徳島県 地学のガイド【情報ボックス】
地学担当 中尾賢一
地学系出版物の中には、地域ガイドブックとでもいったジャンルがあります。ある特定地域の地質の概要やみどころ、化石・鉱物などを書いた本です。絶版・品切れ本や一般書店に出回らないものも含めると、全国で100点くらい出ているでしょう。代表は築地書館の「日曜の地学」とコロナ社の「地学のガイド」の2つのシリーズです。ともに都道府県別(未刊のところもあります)で、1県について1~2冊でまとめられています。ある県や地域の概要を手軽に知りたいときや、詳しい状況を知らない地域で行う調査や採集などに便利です。私自身、これまでずいぶんこの種のガイドブックのお世話になってきました。
県内では似た本に徳島市民双書の「徳島の自然地質1」 (1979年) と「徳島の自然地質2」(1981年)がありました。しかし今の時点で見れば内容が古くなってしまったところもあリ、しかも「地質1」は発売して1~2年後には売り切れ、それ以降入手できなくなっています。そのような中で出てきたのが今回ご紹介する本です。
「徳島県 地学のガイド 徳島県の地質とそのおいたち」は「地学のガイド」シリーズの1冊で、昨年7月に発行されたものです。著者は、県内の小学校~高校教諭と大学の地学系教員の合計12人です。学校教育や生徒向けの活動での利用を念頭に置いて書かれているようです。
地学のガイドシリーズ25「徳島県地学のガイド徳島県の地質とそのおいたち J(奥村清監修・徳島県地学のガイド編集委員会編
項目はつぎのとおりです。
I.野外観察にあたって
徳島県の地質の概要/野外調査に出かける前に
Ⅱ.徳島県の地質めぐり
鳴門周辺コース/阿讃ミュージアムコース/土柱・うだつコース/池田コース/徳島市コース/高越山コース/大歩危コース/祖谷-阿波の秘境コース/佐那河内・神山コース/剣山コース/羽ノ浦山コース/勝浦川盆地コース/那賀川コース/ 日和佐・由岐コース/宍喰・竹が島コース
Ⅲ.徳島県地質のおいたち
吉野川以北/吉野川以南/用語の解説
メインとなる「徳島県の地質めぐり」では、それぞれのコースについて、みどころ、交通や移動時間、それぞれの地点の説明が書いてあります。高校生以上の方なら、この本をテキス卜にして地学の野外学習ができるでしょう。親子で野外観察や化石採集をするときの参考書としてもじゅうぶん使えます。県内の地質について興味を持っている方にとっては、利用価値のたいへん高い本です。私自身も発売直後に1部買って、いつも手元に置いています。
この本は書店で注文できます。大きな書店では売場に置いているところもあるかもしれません。