大日本沿海図稿 南海 参(徳島大学付属図書館所蔵)【表紙】

歴史担当 長谷川賢二

徳島大学付属図書館には、多数の古地図が所蔵されています。その中には初の実測日本地図を作ったことで有名な伊能忠敬(いのうただたか)(1745~1818)が作成した「沿海地図」や「大日本沿海図稿(こう)」があります。これらは、作成時にあけられた微細な針穴(同時に複数の地図を正確に作成するため、下図の側転を針で突いて移したことによりあいた穴)が確認でき、美しく保存状態のよいものです。このほか同館には伊能に関わる古地図として、「豊前国沿海地図」の写本、伊能図を下にした刊行図「官板(かんばん)実測日本地図」もあります。

「大日本沿海図稿」は、五畿東海、山陰山陽、南海、西海の4舗(しき)から構成されています。文化元年(1804)に江戸幕府天文方高橋景保(かげやす)(1785~1829)の手附(てつけ)(幕府の役人)となった伊能忠敬は幕府直轄(ちょっかつ)事業として、文化11年(1814)まで西日本の沿岸測量をします。文化5年(1808)には徳島藩領の淡路・阿波を訪れています。
写真は、南海(四国)の図。北西辺や北東辺が不整形に切られているのは、五畿東海、山陰山陽の図と接合できるようにしているためです。

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