お気軽にお問い合わせください
TEL. 088-668-3636
開館時間 AM9:30 ~ PM17:00

HOME > 事業概要

スケジュール概要

■令和3年(2021)8月頃 グランドオープン(予定)
■令和2年(2020)8月31日~令和3年7月末 常設展示室展示製作工事期間(予定)
■令和2年(2020)8月30日 旧常設展示室閉室
■令和2年(2020)3月~令和3年(2021)8月 常設展構築事業
■平成30年(2018)10月~令和元年(2019)10月 常設展設計事業(基本設計・実施設計)
■平成29年(2017)7月 徳島県立博物館新常設展基本構想の策定

徳島県立博物館新常設展基本構想

基本構想のpdfファイルはこちらから


平成30年(2018)7月 徳島県教育委員会

1. 策定の経緯
2. 常設展の現状と課題
 (1)所在地
 (2)施設の概要
 (3)常設展の現状
 (4)常設展の課題
3. 新常設展の方向性
 (1)基本方針
 (2)展示のあり方
 (3)留意すべき視点
4. 新常設展の内容
 (1)ゾーニング
 (2)主要な配慮事項

1.策定の経緯

徳島県立博物館(以下、本構想では「当館」とする。)は、平成2年11月3日、徳島県文化の森総合公園内の文化施設の一つとして開館した。
以来27年余に渡り、博物館法に基づく社会教育機関として、誰もが学べる社会教育・生涯学習の拠点となるとともに、学校教育を支援する拠点としての役割を果たしてきた。また、自然系3分野(動物、植物、地学)、人文系4分野(考古、歴史、民俗、美術工芸)を擁する「四国唯一の総合博物館」として、実物資料(モノ)の「展示」はもとより、その基盤である資料の「収集保存」や「調査研究」、さらには「普及教育」に至るまで、様々な活動を積み重ねてきた。
とりわけ、当館の基本的な展示施設である常設展は、徳島の自然や歴史・文化、自然のしくみ等について幅広いテーマを定めて紹介しており、部門展示の展示替え、キッズ・チャレンジコーナーの設置、ユニバーサル化の推進などの努力と相まって、平成29年度末には累計で140万人余りの利用を得ている。
しかしながら、現在のところ、これまでに積み重ねてきた調査研究や資料収集活動の成果、さらには各種の展示・普及教育活動の経験が、展示内容に十分には活かしきれていない。さらに、施設・設備の老朽化が進むとともに、大型造作物による印象の固定化や大規模な展示替えが困難な構造等により、展示の新鮮さが保てず、利用者は頭打ちの状況にある。
そこで、このたび、文化の森総合公園の開園30周年(2020年)を機に、これからの時代に相応しい常設展へと全面リニューアルすることとし、その基本的な考え方を示した「基本構想」を、以下の経過を経て、取りまとめたものである。

○未来創造!博物館新常設展構築事業タスクフォース
 平成29年度に、当館を含む文化の森各館や観光・文化財行政等に関係する若手職員で構成し、望まれる常設展のあり方を検討した。
○未来の博物館を考える検討委員会
 平成29年度に、博物館運営、歴史学、生物学、行政・教育分野等に詳しい有識者で構成し、新しい常設展のあり方について検討を進め、提言をいただいた。
○県民とともに新常設展を考えるワークショップ
 平成30年4・5月の2回にわたり開催。検討委員会における提言をベースにした新常設展素案について、公募により参加した県民から意見をいただいた。あわせて、県内外の有識者からのアドバイスを受けた。

2.常設展の現状と課題

(1)所在地
 〒770−8070 徳島県徳島市八万町向寺山
 徳島県文化の森総合公園内

(2)施設の概要
 ・構造・規模 鉄筋鉄骨コンクリート造 地上4階・塔屋1階・地下1階
 ・竣工    平成元年12月
 ・敷地面積  40.6ha(文化の森総合公園全体)
 ・建築面積  8,363m2(博物館入居施設合計)
 ・延床面積  8,063m2(博物館専用スペース)
 ・常設展面積 2,495m2(常設展ロビー等を含む)

(3)常設展の現状
 ・現在の常設展は、受付を含む常設展ロビーのほか、総合展示、部門展示、ラフラタ記念ホールから構成されている。
 ① 総合展示
 「徳島の自然と歴史」という全体テーマのもと、7つの大テーマて構成。内容は、四国島の成立を中心とする地史、人類の登場以降の阿波の歴史・文化、県内の空間ごと(山地、吉野川流域の平地、海)の生物・生業となっている。
 ② 部門展示
 総合展示を補うための分野ごとの展示で、自然・人文各1室。人文については、壁付けケースの半分を年間5~6回の展示替えを行うスペースに充てており、ミニ企画展として運用している。平成20年度からは、このスペースで自然系の展示も行うこととし、館全体での収蔵資料の積極的な公開の場として活用している。
 ③ ラプラタ記念ホール
 アルゼンチンのラプラタ大学附属博物館から寄贈された南アメリカ特有の哺乳類化石を展示。
 ・ゾーニングは時計回りを基本とし、時代の流れに沿った通史的な構成をとったものであり、一筆書き誘導動線を採用している。また、動線の長さを考慮し、途中に休憩室や休憩コーナーを配置している。


現在の常設展のゾーニング


(4)常設展の課題
 ① 調査研究・資料収集活動、経験の蓄積の活用
 ・開館以来の活動の蓄積により、県内の自然や歴史・文化に関する知見が増し、収蔵資料も大幅に増加した(平成2年12月末約71,000点、平成30年3月末 約528,000点)。
 ・汎用性の高い展示ケースの設置や動線の見直し等により、これらの成果を柔軟に展示に反映できるようにしていく必要がある。
 ② 特色の明確化
 ・県内の資料を分かりやすく示したり、各コーナーのシンボルとなるような展示資料を明確にするなどして、徳島の自然や歴史・文化の魅力・特色を、利用者に理解しやすくする工夫が必要である。
 ・徳島県立文書館、徳島市立徳島城博物館、徳島県立埋蔵文化財総合センター等、当館とテーマが重複する博物館等との棲み分けや連携による特色づくりも必要である。
 ③ユニバーサル化の推進
 ・現行の常設展が整備された時代の制約から、外国人や障がい者への対応を含むユニバーサル化はあまり進んでいないため、サインや解説など、可能な範囲で対策を講じてきた。
 ・新常設展では、現代の公共施設として、全体にわたりユニバーサルデザインの推進が必要である。
 ④ 発見や学びを導く工夫の推進
 ・博物館の展示には、新しい知識の獲得のきっかけとなることか期待されることから、実物展示を補完する映像や情報機器の活用、ハンズオンの積極的な導入、利用者による調査研究成果の反映などといった参加体験的要素の強化が求められる。
 ⑤ 施設・設備の老朽化対策
 ・展示ケース、照明設備等、施設・設備の全般にわたり老朽化が進んでいるため、更新や再整備が必要である。
 ⑥ 観覧者の確保
 ・常設展利用者は、平成3年度の年間137,117人をピークに減少傾向が続き、平成14年度以降は3万人台後半〜4万人台前半で推移している。より多くの利用者が訪れたくなるような魅力アップが必要である。

3.新常設展の方向性

(1)基本方針
徳島まるづかみ! ―“いのち”と“とき”のモノ語り―
 ・県内外から訪れる利用者が、徳島の自然や歴史・文化を俯瞰し、徳島の魅力や特色を実感できる展示を目指す
 ・自然系・人文系をあわせもつ総合博物館として、「生命(いのち)」が織りなし、「時(とき)」を超えて「過去(昔)」から「現在(今)」へと継承されてきた徳島の自然や歴史 ・文化を、実物資料(モノ)をもとに感じるとともに、未来の創造へとつながる展示を目指す
 ・他地域との関係にも留意し、地球規模の視野も取り入れることで、徳島の特色がいっそう理解できる展示を目指す

(2)展示のあり方

「新未来型展示」の実現
 ① 実物資料(モノ)の魅力発信
 ・当館がこれまでに蓄積してきた豊富な収蔵資料を有効に活かし、モノにこだわり、モノと出会い、モノに学べる展示
 ・自然系・人文系の各分野の視点、自然・人文の枠を超えた融合的視点、地球規模の視点を織り交ぜた展示
 ② フレキシブルな展示構成
 ・最新の研究成果をもとに、タイムリーな展示資料の入れ替えができる展示
 ・いつ訪れても利用者の知的好奇心を刺激できる可変性の高い展示
 ③ ユニバーサル化の推進
 ・海外からの利用者や子ども、障がい者、高齢者など、誰もが安心して利用できる展示
 ・タブレット端末やスマートフォンなどの情報機器を有効に活用した展示
 ④ 4K・VR・ハンズオンの活用
 ・徳島県の強みである4KやVRなどの映像技術を効果的に活用し、最新の情報や発見をもたらす展示
 ・実際に手で触れて体験できるハンズオンなど、参加体験型手法を有効に活用した展示

 これらにより、親しみやすく、訪れるたびに発見があり、徳島の魅力や特色を体感できる展示を目指す。

(3)留意すべき視点

  前節の諸点のほか、先に開催された検討委員会やワークショップにおけ  る意見も踏まえ、次の2点についても考慮した展示を行う。

 ① 利用者との対話の重視
 ・職員と利用者、利用者間での対話や交流を大切にする展示
 ・利用者による調査研究の成果を展示に取り込むなど、利用者とともに創る展示
 ② フィールド(地域)へのいざない
 ・利用者が、来館を機に県内各地域を訪れたくなるような展示
 ・当館をハブとして、各地域の個性ある博物館や資料館を訪れるきっかけとなる展示

4.新常設展の内容

(1)ゾーニング

 既存の施設構造を活用し、次のゾーニングにより、新常設展を整備する。
 ① ロビ-・ゾーン(新常設展の顔)
 ・現在の常設展ロビーを活用
 ・常設展全体の導入部(顔)として、徳島の魅力や新常設展の見どころが一目でわかるよう整備
 ② コミュニケーション・ゾーン(交流の場)
 ・現在のラプラタ記念ホールを活用
 ・県民参加型の情報展示スペースの導入を検討するとともに、職員と利用者、利用者間での情報交換や交流の場として整備
 ③ メイン・ゾーン(実物と出会う場)
 ・現在の総合展示、部門展示スペースを活用
 ・次の3つのセクションで構成し、実物資料を中心とした展示スペースとして整備
 (a)徳島セクション「徳島の自然と歴史・文化」
  ・徳島の自然や歴史・文化について、徳島に根ざしたテーマを設定し、その魅力を発信(展示の例:勝浦町産出の恐竜化石や徳島県出土の銅鐸、阿波藍、人形浄瑠璃など)
 (b)コレクション・セクション
  ・長期間展示できない資料を中心に、さまざまなトピックを展示替えしながら紹介
 (c)地球セクション
  ・地球規模の視野で生物や化石を展示
 ④ ミュージアム・ストリート(自由動線の基盤)
 ・現在の総合展示スペースの一部を利用
 ・各ゾーンをつなぐ回廊(基本動線)として、移動方向を規制せず、利用者が興味や関心に応じて自由に見学できるよう整備


新常設展のゾーニング(イメージ)


(2)主要な配慮事項
展示の具体化に当たっては、次の点に配慮しつつ検討を行う。
 ① 映像とハンズオンの活用
 ・各ゾーン、各セクションの果たすべき役割や機能に応じて、4K・VR・ハンズオン等を効果的に活用
 ② ユニバーサルデザインへの配慮
 ・動線や照明、色彩、サイン、展示方法等、あらゆる面でユニバーサルデザインに配慮
 ③ 維持コストの低減
 ・導入機材は、リースの活用や汎用性の高い技術・仕様を用いるなどして維持コストを低減
 ④ 資料保存環境の整備
 ・展示資料を長期かつ適切に保存するために必要な空気環境の維持、耐震対策、消火設備等の安全対策を推進
 ⑤ 安全で快適な利用環境の整備
 ・トイレ環境の改善や、照明設備の改修によるLED照明の活用等、老朽化した設備の再整備を進め、安全で快適な利用環境の整備に努力


ページトップに戻る