考古学とは?

考古学(Archaeology)は、簡単に言えば、「モノ(物質資料)から人類の歴史を復元する」ことを目的とした学問です。(広義の)歴史学の一分野ということになります。

このモノ(物質資料)とは、人々が生活をした痕跡である遺跡や、そのなかにある住居や倉庫などの跡である遺構、昔の人々が使っていたお皿やお椀、鍋、瓶などの遺物を指します。これら土に埋まっている遺跡、遺構、遺物のことを埋蔵文化財と呼びます。

歴史学には考古学のほか、文献史学(狭義の歴史学)や民俗学、人類学、美術史、建築史、etc.のように様々な分野があります。なかでも考古学の特徴は、かつて人類が存在し、行動し、住んだところ、言い換えれば「人類の過去すべて」が研究対象なところです。言葉や文字がない時代や場所だろうと研究ができるのが強みです。

研究の方法は、遺跡の発掘調査や、その遺跡から出土した遺構や遺物の観察・記録・報告からはじまり、遺構や遺物の分析などを行います。最近では遺跡から出土した人骨のDNA分析など他分野との連携も活発です。

例えば、私が専門としている中世(主に鎌倉時代・室町時代・戦国時代)の土器・陶磁器の場合、土器・陶磁器が時代ごとにどんな姿形の変化をするのか、どのように流通しているのか、どうしてつくられたのか、などが研究課題となっています。

また、発掘調査を通して研究をすることが多いので、よく化石の研究をする学問と間違われることも多いですが、化石の研究は古生物学などがあたり、当館では地学担当の学芸員が行っています。

遺跡の数は非常に多く、文化庁によれば、日本全体で46万カ所以上あるといわれ。そのうち徳島県には約3,100カ所が位置しているそうです。これを徳島県の面積4,147平方キロメートルで単純に割ると1.337...となり、1平方キロメートルあたり約1.34カ所の遺跡が存在することになります。つまり計算上は1km四方の中に必ず1カ所は遺跡があるということです。徳島県は8割以上が山地で人の住めないところも多いことを考えると、この数は体感的にはもっと大きく感じられるでしょう。

遺跡は意外とみなさんのすぐそばにあるといってもいいのではないでしょうか?

みなさんのおうちやその近所、通っている学校などの施設、裏山などには、実は遺跡があるのかもしれません。

当館展示中の中世遺跡出土資料の写真です。

                 当館展示中の中世遺跡出土資料(一部)