博物館ニューストップページ博物館ニュース052(2003年9月16日発行)世界のコガネムシ科ほか甲虫類標本-石田正明コレクション-(052号館蔵品紹介)

世界のコガネムシ科ほか甲虫類標本-石田正明コレクション-【館蔵品紹介】

動物担当 大原賢二

このコレクションは、故石田正明氏が生前収集された世界のコガネムシ類を中心とした約70,000頭からなる甲虫のコレクションです。

石田正明氏は1920年に東京都杉並区に生まれ、東京大学卒業後、1949年から1977年まで東京大学附属中学・高校の教諭、その後1993年まで東京経済大学の教授をされた方で、1999年に逝去(せいきょ)されました。

子供の頃から昆虫が好きで、当時から各種の学会に入会して活躍(かつやく)されましたが、昆虫学のプ口として活躍されたわけではなく、生涯アマチュアとして昆虫とつきあい、虫好きの人たちとつきあった方です。自分の大好きなグループであったハナムグリなどをおもに研究する学会を設立し、これらのグループの研究にも多大な貫献(こうけん)をされた方です。

このコレクションには、日本のコガネムシ主科のうち、ハナムグリ、ビロウドコガネ、スジコガネのなかまなどについては日本産のほぼ全種を含みます。石田さんが亡くなられたあとに発見された種はほんの数種しかありません。

図1ハナムグリ類の標本の一部

図1ハナムグリ類の標本の一部

図2タマオシコガネの一種

図2タマオシコガネの一種

石田さんは、どんな普通種でも日本の各地域ごとに多くの標本を収集されました。産地ごとにその変異などが理解できるように配置され、このグループの研究者にとっては無くてはならないコレクションであると評価されています。

また、外国産のフン虫(ス力ラベ類、タマオシゴガネ類)も大好きだったようで、かなり熱心に収集されており、アフリ力やヨーロッパの大型の種などもほとんど全種の標本が揃(そろ)っています。これだけの種数と個体数を所蔵しているところはほかにはないのではないかと思われるほどです。

図3フン虫類の標本の一部

図3フン虫類の標本の一部

このコレクションの素晴らしさは種数の多さや美しさだけではありません。すべての個体に個体番号、種の同定ラベル、産地データラベルが付けられています。しかもそのすべてが個体番号順にノートに記録されています。したがってすべての標本が、採集したもの、購入したもの、ほかの研究家たちからもらったものなど、その標本の来歴までわかるようになっているのです。
このコレクションは、当館の昆虫資料の中でも、極めて質の高い素晴らしいコレクションです。

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