博物館ニューストップページ博物館ニュース049(2002年12月1日発行)渡辺広輝筆 祖谷山絵巻(部分)(049号表紙)

渡辺広輝筆 祖谷山絵巻(部分)【表紙】

美術工芸担当 大橋俊雄

渡辺広輝筆 祖谷山絵巻(部分)

1828年(文政11) 9月、阿波国徳島の藩主蜂須賀斉昌(はちすかなりまさ)は、西部の秘境祖谷山(いややま)を巡見した。そのおリの眺めを、お抱え絵師である渡辺広輝(わたなべひろてる)に描かせたのが, この「祖谷山絵巻」といわれている。

上の図は、麻植郡桁山(おえぐんけたやま)(現美郷(みさと)村・山川町)の風景である。台地のよに点々と見えるのは、三十竃床とよばれる地形で、その向こう、画面中央に高越山(こうつざん)がそびえている。

下の図は、山中を移住しながら盆や椀などを作った、木地師(きじし)の小屋の様子である。

筆者の渡辺広輝は、徳島に生まれ、幕府御用絵師の住吉広行(すみよしひろつら)に学んだ画家。源氏絵が得意で、有職(ゆうそく)にもくわしく、松平定信が『輿車図考(こしぐるまずこう)』を著したときには挿画(さしえ)を描いた。

この絵巻は、楠弘美氏より寄贈されたもので、特別陳列「楠コレクション」(5頁参照)において展示される予定である。

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