博物館ニューストップページ博物館ニュース015(1994年7月10日発行)Q.徳島の郷土料理lこ使われる「そば米・・・(015号QA)

Q.徳島の郷土料理lこ使われる「そば米」ってなんですか??【レファレンスQ&A】

民俗担当 福田珠己

A.「そば米」はそばという名前がついてますが、つるつると食べる長いそばとは、見かけは全くちがいます。それでは、米なのでしょうか?じつは、これらは加工の仕方がちがうだけで、まったく同じ穀物、中央アジア産のタデ科の植物であるソバの実なのです。
大陸から日本にソバがもたらされたのは古い時代のことで、縄文時代の遺跡から花粉や種子が発見されています。ソバの栽培も奈良時代にはすでに始まっていました。種まきから収穫までの期聞が非常に短く、やせ地や高冷地でも栽培可能なため、かつては、他の作物には適さない山地でも、焼畑農業によってさかんに栽培されていました。

収穫され乾燥させたソバは、まず、脱穀されます。この状態では、まだ、殻がかぶったままの「玄そば」です。この豆そばを石臼などでひいて粉にして使う場合があります。熱いお茶をかけてねっただけの「そばねり」や塩を加えてお湯でねってだんごの形にした「そばだんご」などがそうです。私たちがふつうよく口にする長いそば、「そば切り」もそば粉から作ります。「そば切り」はそば粉だけで作るときもありますが、小麦粉などを混ぜて、切れにくくすることもあります。これらの粉をよくこねて、めん棒でのばして細く切り、ゆでるのです。このようなそば粉を使った料理は、北海道から鹿児島に至るまで、日本各地で広く食べられています。

一方、徳島の「そば米雑炊」のように粒のままそばを食べる習慣は、粉にひいて使う方法よりも古くからあったものと考えられますが、現在ではあまり残っていません。徳島、香川、高知のほか東北などに、雑炊や雑煮、汁、飯が伝承されているだけです。このような料理では、玄そばから殻をとった丸い粒が使われます。この丸いそばの粒を徳島では「そば米」といっているのです。
そば粉にそば米、私たちはいろいろな食べ方でそばに親しんできました。しかし、最近では、その栽培面積も減り、輸入そばが多くなっています。
 

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