文化の森ヘ行こう【CultureClub】
普及担当 徳野嘉治
文化の森イメージ
文化の森総合公園(以下文化の森と記す)は、年聞を通じてたいへん多くの方に利用されています。その中でも、学校関係の利用がかなり大きな割合を占めています。今回は学校からみた文化の森の利用法について紹介します。
どのような機会に学校が文化の森や博物館を利用するのかを調べてみると、
(1)遠足などの学校行事として
(2)社会・理科の教科部会の学習の一環として
(3)学級の授業の一環として
などがあります。これらの中では、(1)の遠足で利用する場合がほとんどであり、(2)・(3)はわずかです。もちろん、遠足も学習の一環になってはいますが。
それでは遠足の場合、具体的にどのように利用されているのでしょうか。多いパターンは、午前中に博物館と美術館を見学(1館で1時間、2館では1.5~2時間)→公園内で昼食→しばらく自由時間→午後1時頃つぎの見学場所に移動、というようになっています。つまり見学場所を2ヶ所用意していることです。これもバス遠足が年1回であることから考えると当然のようにも思われますが、博物館での見学のようすを見ていますと、少し急ぎすぎの感じがします。児童・生徒が立ち止まって見ていると、後ろから押されるなどして次の場所ヘ進むことを強いられることが多いようです。また、公園内での自由行動の時間も短いような感じがします。文化の森は大変広いのです。
そこで提案なのですが、文化の森(図1)を1日かけてゆっくり見学してみてはどうでしょうか。文化の森にはいろいろ学べる場所や遊べる場所があります。これからそれらの場所を紹介しましよう。
文化の森には図書館、博物館、近代美術館、文書館、21世紀館の合計5つの文化施設があります。この機会に全部の館を見学することにしてはいかがでしょうか。とくに文書館はなじみが薄いことでしょうから、どのような施設か簡単な説明を聞いてもよいでしょう。同じようなことが21世紀館にも言えると思います。ほとんどの人が入っているのですが、施設の内容はよくわかっていないと思います。21世紀館は文化の森、そして徳島県の文化情報センターの役割をしているのですが、パソコンを操作してその仕事内容を調べてみてくたさい。
図書館にもぜひ入ってみましょう。実に多くの本が並んでいます。どのような本があるか一通り見て回ってもよいでしょう。時聞があれば、身分証明書さえあれば手続きは簡単ですので、できれば借りたいものです。
次に、屋外の施設の紹介をします。図書館横の石段を登りつめると小高い丘の上に出ます。そこは「知識の森」と呼ばれ、天気がよいと徳島市街が一望でき、たいへん見晴らしのよい場所です。そこには、のんびりと散歩や休憩ができる芝生広場があり、子どもたちには、じゃぶじゃぶ池やローラーすべり台、ブランコなどの遊具を備えた「子供のとりで」(写真1)があります。
写真1 子どものとりで
「知識の森」で十分に遊んだ後は、登ってきた石段を通らず、園路を博物館・美術館の背後にとりカスケードテラスに出てみましょう。長さ135m、落差30mのカスケードのダイナミッ7な水の流れを見ながら下っていき、21世紀館に入ってもよいし、彫刻の小径、創造の森を通って降りるのもよいでしょう。5月は新緑が、11月は紅葉がたいへん美しいので、周囲にも目を向けてくたさい。
図2文化の森総合公園
つづいて博物館の利用方法を紹介します。遠足には、「楽しみながら学ぶ」ことが必要です。学校に戻って「今日は博物館でこんな新しいことを知ったなあ」ということが、たくさん感じられるようになってほしいものです。そのためには、博物館では「……を学ぼう」という目的意識が必要です。その内容は学年によって異なることもあるでしょうが、学校での事前学習によるところが、大きいと思われます。したがって、可能な限り先生の下見をおすすめします。博物館ではその相談に対してはできるかぎりお世話できるようにしております。「博物館見学ノート」というワークシートを使った学習もできますし、要望があれば、案内員による展示説明も受けることができます。
さらに、展示を見学するときは自由に行うことをおすすめします。小グループによる自由行動もよいでしょう。「オッ!これは何だろう」、「これはおもしろいな」と思ったら、いつも立ち止まれることが必要です。また、オリ工ンテーリング形式にすることも考えられます。
次に、近くの学校で徒歩や自転車で来ることができる場合(遠足の場合も可能ですが)、授業として博物館を利用することを大いに考えてほしいと思います。先生が博物館の展示物を使って授業をするためには、事前lこ十分な打ち合わせが必要だと思いますので、ぜひ連絡してくたさい。
博物館の展示の中で授業に活用すれば最も効果があると思われるものは、小学校6年社会科の縄文時代~弥生時代~古墳時代(指導要領の内容(1)ア、イ)の部分でしょう。指導書によれば「……その指導に当たっては、博物館や郷土資料館を利用したり、写真資料などを活用したりして、身近な地獄や国土に残っている遺跡や文化財などに触れさせることによって…」となっています。展示資料としては、
縄文時代…「城山貝塚のくらし(徳島市)」「森崎貝塚出土品(鳴門市大麻田)」
弥生時代…「稲をつくるムラ-南庄遺跡-(徳島市)」
銅鐸…田村谷銅鐸、伝長者ケ原銅鐸など(写真2)
徳島県は全国でも多くの銅鐸が出土していることで育名です。
古墳時代…「渋野丸山古墳模型」「段ノ塚穴模型」「古墳をつくる-曽我氏神社古墳(名西郡石井町)」
などが、あります。理科においては、チラノサウルスやナウマンゾウの全身骨格、いろいろなアンモナイトの化石、火成岩・堆積岩・変成岩・鉱物の標本、徳島の自然とくらしなどが活用できると思います。
なお、小・中学生と高校生、そしてこれらの引率者が、教育課程に基づく学習活動として利用するときは、観覧料免除申請書を提出することにより、常設展の観覧料が無料になります。
これまでは展示物を使った利用方法でしたが、中学校や高校の進路指導のーつとして利用することを考えてみてはいかがでしょうか。博物館・美術館では学芸員、図書館では司書という専門職員が勤務しています。それらの仕事内容や、どのようにすればなれるかなどをインタビューしてみましよう。
最後に、3階レファレンスルームの案内をします。ここでは、各館にある本や雑誌を見ることができます。また、徳島県文化情報システム(COMET)のデータベースの内容の検索や、館員への質問などができますので、どんどん利用してくたさい。
文化の森は、さまざまな情報が満ちあふれています。たくさん吸収して帰ってくたさい。