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2023年度
2024年3月15日:令和5年度の発掘調査で新たに発見された恐竜化石3点について
1.概要
徳島県立博物館では、令和5年10月~12月に福井県立恐竜博物館や福井県立大学恐竜学研究所、県内の化石愛好家、阿波勝浦井戸端塾などの協力を得て、徳島県勝浦町の恐竜化石含有層(ボーンベッド)の発掘調査を実施した結果、316点の脊椎動物化石を発見し、うち3点は、恐竜化石であることが判明しました。
2.発見された恐竜化石
(1)獣脚類の歯化石(2点)
①県内で4点目、5点目の発見となる獣脚類の歯化石。
②いずれも、獣脚類の歯によく見られる特徴である鋸歯(細かいギザギザの刻み)が確認できる。
③うち1点は欠けが無く、歯冠全体が残されている。全体的に細長く、強いカーブを描いているのが特徴で、令和元年に発見された獣脚類の歯化石とはプロポーションが大きく異なる。
(2)竜脚類の歯化石(1点)
①県内で11点目の発見となる竜脚類の歯化石。
②これまでに発見された竜脚類の歯と同様、ティタノサウルス形類の歯と思われる。
③竜脚類ティタノサウルス形類は全長10mを超える大型の植物食恐竜のグループ。
一般公開
日時:令和6年3月16日(土)から5月12日(日)まで
場所:徳島県立博物館 常設展 徳島恐竜コレクションコーナー
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2023年9月19日:徳島県勝浦町から発見された世界最古のアドクス属(スッポンの仲間)化石について
(1)概要
徳島県立博物館が、福井県立恐竜博物館や福井県立大学恐竜学研究所などと共同で行っている勝浦町の恐竜化石含有層発掘調査で、発見されていたカメ類化石がアドクス属(スッポンの仲間)であることが判明しました。
勝浦町のアドクス属化石は、属として世界最古の記録にあたり、同グループの進化や多様化を明らかにする上で重要な資料となります。この発見については、令和5年9月17日(日)から同年9月19日(火)まで京都大学で開催された日本地質学会第130年学術大会にて、福井県立恐竜博物館との共同による発表を行いました。
(2)化石について
①アドクス属について
アドクス属とは、白亜紀前期から始新世にかけて(約1億3000万年前~約3400万年前)アジアと北米に生息していた淡水生のカメ類です。絶滅したスッポンの仲間(スッポン上科)ですが、現在のスッポンと姿は異なり、イシガメやヌマガメのような姿をした半水生種であったとされています。
②発見されたアドクス属化石について
これまでの調査(2016年~現在)により、勝浦町の恐竜化石含有層からは500点以上のカメ類の甲羅化石が発見されています。それらを詳しく調べたところ、甲羅の特徴からアドクス属と同定される化石が複数点見つかりました。甲羅化石は複数個体に基づくと考えられます。
(3)発見の意義
アドクス属の化石は、前期白亜紀からの報告が少なく、世界の中でも福井県および福岡県の約1億2000万年前の地層からしか知られていませんでした。これまでは、これらが世界最古のアドクス属でした。勝浦町から発見されたアドクス属化石は、約1億3000万年前(物部川層群立川層)のものであり、これが世界最古の記録に相当し、同グループの進化や多様化を明らかにする上で重要な資料となります。
(4)一般公開について
日時:令和5年9月22日(金)から
場所:徳島県立博物館 常設展 徳島恐竜コレクションコーナー
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2022年度
2023年3月14日:令和4年度の発掘調査で新たに発見された恐竜化石3点について
(1)概要
徳島県立博物館では、令和4年10月~12月に福井県立恐竜博物館や福井県立大学恐竜学研究所、県内の化石愛好家、阿波勝浦井戸端塾などの協力を得て、徳島県勝浦町の恐竜化石含有層(ボーンベッド)の発掘調査を実施した結果、243点の脊椎動物化石を発見し、うち3点は、恐竜化石であることが判明しました。
(2)発見された恐竜化石
①竜脚類の歯(2点)
- 県内で発見された竜脚類の歯としては、9点目及び10点目。
- うち1点は、長さ41mmで、これまでに県内で発見された竜脚類の歯としては、最大サイズ。
- これまでに発見された竜脚類の歯と同様、ティタノサウルス形類の歯と思われる。
- 竜脚類ティタノサウルス形類は全長10mを超える大型の植物食恐竜のグループ。
②恐竜の骨質化した腱化石(1点)
- 県内では5点目となる恐竜の骨質化した腱化石 (※イグアノドンの仲間などは、椎骨を補強するため、椎骨をつなぎ合わせる腱組織をカルシウムで満たして、骨質化させる。)
一般公開
日時:令和5年3月18日(土)から令和5年4月16日(日)まで
場所:徳島県立博物館 常設展 県民コレクションコーナー
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2023年3月14日:新たに発見されたカメ類の骨格化石について
(1)概要
徳島県立博物館が、勝浦町において福井県立恐竜博物館や福井県立大学恐竜学研究所、県内の化石愛好家、阿波勝浦井戸端塾などと共同に行った恐竜化石含有層の発掘調査で、カメ類の骨格化石が新たに発見されました。 この発見については、令和5年2月3日(金)から同年2月5日(日)まで九州大学で開催された日本古生物学会第172回例会にて、福井県立恐竜博物館と共同で発表を行いました。
(2)発見されたカメ類の骨格化石
①カメ類の骨格化石
- 同じ個体と考えられる甲羅と部分的な頭骨が密集しており、日本産のカメ類化石として極めて珍しい。
- 推定される甲羅の長さは約5cmで、子どもであると考えられる。
- これまで発見されているカメ類とは異なるグループに属している可能性がある。
一般公開
日時:令和5年4月4日(火)から令和5年4月30日(日)まで
場所:徳島県立博物館 常設展 学芸員紹介コーナー
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2022年8月5日:化石発掘体験イベント等において発見された新たな恐竜の歯化石について
(1)概要
徳島県勝浦町の恐竜化石含有層(ボーン・ベッド)から採集した岩石を用いた化石発掘体験イベント等において、恐竜の可能性がある化石2点が発見され、その後の調査により、ともに恐竜の歯化石であることが判明しました。県内でも、一般参加型の化石発掘体験イベントは過去にも同様のものが行われてきましたが、恐竜の化石が発見されたのは今回が初めてとなります。
博物館の催し物案内については特設ページをご覧ください。
(2)発見された恐竜化石
①鳥脚類(植物食恐竜)の歯化石
- 県立博物館にて開催された普及行事・たのしい地学体験教室「恐竜化石を探そう!5月」にて、参加者(植田扶美さん・植田丈翔さん親子)が発見。
- 下顎の歯の歯冠の一部の化石。中央には1本の強い稜があり、その横には弱い稜が2本見られる。歯の縁には粗いギザギザの構造が並ぶ。
②獣脚類(肉食恐竜)の歯化石
- かんきつテラス徳島にて実施した発掘ボランティア研修にて発見。
- 歯冠の一部の化石。扁平な形状で、歯の縁の一部に獣脚類によく見られる細かいギザギザの鋸歯構造が見られる。
一般公開
日時:令和4年8月10日(水)から(県民コレクションコーナー展示替えまで)
場所:徳島県立博物館 常設展 県民コレクションコーナー
「発掘ボランティアと見つけた恐竜化石たち」
(令和4年7月12日(火)から開催中)
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2022年7月2日:令和3年度発掘調査で発見された「イグアノドン類の尾椎と歯化石」について
(1)概要
令和3年10月上旬から12月下旬まで、徳島県立博物館が、福井県立恐竜博物館や福井県立大学恐竜学研究所、県内の化石愛好家等の協力を得て実施した徳島県勝浦町の発掘調査において、2点の恐竜化石を発見しました。この発見について金沢大学(ホスト校)でオンライン開催された日本古生物学会2022年年会(2022年7月1日~3日)にて、福井県立恐竜博物館および福井県立大学恐竜学研究所と共同で発表を行いました。
(2)発見された恐竜化石
①イグアノドン類の尾椎化石
- 中国・四国地方で初めて発見されたイグアノドン類(植物食の鳥脚類恐竜)の体の骨の化石。
- その形の特徴から尻尾の中央から後方に位置する尾椎であると考えられる。
- イグアノドン類の骨の化石としては日本最古であり、東アジア全体としても同時代のものがほとんど発見されていないため、イグアノドン類を研究する上で重要な標本である。
②イグアノドン類の歯化石
- 県内では、1994年に見つかったイグアノドン類の歯化石から27年ぶりとなる発見。
- 歯の特徴から上顎骨歯(上顎の歯)と考えられる。
- 歯の先端(写真の下側)は、上下の顎の歯がすり合わさる咬耗面になっている。歯冠はほとんどすり減り、歯根も無くなっているため、使い古した脱落歯と考えられる。
一般公開
日時:令和4年7月12日(火)から12月28日(水)まで
場所:徳島県立博物館 常設展 徳島恐竜コレクション
(福井県立恐竜博物館では尾椎化石の複製をクリーニング室前にて展示予定)
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2021年度
2022年3月14日:徳島県8点目の竜脚類恐竜の歯化石の発見について
(1)概要
徳島県勝浦町で徳島県立博物館が実施している発掘調査の現場とは異なる場所から、令和4年1月4日に県内の化石愛好家(小林亮介さん・小林敬冶さん親子)が、恐竜の歯の可能性のある化石を発見しました。化石は、同年2月2日に徳島県立博物館に持ち込まれ、学芸員が竜脚類の歯の化石と鑑定しました。その後、化石は、博物館に寄贈されました。
(2)発見された恐竜化石
- 徳島県内で発見されている竜脚類の歯としては、8点目の発見。
(※徳島県から発見された恐竜化石としては、17点目) - 長さ4cmで、徳島県内で発見された竜脚類恐竜の歯としては、最大サイズ。
- これまでに徳島県勝浦町で発見された竜脚類の歯と同様、ティタノサウルス形類の歯と思われる。
- 竜脚類は、全長10mを超える大型の植物食恐竜のグループ。
一般公開
日時:令和4年3月16日(水)から7月3日(日)まで
場所:徳島県立博物館 常設展 徳島恐竜コレクション
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2020年度
令和2年度発掘調査で発見された「獣脚類の骨と恐竜の骨質化した腱化石」について
昨年秋~冬、徳島県立博物館は、福井県立恐竜博物館、福井県立大学恐竜学研究所、阿波勝浦井戸端塾、県内の化石愛好家等の協力を得て実施した徳島県勝浦町の発掘調査において、2点の恐竜化石を発見しました。
(1)発見された恐竜化石
①獣脚類の肢骨(前肢または、後肢の骨の一部)
- 徳島県内で過去に発見された獣脚類の脛骨(約20cm)に次ぐ大きさの骨化石(約10cm)
- 骨の内部が空洞になっていることから、獣脚類のものを推定される。
- より詳細な分析を行えば、部位の特定に至る可能性もある。
- 骨の詳細な部位が不明なことから全長の推定は難しいが、骨の長さが10cm程度であることから、比較的小さい獣脚類(~全長2m)と考えられる。
- 化石の持ち主が、大型獣脚類子ども、または小型獣脚類成体かは不明。
- 獣脚類の大部分は、肉食性であることから、肉食恐竜の可能性が高い。
②恐竜の骨質化した腱化石
- 徳島県内では4点目となる恐竜の骨質化した腱化石
(※恐竜の一部のグループ〈イグアノドン類を含む鳥脚類など〉は、椎骨を補強するため、腱組織を骨質化させる。)
(2)一般公開
展覧会:徳島まるづかみ展 ―コミュニケーションで展示を楽しもう!―
日 時:令和3年4月23日(金)から5月30日(日)まで
場 所:文化の森多 目的活動室
2019年度
2020年2月10日:徳島県勝浦町で発見された日本最古のスッポンモドキ科カメ類化石について
徳島県立博物館が、福井県立恐竜博物館や県内化石愛好家などの協力のもとすすめている徳島県勝浦町の恐竜化石含有層の発掘調査で、日本最古のスッポンモドキ科カメ類化石を発見しました。この発見について東京大学で開催された日本古生物学会第169回例(2020年2月7日~9日)で発表を行いました。
(1)資料についての情報
右下腹甲(図1)
大きさ:前後長 13mm 左右幅25mm
発見場所:徳島県勝浦町に露出する恐竜化石含有層(ボーンベッド)
発見日:平成30年2月12日
発見者:田上浩久氏(徳島県化石同好会)
右第9縁板骨(図2)
大きさ:前後長9mm 左右幅9mm
発見場所:徳島県勝浦町に露出する恐竜化石含有層(ボーンベッド)
発見日:平成30年12月15日
発見者:徳島県立博物館職員
図3:勝浦町産のスッポンモドキ科カメ類の発見部位(赤色部)
発見部位から、甲長は、約9cmと推定されます。
※白亜紀のスッポンモドキ科キジルクメミスの甲羅をお腹側から見た図。
図の上方向が頭部の出る前方。
(2)スッポンモドキ科カメ類について
スッポンモドキ科は、スッポン科に最も近い淡水生のカメ類です。現在、世界中で1種類(スッポンモドキ)のみが、オーストラリア北部やニューギニア島の一部で知られており、絶滅も危惧されています。最古の記録は、タイの白亜紀前期の地層(約 1億3500万年前)から見つかった化石です。その他の化石記録から、新生代(約6600万年~)にはアジアだけでなく世界中にも分布を広げたことが分かっています。2300万年前以降になると化石の記録が少なくなります。
(3)発見のポイント
- これまで日本最古のスッポンモドキ科カメ類化石の記録は、福井県勝山市産の化石(約1億2000万年前)でしたが、徳島県勝浦町の化石は、それより約1000万年古く、新たに日本最古(約1億3000万年前)のものになりました。
- 白亜紀前期のスッポンモドキ科カメ類の化石は世界的にも貴重であり、今回発見された化石はスッポンモドキ科の起源や進化を明らかにするために重要な標本です。
(4)一般公開について
日時:令和2年2月11日(火・祝)~3月1日(日)
場所:徳島県立博物館常設展示室
ラプラタ記念ホール内トピックコーナー
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2019年12月20日:徳島県勝浦町の恐竜化石含有層本格発掘調査での「肉食恐竜(獣脚類)の完全な歯化石」の発見について
令和元年10月下旬から12月下旬まで、福井県立恐竜博物館や県内化石愛好家などの協力のもとすすめている勝浦町恐竜化石含有層本格発掘調査で、中四国初となる肉食恐竜(獣脚類)の完全な歯化石を発見しました。
[発見のポイント]- 四国初となる肉食恐竜(獣脚類)の完全な歯化石を発見
- 肉食恐竜(獣脚類)の歯化石が発見されているのは、中四国地域で徳島県勝浦町のみ
- 肉食恐竜(獣脚類)の歯化石としては、国内最古級(約1億3000万年前)に相当
- 肉食恐竜の化石は、植物食恐竜の化石に比べ産出が少ないことから、勝浦町のボーン・ベッドには多くの恐竜化石が含まれている可能性がある
2018年度
2019年3月11日:国内最古級恐竜化石含有層の緊急発掘調査結果の概要報告(第2回勝浦町恐竜発掘活性化協議会での報告)
2019年3月11日、徳島県庁にて、恐竜資源を活用した徳島県および勝浦町の地方創生、地域活性化を図ることを目的とした第2回勝浦町恐竜発掘活性化協議会を開催いたしました。この協議会で平成30(2018)年11月末~12月中旬に実施した国内最古級恐竜化石含有層の緊急発掘調査結果の概要報告を行いました。緊急発掘調査では、恐竜化石を含む47点の脊椎動物化石が発見され、そのうち中四国初となる「獣脚類の脛骨化石」や県内5点目となる「竜脚類の歯化石」を報告しました。また、昨年、春に化石愛好家によって発掘され、その後、当館や福井県立恐竜博物館で鑑定作業を進めていた化石1点が、中四国初の「獣脚類の歯化石」と判明いたしました。
詳細はこちらをご覧ください。(第2回勝浦町恐竜発掘活性化協議会資料)
2018年8月9日:徳島県勝浦町における「国内最古級の恐竜化石含有層(ボーン・ベッド)」と「新たな恐竜化石等」の発見
徳島県勝浦町では、平成6(1994)年4月に四国初の恐竜化石である鳥脚類(イグアノドン類)の歯の化石が発見されました。平成28(2016)年にも、2例目の恐竜化石となる竜脚類(ティタノサウルス形類)の歯の化石が発見されています。この2例目の発見を機に、徳島県立博物館が中心になり、福井県立恐竜博物館および県内の化石愛好家の方々の協力のもと、勝浦町内で恐竜化石を含む地層調査を続けてきました。
過去に徳島県で発見された2例の恐竜化石は、いずれも地層から抜け落ちた転石中から見つかったもので、恐竜化石を含む地層の特定はできていませんでした。しかし、これまで行ってきた現地調査の結果、恐竜化石含有層(いわゆる「ボーン・ベッド」)および新たな恐竜化石等を発見しました。
詳細はこちらをご覧ください。
記者会見の様子(YouTube動画)
2016年度
2016年8月9日:国内最古級の竜脚類恐竜化石の発見
平成28年7月3日(日)、徳島県勝浦町の前期白亜紀(約1億3000万年前)の地層から、国内最古級となる竜脚類(恐竜)の歯化石が発見されました。竜脚類は、長い首と尾をもち、大きなもので30メートルを超える植物食の恐竜のグループで、竜脚類の化石の発見は、四国で初めてとなります。
発見者は、徳島県阿南市在住の化石愛好家の田上浩久さんと田上竜熙さん(中学2年生14才)の親子です。福井県立恐竜博物館と徳島県立博物館の標本鑑定の結果、国内最古級に相当する竜脚類ティタノサウルス形類であることが判明しました。今後、徳島県立博物館と福井県立恐竜博物館が、より詳しい調査研究を合同で進める予定です。
発見のポイント
- 竜脚類の化石の発見は、四国で初めてです。
- 竜脚類ティタノサウルス形類としては、国内最古級(約1億3000万年前)です。
発見場所と発見された地層
徳島県勝浦町には、前期白亜紀(約1億3000万年~約1億年前)の地層が分布しています。この地層の一部は、湖や河川または、汽水域(淡水と海水が混ざる干潟のような環境)でできた地層で、その周辺に生きていた淡水生の貝やシダ・裸子植物などの化石が発見されており、1994年には植物食恐竜のイグアノドン類の歯の化石も発見されました。今回の竜脚類ティタノサウルス形類の歯化石も、勝浦町に分布する前期白亜紀の地層に含まれていました。
竜脚類ティタノサウルス形類について
竜脚類は、長い首と尾をもち、大きなもので30メートルを超える植物食の恐竜のグループです。アパトサウルスやブラキオサウルスなどが有名です。巨大な竜脚類は、ジュラ紀に繁栄しましたが、ジュラ紀と白亜紀の境界付近で数が減り、白亜紀の竜脚類はティタノサウルス形類と呼ばれるグループが主流となります。
福井県勝山市からは、全長約10メートルと推定される竜脚類ティタノサウルス形類のフクイティタンが発見されています。今回勝浦町から発見されたティタノサウルス形類もフクイティタンの歯とサイズが変わらないことから、全長10メートル前後と推定されます。
発見の意義
日本の恐竜化石の産出地の多くは、中央構造線の北側に集中しています。中央構造線は、西南日本の地質を南北に分断する断層帯です。地質的に中央構造線より北側を内帯(ないたい)と呼び、南側を外帯(がいたい)と呼びます
恐竜が生きていた中生代は、日本海は存在せず、日本列島はアジア大陸の東縁にありました。中央構造線より北側の内帯は、アジア大陸に近いため、陸地で堆積した地層(陸成層)が多く分布しています。陸域で生息していた恐竜は、陸成層で見つかるのが一般的です。内帯に含まれる福井県をはじめとする北陸地域から恐竜化石が多く発見されるのは、そのためです。
一方、中央構造線より南側(太平洋側)にある外帯は、海で堆積した地層(海成層)が多く、陸成層が少ないのが特徴です。そのため、外帯からの恐竜化石の産出は稀です。西南日本外帯から知られている恐竜化石は、群馬県、三重県、和歌山県、徳島県の4県のみです。そのうち、竜脚類の化石は、群馬県、三重県、徳島県で発見されています。今回、勝浦町で発見された竜脚類の化石は、三重県で発見されている恐竜とほぼ同時代の国内最古級のものと言えます。
また、中央構造線は、白亜紀当時から活発に断層運動をしており、外帯は、現在の位置よりも数百キロ以上、南方にあったと推定されています。徳島県勝浦町産の恐竜化石は、国内で見つかる恐竜の中でも南方に生息していた恐竜の生物相を知る上で重要と言えます。
今後の研究について
徳島県勝浦町産の竜脚類の歯の化石は、今後、当館と福井県立恐竜博物館が、合同で調査研究を進める予定です。調査研究の結果は、学会発表または、報告書・論文として今後発表する予定です。