博物館ニューストップページ博物館ニュース120(2020年9月15日発行)待望の常設展リニューアル(120号特集)

待望の常設展リニューアル【特集】

元館長 天羽利夫

開館30周年を契機(けいき)に常設展示室が全面リニューアルされるとのこと、とても嬉(うれ)しく思います。30年前の開設に関わった一人として、どのような新しい展示室に生まれ変わるのだろうか、来年8月のグランドオープンが待ち遠しいです。

新館開設時は、旧館時代のスタッフ不足からくる調査研究や資料収集が十分でなく、新館展示に活かせるものはあまりありませんでした。今回のリニューアルでは、新館30年間で蓄積(ちくせき)した博物館活動の成果が十分発揮されることと期待しています。

新展示は、「徳島まるづかみ」「先端技術(せんたんぎじゅつ)で驚きの体験」「誰もが楽しめる場所」「地域の交流拠点(きょてん)」の4つの特徴を打ち出しているそうですが、学芸員の皆さんが既成概念(きせいがいねん)にとらわれることなく、時流(じりゅう)に見合った斬新(ざんしん)な発想で取り組んでいだだきたいものです。

7月に徳島新聞で連載(れんさい)された記事「集めた魅みせた県立博物館の30年」はとても興味深い内容でした。博物館の役割や学芸員のさまざまな仕事などを多方面から紹介したものでした。連載最終回に、「未来型へリニューアル」というタイトルで新展示の目指す具体的な姿が紹介されていて、魅力ある新展示が目に浮かんできました。新たな展示構想(こうそう)を構築(こうちく)されるにあたって県民のご意見を5回にわたり聞かれたそうで、県民の要望も活かされていることでしょう。VR(Virtual Reality:仮想現実)やAR(Augmented Reality:拡張現実)などの最新技術の導入も楽しみの一つです。

私は、1968年に旧館(徳島県博物館)に学芸員として就職し、2002年に現館を退職するまで博物館業務に携(たずさ)わってきました。思い出深いのは新館開設に従事することができたことでした。博物館の常設展更新というのはなかなか実現しないものです。新館がオープンした時から10年後、20年後には新たな展示をと切望していたことでした。学芸員の皆さん、このような機会はなかなか巡り会いません。叡智(えいち)を十二分に発揮されることを切に願うものです。

図1 文化の森総合公園開園記念式典(1990年11月3日)

図1 文化の森総合公園開園記念式典(1990年11月3日)

図2、3 開館当日の常設展のにぎわい(1990年11月3日)

図2、3 開館当日の常設展のにぎわい(1990年11月3日)

 

カテゴリー

ページトップに戻る