博物館ニューストップページ博物館ニュース052(2003年9月16日発行)虹色の殻をもつプラセンチセラス(052号表紙)

虹色の殻をもつプラセンチセラス Placenticeras meeki【表紙】

虹色の殻をもつプラセンチセラス Placenticeras meeki カナダ・アルバータ州産、白亜紀後期(カンパニアン)、直径32cm

 カナダ・アルバータ州産、白亜紀後期(カンパニアン)、直径32cm

地学担当 両角芳郎

アンモナイトの化石には様々な色をしたものがあります。

アンモナイトの殻は、現生頭足類(とうそくるい)殻(から)と同じアラレ石という炭酸カルシウム(CaCO₃)から成る鉱物でつくられていますが、アラレ石は温度や圧力を受けると結晶(けっしょう)構造が変わり、方解石(ほうかいせき)に変化します。褐色(かっしょく)や灰色、黒色のアンモナイト化石のほとんどは殻が方解石に変わっており、含まれる鉄、マンガン、マグネシウムなどの不純物の量の違いによって、少しずつ異なる色になります。

いっぽう、もともとのアラレ石の殻が残っていて真珠(しんじゅ)光沢のある保存のよい化石もあります。アンモナイトの殻は基本的には外層・中層・内層の3層構造となっていますが、外層・内層が柱状のアラレ石の結晶でつくられているのに対し、中層はレンガを並べたような板状の結晶が何重にも重なった真珠層となっています。そのため、真珠層が表面に現れている化石では、いろいろな面で反射した光が干渉(かんしょう)をおこすことにより真珠光沢を発するのです。

カナダのアルバータ州から産出するプラセンチセラスには、美しい虹色を呈するものが多いことで有名です。これらは白色の外層を研磨して真珠層を露出させたもので、とくに美しいものは装飾品(そうしょくひん)に加工されています。

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