博物館ニューストップページ博物館ニュース014(1994年4月10日発行)楽しい鉱物学 基礎知識から鑑定まで(014号本の紹介)

「楽しい鉱物学 基礎知識から鑑定まで」「楽しい鉱物図鑑」【本の紹介】

 

楽しい鉱物学

楽しい鉱物学

堀秀道 草思社

楽しい鉱物図鑑

堀秀道 草思社


地学担当 中尾賢一

著者の堀氏は、民間の鉱物学者・愛好家として、鉱物に関する研究と、知識の普及に力を注いでいる人です。著者の長年の鉱物に関する知識と経験をもとに書かれたのがこの2冊の本です。内容的に互いを補強しあうような形になっていますが、片方だけでも充分楽しむことができます。
「楽しい鉱物学」は、鉱物全般に関する話題と、20数種類の鉱物の解説が主な内容です。鉱物図鑑が役に立たない理由、特別な分析機器を使わずに鉱物を鑑定する方法、宮沢賢治と鉱物のかかわり合いなど、鉱物の研究や収集をする上でためになる話題、意外性に富んだ興味深い話題に満ちた本です。巻末の図書・博物館・同好会・標本販売店・鑑定や分析をしてもらえるところ等のリストや、「鉱物肉眼鑑定チャート」は、これから鉱物の収集を始めようとする人にとって充分な利用価値があるでしょう。
「楽しい鉱物図鑑」の内容は、主要な245種の鉱物の解説と写真です。写真と解説はほどよい割合で、文章は鉱物に興味を持っていなかった人にもわかるように易しく書かれています。しかし、なんといってもこの本の最大の特長は、力ラー写真がたいへんすばらしいことです。おそらく、これまで日本語で書かれだ鉱物関係の本のなかで、最も写真のみごとなものでしょう。
この2冊の本は、鉱物関係の本格的な普及書とし、日本で初めてのものということができます。両方とも、鉱物について特別な知識のない人でも、また、おそらく専門家でも、充分に楽しく読める内容になっています。鉱物に関山のある方はもちろんですが、自然史に関心のある方、「鉱物はちょっと」という方にも、一読を薦めたい本です。
(中尾賢一)

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