「博物館ニュース」の発刊に当って
館長 千地万造
徳島県立博物館はもうすぐ開館します。この博物館は徳島の自然の姿やその生立いち、人々の暮らしや郷土の歴史などについての総合的な博物館です。そして、大きさや設備なども日本の公立博物館では第一級のものです。
博物館には総合展示室、部門展示室、ラプラタ記念ホールの3つの常設展示室と、1つの企画展示室があります。総合展示室では、徳島の自然や人の営みが、有史以前から、長い長い歴史を経て造り出され、今もなお、私達は自然の恵みがなければ生きていかれないことが楽しみながら分かり、これからも、どのように自然と共生していけばよいのかを、一人一人に考えてもらえるよう、実物を中心にしてやさしく展示しています。部門展示では、徳島の民俗や文化、自然の秩序ある多様性が示されます。また、ラプラタ記念ホールには、2億年もの長い期間、他の大陸から孤立して移動し、今から300万年ほどまえに北米大陸とつながった南米大陸にすんでいた、いろいろな珍しい哺乳動物の化石を展示します。これは徳島県とアルゼンチンのラプラタ大学との文化協力事業によって実現したものです。2年後にはさらに充実することになっており、日本中の注目を浴びることでしょう。
博物館には人文・自然科学や教育の専門の学芸員や先生がいて、それぞれの分野で調査と研究、資料の収集をします。このような仕事は展示の中身をより良いものにするためにも、また、皆さんから寄せられるいろいろな質問や、お問い合わせにお答えするのに必要です。そればかりでなく、私達は研究の成果を広く公表して、徳島の文化だけでなく、ひろく日本の、さらに世界の学術・文化の発展に貢献しようとしています。博物館はこれらの仕事を、みなさんと一緒にしていきたいと望んでいます。
収集した資料は、腐ったり壊れたりしないよう、保存上の手を加え、収蔵庫の中に保管します。徳島の貴重な文化財や自然資料をいつまでも次の世代に引き継いでいくことは、現在を徳島に生きる私達みんなの義務だと思うからです。
また、魅力ある観察会、見学会、講座や実習、 企画展などを開きます。博物館はこれらの催しに、皆さんが積極的に参加してくださるようお待ちしています。博物館には入学試験も卒業もありません。「 いつでも、だれでも、たのしく、いつまでも」。これが博物館のモットーです。
博物館の展示室は、 デパートの展覧会や、遊園地で聞かれる博覧会のように、“一度見たらそれでおしまい”というものではありません。博物館は「博覧会」のパビリオンのように、見学にいくところではありません。皆さん自身の「知識の宝庫」、「情報のルーツ」として、また、 「知的な遊び場」、「精神的憩いの場」、「書斎や研究室」………として、いつも利用するためのものです。
この「博物館ニュース」は、皆さんに上手に博物館を利用していただくために、また、博物館と皆さんとが、より親しく交流するために、定期的に発行するものです。十分ご活用くださいますようお願いいたします。