植物標本とは 

植物標本って何?

夏休みの宿題として,右のような植物の押し葉標本を作ったことがある方も多いかと思います.さくよう標本とも呼ばれますが,台紙に押し葉(花)とラベルを貼ったものです.実物(押し葉)に付加情報(ラベル)を付けた物が標本です.すなわち,この2つが備わっていなければ標本としての価値はありません,

※個人で標本を管理されている場合,必ずしも台紙に標本やラベルが貼られている必要はありません.ただ,貼られていないとラベルと標本がばらばらになったり,標本が破損する可能性がありますので,その点だけ注意してください.

標本には押し葉標本以外にも次のようなものがあります.

  • 液浸標本:アルコールやホルマリンの液に浸けたもの.やわらかく壊れやすい物に向いている.
  • 樹幹標本:木の幹を一定の長さに切ったもの.樹皮と断面を見ることができる.
  • プレパラート標本:植物を切ったものや染色体などの細かい形質を顕微鏡で観察するための標本

この他にも大きな種子や実などは台紙に貼ることができませんので,別途管理します.

植物標本

どうやって標本を集めるの?

標本庫では

どのような標本があるの?

 当館では牧野富太郎のような著名な植物学者が集めた標本もありますが,小学生のような植物については素人の方が集めたものもあります.皆さんが小学生の頃夏休みの宿題として作成した標本でも,産地,採集者,採集日がきちんと記入されており,花などの特徴がよく保存された標本であればこの標本庫に残されます.同定(名前)があっているかどうかが大切ではなく,同定は後からでもできるので,同定に必要な情報がそろっているか,産地などの情報がきちんと記載されているかが大事です.

 また,珍しい物もありますが,普通の物もたくさんあります.というのは人でもそうですが,同じ物はなく変異を持っているのでそれを調べる必要があるのです.案外,希少なものより普通種の方がわかってない場合が多く,1種とされていたものが2種に分割されるということはしばしばあります.

 さらに,今まで調査などで記録されていたものが本当に正しいとは限りません.ミズキカシグサは徳島県植物誌に鳴門市産が記録されていましたが,その標本を調べてみるとミズキカシグサでは無いことがわかりました.さらに調べてみると海部町でミズキカシグサが別の人によって採られていることがわかりました.

県内初記録となったミズキカシグサの標本


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