イヌノフグリ

−増える絶滅危惧種の謎−

 イヌノフグリは日当たりの良い石垣などに生える一年草で,環境省では絶滅危惧II類,徳島県では絶滅危惧I類となっている植物です.生育環境が失われたり,他の植物との競合によって減ってきていました.

 ところが,最近このイヌノフグリが増えているという情報があります.他県では帰化植物がたくさん生えている市街地の植え込みに生えているケースがあります.徳島県でも今まで記録のなかったサツマイモ畑や用水路の縁に生えているのが確認されています.どう見ても,我々が知っているイヌノフグリの生育環境とは異なっていますので,もしかしたら,別の系統が入り込んでいるのかもしれません.後の章で説明するように,種内の多様性を保全しようとするなら,もともとあったものが増えているなら喜ばしいことですが,別の系統が入ってきてそれが増えているなら意味がありません.今後の解析が待たれるところです.

鳴門市のサツマイモ畑に生えるイヌノフグリ


 イヌノフグリ     イヌノフグリの葉(左),花(中),萼(右)

 

関連リンク:イヌノフグリ(写真のみ)


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