博物館ニューストップページ博物館ニュース025(1996年12月1日発行)滋賀県立琵琶湖博物館(025博物館紹介)

滋賀県立 琵琶湖(びわこ)博物館【博物館紹介】

地学担当 亀井節夫

今年の秋には、徳島県では山城町のラピス大歩危(石の博物館)、県外では琵琶湖博物館(滋費県草津市)や群馬県立自然史博物館(富岡市)などが開館しました。それぞれ特徴のある博物館で、21世紀に向けて、このような新しい博物館が続々と生まれることは嬉しいことです。

琵琶湖博物館は、JR草津駅からパスで22分、琵琶湖南東の烏丸(からすま)半島にあります。琵琶湖に面して眺(なが)めがよく、広々とした敷地の素晴らしい環境の中にあります(図1)。

図1琵琶湖博物館の全景

図1琵琶湖博物館の全景


玄関をはいると、広いアトリウムの向こうにはガラス越しに琵琶湖と比良(ひら)山系が望まれ、左手に企画展示室とレストラン、右手には情報センターとディス力バリールームという子供達が遊びながら学習できる施設のある部屋があります。ザリガ二の大きな模型の中に潜り込んで、ザリガ二になってものを見たり、洞窟の中の生き物を探したり、化石を手にとって調べるなど、五感を使って楽しみながら学ぶことができます。

工ス力レータで2階にあがると、常設展示室です。展示室Aは、「琵琶湖の生い立ちJをテーマにして、滋員県の土地や琵琶湖の生い立ちを、ジオラマや化石や岩石で示しています。実物大のアケボノゾウの親子のいる森の復元も素敵ですが、どのようにして、そのようなことを調べるのか、研究室そのものが展示され、来館者が自分で研究に参加できるのも面白いと思いました。

展示室Bは、「人と琵琶湖の歴史」をテーマにしています。中央にかつて琵琶湖輸送の主役だった百石積みの『丸子船』(長さ19m)が置かれ、それに乗り組むこともできます。展示室Cは、「湖の環境と人々のくらしJで、琵琶湖をめぐる自然と人々の生活のかかわりが分かります。40年前の民家を復元し、そこの暮らしぶりと水の利用のありさまを示し、生活そのものが展示され、中に入って昔の人の気持ちにもなれるわけです(図2)。

図2_40年前の農村の暮らし

図2_40年前の農村の暮らし

 

また、「淡水の生き物たち」では、琵琶湖にすむ生物をはじめ、世界の湖の魚を生きた状態で展示しています(図3)。博物館の中で、魚が縦横に泳いでいるのは世界で初めてではないでしょうか? 実際に魚に触れられる体験学習室もあります。

図3魚が泳ぐ博物館

図3 魚が泳ぐ博物館

室外展示では、野外を活用した生活実験工房で、じっさいに農村の生活を体験したり、田畑を耕したり、植物の遷移(せんい)や河川の生物浄化の実験ができるような工夫がこらされているのも珍しく思えました(図4)。

図4 生活実験工房と田んぼ

図4 生活実験工房と田んぼ

 


このように、琵琶湖ということにテーマを集中し、体験型・参加型の新しい博物館というごとに特徴があり、人々の交流によって人間と環境との関係を掌び、フィールドへの誘いとなる点が注目されます。

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