博物館ニューストップページ博物館ニュース009(1993年1月10日発行)Q.日本にも季節によって渡りをするチョウ・・・(009号QandA)

Q.日本にも季節によって渡りをするチョウがいるということですが、どんなチョウですか?【レファレンスQ&A】

動物担当(無脊椎動物(昆虫)) 大原賢二

A.日本の蝶類のうち、マダラチョウ科とよばれるグループがいます。南西諸島(奄美大島から沖縄県にかけて) には数種いますが、九州や四国、本州までみられるのはアサギマダラだけです。このチョウは、ハネをひろげた大きさが約10-12cmで、チョコレート色の地に、うすい水色の斑紋をもつきれいなチョウです。夏になると、500-600mくらいの山から剣山などの高い山まで見られ、ふわふわと優雅に飛び回り、いろいろな花で蜜を吸っています。ところが平地では、夏にはまったく見られず、春と秋にときどき見られます。

今から10年ほど前に、沖縄で観察していた人が、沖縄でこのチョウを見れるのは春と秋の2回だけで、しかもほんの数日であるということから、沖縄で見られるアサギマダラは渡りの途中ではないか、という疑問をもちました。これがきっかけになり、アサギマダラのハネに油性のインクでマークを付けて放してみたらどうだろうということになり、鹿児島の人たちを中心に調査が始まりました。

その結果、鹿児島県の種子島でマークしたアサギマダラが、遠く福島県の会津若松市で再捕獲されたのをはじめ、秋には愛知県でマークされた個体が奄美大島てや見つかるなど、これまで10例ほどの移動が記録されました。
今までの記録からみると、春に南の方(出発地はまだよくわからない)から日本へ飛んできて、秋にはその逆のコースをたどっているものがいる、ということがわかってきました。しかし、四国へはやってくるのか、また四国を経由して南へ下っているのかというようなことはまだよくわかっていません。

徳島県でもこのチョウの移動を調べてみたいと考えています。みなさんも興味がありましたら一緒に調べてみませんか。

オカトラノオの花で吸蜜するアサギマダラ

オカトラノオの花で吸蜜するアサギマダラ

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