前山1号墳の発掘調査【速報】

考古担当 高島芳弘

博物館では平成8年2月に前山(まえやま)古墳群の墳丘(ふんきゅう)の測量調査を行いました。1号墳と 2号墳の墳形をほぼ推定でき、ともに長さ18mほどの非常に小さな前方後円墳(ぜんぽうこうえんふん)であることがわかりました。平成10年 3月には、 前山古墳群から北の方に下がる尾根筋ごとに古墳の分布調査を行って、新たに数基の古墳を発見しました。

図1 前山1号墳 (遠景)

図1 前山1号墳 (遠景)

図2 前山1号墳 (近景)

図2 前山1号墳 (近景)

このような成果を踏まえた上で、平成11年2月~3月に前山 1号墳の発掘調査を行いました。

発掘に先立って倒木や小さな立木を片付けたので、前山1号墳のまわリは大きく開けて、遠くからでも古墳の形を観察できるようになりました。今回の調査では、 石室(せきしつ)には手を付けず、墳丘だけの調査を行いました。古墳の規模及び前方後円墳であるかどうかを明らかにすることを発掘の主目的としたからです。
1号墳は、2基の円壊ではなく、明らかにくびれ部が存在し、後円部から前方部へと続くことがはっきりとしました。

くびれ部から前方部の中ほどまでの裾(すそ)の部分は緑色片岩(りょくしょくへんがん)の岩盤を削りだしておリ、その上に薄く土を盛っています。裾からの比高は、低いところで。約30cm足らずです。

前方部の端ではほぼ重直に石が葺(ふ)かれ、前方部の中ほど付近から端に向かつて三味線のバチのように開いています。しかしながら、 前方部の最大幅はわかりませんでした。

後円部では斜面全面に石が葺かれるわけでなく、盛り土の中へ列をなして石を埋め込んでいました。これが3列確認できた所もあります。

古墳の全長は17.7mありました。前方部の長さは9m足らずで、後円部の直径は9.7m程度と推定されました。 前方部の長さと後円部の直径の比率は、ほぼ1:1とな ります。前方部、 後同部ともに1段でつくられていました。

図3前方部(第2トレンチ)の調査

図3前方部(第2トレンチ)の調査

図4後円部(第3トレンチ)の調査

図4後円部(第3トレンチ)の調査

今回の調査によって、前山1号墳が前方後円墳であることがはっきりとしました。また、規模についてもほぼ明らかとなリ、当初の目的をはたすことができました。
この古墳の造営時期については、 前方部がバチ形に開くので古い時期のものとも考えられますが、石室の調査、墳丘の補足調査を行って、さらに検討を加えてから明らかにしていこうと思います。

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