博物館ニューストップページ博物館ニュース045(2001年12月1日発行)徳島県立博物館の学校教育支援事業(045号情報ボックス)

徳島県立博物館の学校教育支援事業【情報ボックス】

地学担当 両角芳郎

博物館利用者の中で、学校の児童・生徒はかなリ高い割合を占めでの団体見学によるもので、教科学習の一環として博物館を利用するという例はあまりありませんでした。しかし本来、博物館は学校教育にとって役に立つところですし、また、そうあるべきです。最近では、「総合的な学習の時間」の創設に象徴されるような教育改革にともない、実物資料にもとづく体験的な学習ができる博物館と学校教育との連携が期待されています。遠足以外での博物館利用がもっと増えてもよいはずです。

そこで、徳島県立博物館では、博物館のもつ資源(もの・情報・人)を学校教育の場で有効に活用していただくため、団体見学の受入れや児童・生徒向けの各種普及行事に加えて、次のような活動を積極的に行い、学校教育を支援していくことにしています。

(1)博物館での博物館資料を活用した学習の支援

理科や社会科の授業、「総合学習」などで博物館の資料や情報が活用できます。事前に相談していただければ、展示してある資料だけでなく収蔵資料を臨時に陳列したリ、学芸員による解説を行うなどのサービスを行います。

(2)講師派遣(出前授業)

授業で博物館へ行きたいと思っても、支通手段がないため、博物館まで足を運べないのが実状だと思います。そんな時は、要望に応じて学校での授業や教室外での観察会、教員の研修会などに学芸員を講師として派遣します。学校での授業には、博物館資料を持参するなどして児童・生徒の理解を助けるよう支援します。

(3)博物館資料の学枝への貸し出し

博物館資料の中には、取り扱いが比較的かんたんで学校で活用してもらえる資料もあります。博物館ではそうした「学校貸出用資料」の整備を進めています。学校での授業やクラブ活動、文化祭などで活用してください。

(4)学校教育支援相談

博物館での学習、講師派遣、資料の貸し出しに限らず、学校で自然観察、生活体験、歴史学習などをしようとする場合、先生方でわからないことがあれば何でも気軽にお尋ねください。学芸員が博物館での普及行事の経験などを踏まえてアドバイスします。


私も、去る9月14日、鳴門市の北灘中学校を訪ね、中学1年生を対象に「化石」の授業を行いました(写真)。今年2月の石井中学校につづく2回目の経験です。

北灘中学校での「化石」の出前授業

北灘中学校での「化石」の出前授業

中学校理科2分野の教科書では、「大地の変化」という章の中に「地層の中の化石」という項目があります。そこでは示準化石と示相化石についてかんたんに説明されていますが、示準化石と示相化石を数行で説明することには無理があるし、いろいろな生物の化石をどちらか方に分類してしまうことは、誤解を招くのではないかとも感じました。そこで、マンモスゾウの毛、いろいろな保存状態の貝化石やアンモナイト、糞化石など20点ほどの化石を博物館から持参し、実物に触れてもらいながら、化石とは何か、大昔の生物がどうやって化石となって残るのか、といった基本的なことを理解してもらえるよう心がけました。意外にも糞化石が生徒に大うけで、化石に興味をもち、化石について理解してもらう手助けになったものと思います。

今後も、機会があれば化石を車に積んで学校を訪ね、生徒や先生との交流を進めたいと思っています。気軽に声をかけてください。

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