日本のわざと美【表紙】

美術工芸担当 大橋俊雄

北村昭斎氏(74歳)は、奈良在住の漆芸家(しつげいか)で、1994(平成6)年に選定保存技術「漆士品修理(しっこうひんしゅうり)」、1999(平成11)年に重要無形文化財「螺鈿(らでん)」の認定を受けました。
氏は、やはり選定保存技術保持者であった父大通(だいつう)氏(故人)のもとで技を修得し、東京芸術大学美術学部工芸科を卒業しています。正倉院宝物(しょうそういんほうもつ)や国宝・重要文化財をふくむ、数多くの漆工品の保存修理、復元模造(もぞう)を手がけてきました。創作活動でも、日本伝統工芸展で受賞を重ねています。

夜光貝(やこうがい)、鮑(あわび)、蝶貝(ちょうがい)などの貝には、殻の内側に明るく殻(から)く層があります。螺鈿(らでん)は、この部分を取り出して器面にはめる装飾法(そうしょくほう)です。瑞鳥唐花文螺鈿箱(ずいちょうからはなもんらでんはこ)は、夜光貝と白蝶貝(しろちょうがい)を用い、氏があみだした独自の発色法も採られています。地(じ)には金粉を蒔(ま)き、蓋(ふた)の稜(りょう)などに玳瑁(たいまい)(べっこう)をめぐらしています。

徳島県立博物館では、2012年10月20日から11月25日まで、企画展「『日本のわざと美』展-重要無形文化財とそれを支える人々」を開催します。

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