狩野派粉本【表紙】

美術工芸担当 大橋俊雄

楓に大瑠璃

楓に大瑠璃

二見ヶ浦・壇芝瑞

二見ヶ浦・壇芝瑞

粉本(ふんぽん)とは、絵師(えし)が仕事や練習のときに参照する、画手本(えてほん)や作品の写(うつ)しなどをさします。写真の2点は、徳島藩(はん)の御用(ごよう)絵師であった矢野家に伝わりました。

 

「楓(かえで)に大瑠璃(おおるり)」は、鳥と紅葉した枝を扇形(おうぎがた)の画面にまとめた手本です。「二見ヶ浦(ふたみがうら)・壇芝瑞(だんしずい)」は、伊勢(いせ)の名所と、中国の有名な画家にちなむ岩竹図をならべています。和漢(わかん)の組み合わせに見どころがあります。

矢野家は、明和(めいわ)元年(1764)に、藩主(はんしゅ)の紹介で江戸の木挽町狩野家(こびきちょうかのうけ)に入門し、4世代がそこで画(え)を学びました。この師家(しけ)は、将軍家直属(ちょくぞく)の絵師として、18 世紀後半に大きく勢力をのばしました。

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