館は利用者という社会的な基盤がなければ成り立たないからです。
ところで、年度末は、私にとっては楽しみな時期でもあります。恒例となっている四国地区歴史系学芸員・アーキビスト交流集会があるからです(ちなみに、アーキビストとは、文書館専門職員のこと。学芸員や司書のような資格制度はありません)。1996年以来、年に1回、学芸員らの自主活動として四国4県を巡回し、地域と博物館のかかわり、教育普及活動の課題など、いろいろなテーマを議論してきました。今年は3月7・8日、徳島市で開催され、3巡目に入ります。小規模博物館の現状や外部評価の実態などを取り上げ、討論や見学会を行う予定となっています。
この集会、当初の予想を超えて、発足以来10年近くも続いてきましたが、閉塞感が伴うことも事実です。議論を重ね、親交を深めても、所詮は「内輪」にとどまっているのです。博物館の中で日常的に行われている仕事や、博物館の目指すものなどについて知っている人は、世間には多くはないでしょう。だからこそ、考え、模索する学芸員らの姿を発信すべく、出版等の活動も展開し、批判や意見をいただけるような体制へと転換すべきではないかと考えています。これからが真価を問われることになる。そう思うのです。
(※)掲載にあたっての注記
上記の第9回四国地区歴史系学芸員・アーキビスト交流集会において、同集会を解消するとともに、広く博物館施設関係者や博物館に関心のある市民等の討議の場としたいということで、四国ミュージアム研究会を発足させることになった。これを受けて2005年3月6・7日、第1回研究会が高知市で開催された。