緑化はよく考えて


 緑化や花いっぱい運動などは良い活動としてしばしばマスコミでも報道されます.しかし,たとえば緑化であれば,ただ木を植えるといった行為から,在来種を植える,自然植生の在来種を植える,種子は周辺で採取した自然植生の在来種を植えるという具合に変化してきています.これは単に緑を増やすことから,生物多様性という考え方を取り入れながらその保全を視野に入れて変化してきたものです.ここでもその視点から緑化について考えてみます.

 実例を加えた方がわかりやすいので,園瀬川の土手の緑化について私の考えを述べますが,汗水を流してがんばっていらっしゃる方への批判ではなく,こうすればより良くなるという提案と受け取っていただけたらと思います

現地の状況

20数年前に築かれた比較的新しい土手.

北向きの斜面ではあるものの道路横で日当たりは良く,やや乾いている.

栽培種が植えられて,地元の方により年に数回草刈り等の手入れが熱心に行われている.


きれいな花による花壇を作る

のではなく

もともとあった動植物が暮らせる場

を作ることを目標にかかげる.

■改変案のための思考ステップ

 (どんな風に考えればよいか)

方針の検討および調査

土手を生物多様性の保全のために役に立つ場所にしたい
 ・・・・ビオトープとしての活用
園瀬川の豊かな自然環境を象徴する場所にしたい

園瀬川にはどんな自然があるのか?
          → 園瀬川の植物
古い時代に作られた堤防の様子
       → 生物多様性にとっても,
         里草地の景観としても良い状態

古い時代に作られた春の園瀬川の堤防の様子:地元の人により草刈りがよく行われており,植栽したわけではないのにカンサイタンポポやウマノアシガタが群生する.栽培種を植えなくても草刈りだけでお花畑のようになる.この近くにはフジバカマも生育する.

現地の状況の分析

北向きの斜面であるが結構乾燥している
最近造成された土地なので帰化植物が繁茂している
特に,環境省の特定外来種であるオオキンケイギクが侵入しているのでそれを駆除したい
土手であるため大きくなる木や構造物はダメ

栽培種を植えずに,草刈りをうまく行うことによって,それに適応している在来の植物が繁殖できるようになる.

結論

春にはツクシが見られ,タンポポとウマノアシガタによる黄色い絨毯がを敷いたような景観になり,夏にはバッタが飛ぶようなビオトープとなる草地を目指す

モデルは上流の古い土手(在来種による土手作り)

草刈りを年数回行う(古い土手は何回くらい行っているか調べる)

特にオオキンケイギクについては,花茎があがり始めたくらいと,花ざかりの2回草刈りを行い種子による繁殖を防ぐ


このページに関するお問い合わせは作成者:小川 誠(徳島県立博物館)

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