蔵王権現立像 1躯 平安時代(12世紀) 重要文化財 奈良国立博物館蔵(表紙)
歴史担当 山川浩實
蔵王権現(ざおうごんげん)は、山岳修行者で修験道を始めたとされる役行者(えんのぎょうじゃ)が、大和国吉野の金峰山(きんぷさん)で感得したと伝えられる像です。修験者などに厚く信仰され、各地の霊山に遺品が伝えられています。像は高さ30.5センチ、銅製で渡金が施されています。この像は左足一本で立ち、右手を高く持ち上げた典型的な蔵王権現像の形式を示しています。制作期は平安時代後期(12世紀)と推測され、この時期の蔵王権現像を代表する作品として、重要文化財に指定されています。
国立博物館・美術館巡回展「信仰と美術」(平成14年2月19日~3月21日)では、これらの仏教美術をはじめ、古代の進行に関する土偶(どぐう)・埴輪など、日本の代表的な信仰に関する国宝・重要文化財などの優れた文化財を紹介します。