祖谷(いや)の畑作物【野外博物館】
民俗担当 庄武憲子
昨年(2021年)、 三好市(みよしし)東東祖谷(ひがしいや)の在来雑穀(ざいらいざっこく)6種類(ヤツマタ(図1)、ヒエ(図2)、タカキビ(図3)、コキビ(図4)、アワ(図5)、ソバ)がスローフードインターナショナルによる「味の箱船」に登録されたニュースは、記憶に新しいかと思います。「味の箱船」は食の多様性を守るための登録制度で、東祖谷の雑穀は希少(きそう)な在来種を継承(けいしょう)している点が評価されたそうです。
当館では、2014年と2015年に「祖谷の在来作物」というテーマで課題調査に取り組みました。祖谷には、今回登録された雑穀をはじめ、普段あまり目にしない珍しい作物や、その作物を利用した地元ならではのおいしい郷土料理が伝わっています(図6)。作物や料理に詳しい方々もたくさんいて、学芸員よりもっと詳しい解説付きの食の野外博物館だなと感激しました。普段当たり前だと思っている、身の回りの地域の畑にも、まだまだ貴重な作物やそれにちなむ郷土料理が潜(ひそ)んでいると思います。一緒に調べてみませんか?
図1 ヤツマタ(東祖谷元 もっとい)
図2 ソバの花の間のヒエ(東祖谷栗枝渡くりしど)
図3 つるされたタカキビ(東祖谷菅生 すげおい )
図4 コキビ(西祖谷山村吾橋 あはし)
図5 アワ(東祖谷中上 なかうえ )
図6トウキビダンゴとヤツマタダンゴ(東祖谷元井)