国会議事堂の内装に使われている徳島県産石灰岩【表紙】
地学担当 中尾賢一
大正時代から昭和の初めまで、現在の阿南市や周辺地域では、建築用石材として石灰岩(大理石)が多量に切り出され、全国各地の建築物に使われました。その中で最も有名なものが、1920年(大正9年)に着工され、1936年(昭和11年)に落成した国会議事堂です。
東京都千代田区永田町にある国会議事堂では、外装には花こう岩、内装にはおもに石灰岩が使われています。その大部分は国内産です。内装用石材の中で多用されているのが徳島県産の石灰岩で、しかも最も目立つ場所に多く使われているように見えます。県別にみた場合、内装用石材としての使用量はおそらく最大でしょう。
写真はこうした石材が使われている場所のひとつ、国会議事堂3階の天皇御休所(ごきゅうじょ)前広間で撮影したものです。中央の部屋が天皇御休所で、その出入口の彫刻と左右の壁に使われている、やや黄色みを帯びた石灰岩(石材名:時鳥(ほととぎす))は阿南市阿瀬比町(あせびちょう)から切り出されたものです。この石材は、2階と3階をつなぐ中央階段にも大規模に使われています。また、壁の下(リュックが置いてあるあたり)のやや黒っぽい石灰岩も、阿南市の別な場所から切り出されたものです。