博物館ニューストップページ博物館ニュース134(2024年3月25日発行)昔、家うちにあった道具- 踏ふみ台-(134号館蔵品紹介)

昔、家うちにあった道具― 踏ふみ台 ―【館蔵品紹介】

民俗担当:磯本宏紀

 令和5年10月11日から令和6年1月14日まで、常設展示室内の歴史・文化コレクションで「昔、家うちにあった道具図鑑」という展示を開催しました。そのタイトルのとおり、かつて家に当たり前のようにあり、日常生活で使っていた道具を紹介しました。「紹介」と書きましたが、「家にあった」人も、そうでない人も、どこかで見聞きしたことがあるモノが多いと思いました。そこで、知っているモノの意外な一面を再確認してもらうことを意図して展示しました。

図1 ふみ台

図1 ふみ台


 さて、ここではそのうちの1つである踏み台について紹介しましょう(図1)。屋内で、高いところにあるものを取ったり、高いところで作業したりするのに使ったことは想像できるかと思います。神棚にお供そなえを上げたり、時計のねじを巻いたり、棚の上のものを取ったりと多用途でした。地味ですが、多くの家で毎日使うものだったかもしれません。

 安全に作業ができるよう、上に乗っても安定するようデザインされています。側板は4面とも台形の材を使っていますし、天板はやや厚めの材が取り付けられています(図2・3)。側面1か所だけ、側板の上部が開いていますが、何のためかわかりますでしょうか。これは、踏み台のなかをくず入れとして使うために開けられており、持ち主は、踏み台をハイブリッドで使うことができるのです。
 この踏み台の側板1か所には「昭和弐拾八(にじゅうはち)年三月拾八(じゅうはち)日製」と書かれています。踏み台はその頃新調されたようです。これを使っていた家では、ちょうどその頃に家を新築したそうです。この踏み台は、その家を建てた大工さんから贈られたものだったようです。

図2 踏み台(側面)

図2 踏み台(側面)


図3 踏み台(上面)
図3 踏み台(上面)

 

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