おまけになった動物たち【情報ボックス】
保存科学担当 魚島純一
2年ほど前から、動物をモチーフにしたお菓子のおまけが人気を集めています。テレビや新聞でも取リ上げられることがあり、「チョコエッグ」といえばご存知の方もあることでしょう。
お菓子のおまけといえば、こどもたちを対象にしたもの、とくにアニメのヒーローなどのキャラクターものがまず思い浮かびます。古くは、キャラメルのおまけとして乗り物なども人気がありました。ところが、今回の主役は、ヒーローでも何でもないリアルな野生動物たちです。しかしこの動物たち、おまけと呼ぶにはあまリにも精巧にできています。それもそのはず、おまけの原型を手がけたのは、博物館などにも動物模型を納めている模型づくりのプ口なのです。今回のブームの一因には、この精巧さがあげられます。単に精密というだけではなく、それぞれの動物の特徴をしっかリとらえた表現がなされています。
原型から型取りして作った金型にプラスチックを流し込んでできたものに1個ずつ手作業で彩色されて完成するおまけは、博物館などで展示されているレプリ力と基本的にはまったく同じ工程で作られたものなのです。
卵形のチョコレートを割ると中に小さなプラスチックの力プセルが入っていて、いろいろな動物たちが出てくるというコンセプ卜のこのお菓子は、メー力一側の当初の見込みを大きく裏切って、こどもたちにではなく大人に爆発的な人気を呼び、予想もしなかった一大ブームを巻き起こしました。
メガテリウムも待ってるよ
チョコエッグに端を発した動物たちをモチーフにしたおまけブームは、その後多くのお菓子メーカーからさまざまな種類のものが発売され、現在では何種類あるかわからないほどになっています。ブームの火付け役となったチョコエッグ日本の動物シリーズは現在168種類にものぼリ、ついで発売された恐竜や古代生物をモチーフにしたチョコラザウルスも現在72種類を数えます。
こどものころからおまけが大好きで、収集癖もあった筆者は、この2大シリースを中心にすっかりコレクションにはまってしまい、今では自宅はおまけだらけになっています。そこでこの精巧なおまけたちをできるだけ多くの人に見ていただき、自然や動物に関すること、人間のわざに関することなど何かを感じてもらえれば、また博物館に関心を持っていただくきっかけとなればという思いから、昨年の夏から「おまけになった動物たち」と題して、2階の常設展示入り口付近にミ二ミ二展示をはじめました。おかげさまで、これまでたいへんご好評をいただきました。
今回、このミ二ミ二展示をさらに発展させて、3月26日から部門展示室(人文)の一角で展示を行っています。200種類似上ものおまけになった動物たちが一同に会し、それらにちなんだ実物標本などもあわせて展示されています。小さな小さなおまけたちですが、とても不思議な魅力がいっぱいで、きっと見る人に何かを感じさせてくれることと思います。ぜひご家族お揃いでおまけになった動物たちに会いに来てください。