ウミホタル【野外博物館】

地学担当 中尾賢一

ウミホタル(図1)は海にすんでいる小さな甲殻類(こうかくるい)で、貝形虫(かいけいちゅう)(介形虫、カイミジンコ)というグループに属(ぞく)しています。貝形虫は二枚貝の貝殻(かいがら)に似た左右2枚の殻(背甲(はいこう))で全身が覆(おお)われているので、このような名前がつけられています。

図 1 右側面から見たウミホタル。体長 1.8mm。

図 1 右側面から見たウミホタル。体長 1.8mm。

ウミホタルの殻の大きさは2~3mm で、貝形虫としては大きい方です。7対の脚(あし)があり、これを使って泳いだり、エサをつかんで食べたりしています。ウミホタルのすむ場所は砂地の浅い海底で、魚の死骸(しがい)などを食べています。昼間は海底の砂の中にもぐっていて、夜になると活動します(図2)。

図 2 動きながら発光するウミホタル

図 2 動きながら発光するウミホタル

ウミホタルは強い刺激(しげき)を受けると、発光物質と酵素(こうそ)をはき出します。これらが海水中の酸素と反応し、発光します(図3)。ウミホタルは光に対して逃げる性質があるので、なかまに危険を知らせたり、外敵を光で驚(おどろ)かせる意味があるのだろうと考えられています。また、光ることでオスがメスを呼ぶこともあるようです。

図 3 ウミホタルの発光(佐藤学芸員撮影)

図 3 ウミホタルの発光(佐藤学芸員撮影)

ウミホタルは、簡単なトラップで捕獲(ほかく)することができます(図4)。その方法は次の通りです。

図 4 ウミホタルを捕獲するためのトラップ

図 4 ウミホタルを捕獲するためのトラップ

1)1~2リットルのペットボトルを肩で切り、あちこちに小さい穴を開けておきます。
2)中にエサ(カニかまぼこや煮干し、豚レバーなど)と重りとなる小石を入れ、ペットボトルの上部を逆さにして押し込みます。エサは、ダシパックなどに入れておくと、海水との分離が簡単です。
3)ビニール紐(ひも)でくくって海底に沈めます。完全に暗くなった状態で、10~30分経過したら引き上げます。


県内では鳴門市大毛島の東海岸にウミホタルが生息していますが、それ以外の場所についてはほとんど情報がありません。興味を持った方は、分布や生態などを調べてみてはいかがでしょうか?

小中学生の自由研究のテーマとしてもよいと思います。

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